フォトインタラプタ|光遮断で位置・回転を高精度検出

フォトインタラプタ

フォトインタラプタは、発光素子と受光素子の間を物体が遮る(または反射させる)ことでオン・オフ信号を得る光学式スイッチである。赤外LEDとフォトトランジスタ(またはフォトIC)を一体化した小型モジュールが一般的で、スロットに被検出物を差し込む透過型と、対象からの反射光を検出する反射型に大別される。非接触で機械摩耗がなく、応答が速く電気的ノイズの影響も小さいため、位置検出、紙・フィルム搬送、回転体のスリット検出、簡易エンコーダなど広範に用いられる。英語では“photointerrupter”と表記する。

原理と構成

フォトインタラプタは、発光側の赤外LED(波長およそ850〜950nm)と受光側のフォトトランジスタ/フォトダイオードで構成される。ハウジング内部には迷光を抑える遮光壁やスリットが設けられ、光路に被検出物が侵入すると受光電流が急減(透過型)または急増(反射型)する。受光信号は内部あるいは外付けのトランジスタ/コンパレータで整形され、デジタルTTL/CMOS入力へ直接インタフェースできるレベルに変換される。

種類(透過型と反射型)

用途に応じて下記の方式が使われる。形状や光学条件の最適化により、誤検出を抑えつつ必要なマージンを確保する。

  • 透過型:スロットの両側に発光・受光が配置され、物体が光束を遮ると出力が反転する。スリット幅とスロット深さの設計で分解能と許容オフセットが決まる。
  • 反射型:対象表面で反射した光を検知する。目標反射率、距離、角度に敏感で、背景光・色むらの影響を受けやすいが、片側実装で狭所に適する。

特性値と設計指標

フォトインタラプタの選定では、(1)光学:光出力、受光感度、スリット寸法、動作距離、許容オフセット、(2)電気:コレクタ電流、しきい値、残留電圧、漏れ電流、(3)速度:立上り/立下り時間、カットオフ周波数、(4)環境:動作温度、周囲光耐性、耐汚染性、(5)機械:スロット深さ、実装高さ、取付け精度、を確認する。ヒステリシス付き比較(シュミット)を用いるとジッタが減り誤動作に強くなる。

出力方式と回路接続

一般的な出力はNPNオープンコレクタで、プルアップ抵抗でVccへ接続する。長配線やノイズ源が近い場合は、シュミットトリガ入力やローパスでバウンスを抑える。フォトIC内蔵タイプは感度温度補償やコンパレータを内蔵し部品点数を削減できる。反射型では変調発光(例:数十kHz)と同期検波を用いると周囲光に強くできる。

用途例

フォトインタラプタは、紙送り・プリンタのエッジ検出、シャッタやドアの開閉検知、硬貨・カードの有無検出、スロット式ロータリエンコーダのスリット検出、搬送ラインでの欠品検出などに用いられる。用途の設計では、対象物の幅・反射率、応答時間、許容ミスアライメント、汚れ堆積の想定を織り込むことが重要である。

選定手順(実務フロー)

  1. 検出方式の決定:透過型か反射型かを対象形状・レイアウトから定め、必要スロット深さと距離を概算する。
  2. 速度要件の確認:最大周波数(回転体ならスリット本数×最高回転数)から必要応答を見積もる。
  3. 電気仕様の適合:電源電圧、出力タイプ(オープンコレクタ/フォトIC)、プルアップ値、インタフェース先のしきい値を整合。
  4. 環境耐性:周囲光、粉塵・油分、温度・湿度、振動を評価し、遮光フードやシール構造の要否を決める。
  5. 試作検証:治具でオフセット・角度ズレ・反射率ばらつきを与え、マージンを測定する。

実装上の注意

ハウジング周辺は遮光材で覆い、外光や隣接LEDからの迷光を避ける。反射型では対象面の色・テクスチャ・曲率で感度が変わるため、基準反射板で校正してから量産公差を見込む。スルーホール品は機械的強度に優れるが、SMDは高さ制約や自動実装に適する。フォトインタラプタ近傍の銅箔はクリアランスを確保し、ESD対策としてツェナやシリーズ抵抗を検討する。

利点と限界

フォトインタラプタは非接触で摩耗がなく、微小トルクで検出できる点が利点である。一方、反射型は表面状態や汚れ・油分に影響されやすく、透過型はスロットへの異物混入で誤動作しうる。いずれも設置時の光学アライメントと遮光設計が性能を左右するため、初期段階で治具評価を行い、メンテナンスのしやすい構造と清掃アクセスを確保することが望ましい。

関連・補完的センサ

システム全体では、対象の状態量に応じて他のセンシング要素と組み合わせることが多い。たとえば、位置や姿勢の検出には加速度センサジャイロセンサ、距離や有無検知には超音波センサ、圧力系の監視には圧力センサ、流体計測には流量センサ、荷重監視にはロードセル、温度補償にはサーミスタ、機械の健全性監視には振動センサが補完的に用いられる。検出対象・環境・必要分解能を明確化し、最小構成で信頼性の高い検出系を構築するのが基本である。