ルームランプ
ルームランプは自動車の室内照明であり、乗員の乗降・探索・操作の視認性を確保する装置である。ドームランプ、マップランプ、フットライトなど配置や用途に応じた種類があり、ドア連動点灯、個別点灯、タイマ消灯やフェードアウトなどの制御が一般的である。外装のヘッドランプやテールランプと異なり対向車への被視認性より乗員の快適性・安全な操作性を重視する。近年はLED化により省電力、長寿命、演色性や色温度の選択性が向上し、車内の質感向上にも寄与している。
基本機能と役割
ルームランプの役割は、暗所での乗降時の足元・手元の視認、夜間の書類確認、チャイルドシートの扱い、緊急時の明かりの確保である。点灯モードは「ON/DOOR/OFF」が基本で、ドアスイッチやボディコントロールモジュール(BCM)と連携して自動点灯・遅延消灯する。走行中の眩惑を避けるため配光は間接的で、運転席側は低輝度に設計される。読書用のマップランプは狭角配光でグレアを抑え、同乗者のみを照らすことが多い。
構造と主要部品
ルームランプはハウジング、拡散レンズ、反射面、スイッチ、光源(白熱電球またはLED)、基板、ハーネス、コネクタで構成される。天井トリム裏に装着され、爪やビス、スプリングで固定する。LEDタイプでは放熱板や熱伝導パッドを備え、熱劣化を抑える。レンズは拡散模様で均斉度を高め、指紋や汚れを目立ちにくくするための表面処理を施す。
光源の種類と特性
- 白熱電球:色再現が自然で回路が簡易である一方、消費電力が大きく寿命が短い。
- LED:低消費電力・長寿命・小型化に優れる。色温度は約3000K〜5000Kが一般的で、目の順応や車内意匠に合わせて選ぶ。演色性はRa80程度以上を目安とし、低演色では物の識別性が下がる。
- 光束・配光:全光束(lm)だけでなく配光均斉度とグレア抑制が重要である。導光板やマイクロレンズアレイでムラを低減する。
制御ロジックと電源系統
電源は常時電源(BAT)を主に用い、ドア開閉信号によりBCMがマイナスコントロールで点灯させる構成が多い。フェードアウトはPWM制御で滑らかな減光とする。ドアロック解除やエンジン停止信号と連動し、数十秒のタイマ後に自動消灯してバッテリー上がりを防止する。CAN連携車では他系統と協調し、誤点灯・消し忘れを防ぐ。外装灯のウインカーランプやフォグランプ等と異なり、法規の点灯要件は緩やかだが、運転者視界への影響は最小化する。
配線・取り付けの要点
ハーネスは天井トリム内を配索し、断線防止の余長やクランプ固定を行う。コネクタは誤挿入防止形状とし、接触抵抗増大を防ぐ防錆処理を採用する。車両振動によるビビリ音対策としてフェルトや発泡材で当たりを抑える。改造や後付け時は極性(LED)とヒューズ容量、分岐位置、アースポイントを厳守する。
故障モードと診断
- 消えない/点かない:ドアスイッチ不良、BCM出力段の故障、配線短絡・断線、ヒューズ切れが典型である。
- ちらつき:LEDのはんだクラック、接触不良、PWM周波数の不整合などが原因となる。
- バッテリー上がり:消し忘れや常時微電流流出が要因で、待機電流測定と区画切り分けで診断する。
交換・カスタマイズの注意点
電球からLEDへの置換では、口金形状と発光面積、光学設計の適合を確認する。過度な高色温度は視認性や疲労に影響するため注意する。安価なLEDはEMI対策や保護回路が不十分な場合があり、車両電子機器への干渉に留意する。外装のデイライトやヘッドライトユニットの改造と同様、電源系統の安全余裕を確保し、保証条件にも配慮する。
評価項目と人間工学
評価は照度(lx)、均斉度、グレア指数、点灯遅延、フェード時間、スイッチ操作力・触覚、騒音、耐熱・耐振、長期信頼性で行う。乗員の暗順応を乱さない明るさ設定が肝要で、運転席からは直接光源が見えにくい位置とする。車外番号灯であるライセンスランプや停止表示のハイマウントストップランプと役割が異なるため、評価指標も快適性・操作性寄りに設計する。
関連する灯火類
車両照明体系の理解には、前照灯のヘッドランプ、補助灯のフォグランプ、識別灯のデイライト、後部のテールランプ、方向指示のウインカーランプ、車外表示のライセンスランプ、制動表示のハイマウントストップランプを併せて参照すると体系的に理解できる。