吊りはかり|荷を吊って計量する懸垂式はかり

吊りはかり

吊りはかりとは、計量対象物をフックに吊り下げ、その荷重を測定するはかりの総称である。クレーンスケール、ホイストスケール、吊り秤とも呼ばれる。台はかりのように載台へ荷を載せる必要がなく、吊上げと計量を一連の動作で行える点が最大の特徴である。工場の出荷計量、鋳造・鍛造品の重量管理、建設現場での荷重確認、漁港での水揚げ計量など用途は幅広く、ひょう量は数十kgの小型機から50tクラスの大型機まで展開されている。ばねの伸びを利用するアナログ式と、ロードセルで荷重を電気信号に変換するデジタル式に大別される。

台はかりとの使い分け

長尺の鋼材、転がりやすい円筒物、フレコンバッグのような不定形物は載台からはみ出しやすく、台はかりでの計量が難しい。吊りはかりであればクレーンのフックに掛けるだけで計量でき、そのまま次工程へ搬送できるため、計量のための積み降ろしが不要になる。地面が水平でない屋外や、はかりを常設するスペースがない現場でも使える。実務では、取引証明を伴う定置計量は検定付き台はかり、工程内のチェック計量や運搬前の過負荷確認は吊りはかり、という分担が一般的である。ただし同クラスの台はかりに比べて目量が粗くなる傾向があり、精度が要求される小物の計量には向かない。

計量原理と構造

ばね式は、フックの法則に基づきコイルばねの伸び量を目盛盤や指針で読み取る方式である。電源が不要で構造が単純なため、故障が少なく保守も容易である。原理はフォースゲージのばね式と同じで、精度はおおむね目盛の1/2程度にとどまる。一方デジタル式は、本体内部のフォースセンサとして機能するひずみゲージ式ロードセルで荷重を電圧に変換し、A/D変換して表示する。高精度機では±0.05%程度の精度が得られ、風袋引き、ゼロ点自動調整、ホールド機能、上下限チェック、無線手元表示器など多彩な機能を搭載する。粉塵や水がかかる現場向けにIP65やIP67の防塵防水仕様、化学・製薬工場向けの耐圧防爆仕様、溶解炉直上で使える耐熱1600℃対応品も市販されている。

主な種類

構造と用途の違いから、代表的な形式は次のように整理できる。

形式 測定原理 ひょう量の目安 特徴
ばね式吊り秤 ばねの伸び 数kg〜数百kg 電源不要・軽量・低価格
ダイヤル式吊り秤 ばね+歯車機構 〜1t程度 指針表示で読み取りやすい
デジタルクレーンスケール ロードセル 100kg〜50t 高精度・多機能・データ出力可
フックスケール ロードセル 〜3t程度 小型軽量で持ち運びに適する

計量法と検定

重量を根拠に代金を決定する取引や証明に使用する場合、吊りはかりは計量法上の特定計量器に該当し、検定に合格した検定付き機種を使用しなければならない。非自動はかりの技術基準はJIS B 7611-2に規定され、精度等級は3級品が主流である。検定付き機種は使用開始後も2年ごとの定期検査が義務付けられており、工程内管理専用であれば検定なし品で足りる。検定の有無で価格が数万円単位で変わるため、用途を明確にしてから選定するのが現場のコスト管理上の定石である。

使用上の注意

吊りはかりは計量器であると同時に吊り具の一部として荷重経路に入るため、破断は重大災害に直結する。荷重は本体上部のシャックルやリングから吊り金具、スリングを経て伝わるので、アイボルトの緩みやフックの開き・摩耗を作業前に点検し、玉掛けの基本に従った垂直吊りで使用する。斜め吊りや横引きは定格外の曲げ荷重を生み、ロードセルの疲労破壊を早める。計量面では、風や荷振れが誤差要因となるため、表示が安定してから読み取るか自動ホールド機能を使う。ひょう量3tの機種で目量が1〜5kg程度になるように、大容量機ほど分解能は粗くなる。対象物の概算重量を把握し、ひょう量の30〜100%の範囲で使うと精度を確保しやすい。長期使用ではフレームの金属疲労や引張強度の低下が進行するため、外観点検に加えて定期的な校正と荷重試験を実施することが望ましい。

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