接触センサ|物理的な接触・押下・到達を検知し、電気信号に変換する

接触センサ

接触センサは、物体との物理的な接触・押下・到達を検知し、電気信号に変換する検出素子である。代表例はリミットスイッチやマイクロスイッチ、導電膜や導電ゴムを用いたメンブレン型、圧電フィルムやFSR(Force Sensitive Resistor)などがある。非接触の近接検出に対し、接触センサは確実な機械的トリガと高い誤動作耐性を持つ一方、摩耗や寿命、取付誤差の影響を受けやすいという設計上の特性を持つ。

定義と位置づけ

接触センサは、対象が規定位置に到達した事実や押圧力の有無を「接点の開閉」または「抵抗・電圧の変化」として取り出す。搬送装置の終端検出、ドアやフタの閉位置確認、押しボタン入力やロボットの触覚検出など現場用途が広い。近接・距離などの非接触系(例:距離センサ)と補完関係にあり、確実な有接点判定が求められる安全・品質クリティカルな局面で採用される。

動作原理と分類

接触センサは、機械式接点型と可変抵抗・圧電などの連続量型に大別できる。前者はカムやアクチュエータで接点(NO/NC)を切り替え、後者は押圧に応じて抵抗や電荷が変化する。密閉構造やレバー形状の工夫により、微小力から高ストロークまで用途が拡張される。

  • 機械式:リミットスイッチ、マイクロスイッチ。クリック感、ヒステリシスを持ち、明確なスナップ動作を示す。
  • 抵抗変化:FSR、導電ゴム、抵抗膜。力や面圧を相対値として取得できる。
  • 圧電型:PVDF等のフィルムで衝撃・振動を電荷として検出する(静的保持は不得手)。
  • メンブレン:薄膜スイッチ。薄型・軽量で家電やHMIに広く使われる(タッチセンサと併用されることもある)。

主要仕様と選定ポイント

接触センサの選定では、電気仕様・機械仕様・環境・保全性を整合させる。接点容量やサージ対策は負荷特性とセットで決め、機械側は動作力、プリトラベル、オーバートラベル、リピート性を重視する。防塵防水のIP等級、耐油・耐薬品性、ケーブル屈曲寿命も評価対象である。

  • 電気:定格電圧/電流、接点形式(NO/NC/SPDT)、接点抵抗、応答時間。
  • 機械:作動力、作動位置、差動(ヒステリシス)、機械的/電気的寿命。
  • 環境:IP等級、使用温度、振動・衝撃、雰囲気(油・粉塵)。
  • 実装:取付方式、アクチュエータ形状、ケーブル引き出し、コネクタ化。

回路設計とノイズ対策

接触センサの回路では、チャタリング除去と接点保護が要諦である。マイコン入力にはプルアップ/プルダウンとRCによるデバウンス、またはシュミットトリガ入力を用いる。誘導性負荷にはダイオードやスナバで逆起電力を抑え、長尺配線やノイズ源近傍ではツイストペア、シールド、適切なグラウンドでESD・サージ耐性を高める。

  • デバウンス:RC+ソフト処理(タイムウィンドウ、状態遷移の確定)を併用する。
  • 接点保護:ダイオード、RCスナバ、バリスタでアーク・エロージョンを低減。
  • I/O設計:過電流保護、ヒステリシス閾値、フェイルセーフ(異常時デフォルト)を決める。

機械実装と保全

接触センサは取付剛性と位置再現性が精度・寿命を左右する。カム面の面粗さ、当て代、逃がし寸法、オーバートラベルの設計が必須である。ケーブルは曲げ半径を守り、ストレインリリーフと配索で断線を防ぐ。定期点検では接点抵抗・動作位置のドリフトを測り、予防交換を計画する。

  • 整備:アクチュエータの摩耗、緩み、腐食、シール劣化の有無を点検。
  • 冗長:重要部分は2系統化や相互監視で単一故障に備える。
  • ログ:異常発報の履歴と環境条件を相関管理し再発を抑止する。

規格・安全

接触センサのうちスイッチ機器は「IEC 60947-5-1」や対応JISの適合を確認する。安全関連ではISO 13849-1に基づきPLを評価し、E-Stopやインターロック用途ではカテゴリ設計と診断カバレッジを確保する。機械指令や電気用品安全法にかかる場合は対象範囲・表示・試験条件を事前に精査する。

関連分野との接続

位置決めの上位層でエンコーディングが必要ならエンコーダと併用する。力や荷重の定量評価にはロードセル圧力センサが適し、衝撃・動的挙動の評価には加速度センサ振動センサを用いる。非接触の到達検知が望ましい場合は光学式のフォトインタラプタや磁気式のホールセンサを検討する。長手方向の幾何を測りたい局面では変位センサが有効である。

用語集

  • NO/NC:常開/常閉接点。作動で導通状態が反転する。
  • プリトラベル/オーバートラベル:作動点まで/作動後の追加変位。
  • 差動(ヒステリシス):動作点と復帰点の差。誤動作防止に寄与。
  • IP等級:固形物・水の侵入等級。例:IP67。

適用例と設計の勘所

搬送終端の到達確認、扉の閉位置検知、治具のクランプ完了判定、HMIの押下入力、ロボットの触覚パッドなどが典型例である。接触センサは「確実なON/OFF」「微小力での感知」「苛酷環境での堅牢性」のいずれを最優先にするかで型式・材質・密封構造が変わる。回路・機構・環境の整合を取り、寿命試験と検証計画を前倒しで組み込むことが肝要である。