端子台|配線を確実に接続・分岐・整然管理

端子台

端子台は導体(電線・ケーブル)を確実かつ着脱容易に接続・分岐するための配線部材であり、制御盤・電源盤・分電盤などの産業設備で広く用いる。主機能は「導体の把持」「電気的接続」「識別表示」「絶縁・保護」である。絶縁ハウジングの上に金属クランプやスプリング接点を備え、適正トルクまたは押圧で導体を固定する。機種はねじ式、スプリング式、圧着端子ねじ止め式、プッシュイン式などがあり、設置はDINレール、パネル直付け、貫通型などに分かれる。選定では定格電圧・電流、導体サイズ(mm²/AWG)、ピッチ、耐環境(温度・振動・IP)、試験規格(JIS/IEC/UL)、マーキング方法、短絡バー(ブリッジ)の有無を総合的に評価する。

構造と基本原理

端子台は導通部(銅合金・すずめっき等)、導体保持機構(ねじ・スプリング)、絶縁ハウジング(PA・PBT等)の3要素で構成する。導体はクランプ力で酸化膜を破り、低接触抵抗を確保する。絶縁バリアと指挿入防止形状で沿面距離・空間距離を確保し、定格電圧に対する絶縁耐力を満たす。

接続方式の種類

  • ねじ式:汎用性が高く圧着端子との相性が良い。増し締め管理が必要。
  • スプリング式:振動下で緩みに強い。作業工数を削減できる。
  • プッシュイン式:フェルール端子で挿入のみの省工数化。
  • バリアブロック:大電流用途。ショートバーで分岐を容易化。

ねじトルクと接触抵抗

規定トルクに満たないと発熱・焼損、過大だとねじ・座金損傷を招く。トルク管理で接触抵抗のばらつきを抑える。

仕様と選定のポイント

定格電流は接点断面積・材質・温度上昇で決まる。周囲温度が高い場合はディレーティングを適用する。定格電圧は沿面・空間距離とハウジング材のトラッキング特性に依存する。導体サイズ適合(例:0.5〜6.0mm²)とピッチ(例:5.0mm/7.62mm)を盤内スペースと整合させる。マーキング(回路番号)と色別で保全性を高める。

短絡バー(ブリッジ)の活用

同一極のバス化で電源分岐や共通ラインを構成し、配線量を削減する。冗長設計では二重給電経路に配慮する。

規格・適合性

産業用ではJISおよびIEC 60947系、機器認証ではUL/CSAが参照される。IP20等の指保護等級、難燃性(UL94 V-0など)も確認する。導体はJIS C規格のより線・単線を対象にし、フェルール使用時の適用範囲をメーカー仕様で確認する。

設置方式と盤レイアウト

DINレール(35mm等)にスナップ装着するモジュラー形が主流で、端板・中間板・エンドクランプで列を固定する。パネルマウントは大電流ブロックや入出力集中端子に適する。貫通型は機内外を貫く気密・防塵通過に有利である。

配線動線と保全性

上段入線・下段出線や左右分離で動線を整理し、リレースイッチ、計器の交換作業性を確保する。番号札は回路図と一致させ、誤配線を低減する。

周辺部材とアクセサリ

  • エンドプレート・仕切板:沿面距離の確保と視覚的区分け。
  • ジャンパ(ショートバー):電源共通化、信号配列の変更。
  • マーキングストリップ:配線図とのトレーサビリティ。
  • 端子保護カバー:感電防止と異物侵入抑止。

導体処理と接続品質

より線は素線ばらけを防ぐためフェルール圧着が有効である。圧着端子は適正ダイス・荷重で六角または楕円圧着を行う。被覆ストリップ長はメーカー指定に一致させ、銅露出長を一定化する。

代表的不具合と対策

  • 緩み:ねじ再締付け・スプリング式採用・振動対策。
  • 発熱:定格超過・接触抵抗上昇の是正、導体サイズ見直し。
  • 腐食:雰囲気に応じためっき(すず/ニッケル)と密閉。

回路応用と配置例

I/O端子列ではセンサ給電(+24V/0V)と信号をグルーピングし、ショートバーで給電共通化する。電源系は遮断器・漏電遮断器からの配線を端子台で分岐し、ソレノイド抵抗器、インバータ等へ配る。信号品質向上のためノイズ源近傍ではシールド接地用のPE端子を設け、必要に応じてフェライトコアを併用する。

電磁・温度の留意点

大電流列と微弱信号列を物理分離し、クロストークを抑制する。温度上昇は隣接端子との熱結合を考慮し、余裕を持って定格を選ぶ。

選定手順(実務の流れ)

  1. 回路ごとの最大電流・電圧・導体サイズを算出。
  2. 環境条件(周囲温度・振動・防護等級)を定義。
  3. 接続方式(ねじ/スプリング/プッシュイン)を決定。
  4. ピッチと段数、マーキング方式を設計。
  5. 規格適合(JIS/IEC/UL)と端子アクセサリを確定。

計算観点の例

配電支線の電流容量は機器負荷の合計電流に同時使用率を乗じ、温度補正係数で補正する。許容温度上昇は規格・メーカー値に従い、列全体の放熱とダクト充填率を考慮する。導体サイズは許容電流と電圧降下の両面から決める。

関連機器との関係

分電盤や制御盤では、遮断器・ヒューズ・リレースイッチ・計測器・リアクトル可変抵抗器など多様な機器へ確実なインターフェースを提供する。標準化された端子台を用いることで保全性・拡張性・安全性が向上し、盤更新時の互換性も確保できる。