スキャナー(半導体製造装置)|半導体露光を担う

スキャナー(半導体製造装置)

半導体の微細化が進む現代の製造工程において、スキャナー(半導体製造装置)は極めて重要な位置を占める。従来から光学的な露光工程にはステッパーが用いられてきたが、より高い解像度と生産性を求めて導入されたのがスキャナー(半導体製造装置)である。ステッパーでは基板を一度に一画面ずつ露光する方式を採っていたが、スキャニング方式ではレチクルとウェハを相対的に動かしながら逐次露光することで、さらなる微細化と高いスループットを実現する。これにより、最先端のデバイスが求める10nm台あるいはそれ以下のライン幅でも、量産ラインで高い生産能力を確保できるようになっている。

役割

スキャナー(半導体製造装置)の役割は、フォトレジストが塗布されたウェハ表面に回路パターンを正確に写し取ることである。光源からの露光光はレチクルという回路パターンを備えたガラス上を通り、高精度の投影レンズを介してウェハへ到達する。この際、露光領域を微細に走査することで高解像度を得ると同時に、重ね合わせ精度を厳密に管理する。回路パターン同士のずれを最小限に抑えることが、デバイス歩留まりを左右するため極めて重要である。

使用される技術

レーザー光源を用いたエキシマレーザー方式の採用が一般的であり、ArF(193nm)やKrF(248nm)がよく知られている。また、最新世代ではEUV(Extreme Ultraviolet, 13.5nm程度)を用いた露光技術も導入され始めている。これらの装置には超高精度のアライメント機構や制御ソフトウェアが組み込まれており、鏡筒内の光学系は小さな歪みすら許さない厳格な設計が求められる。半導体の世代交代に合わせて、高NA(Numerical Aperture)やイマージョン技術などの革新も進められている。

工程での位置付け

スキャナー(半導体製造装置)が担当する露光工程は、フォトリソグラフィ工程の中心的存在である。フォトレジスト塗布工程で形成された感光膜に回路パターンを焼き付け、その後の現像工程で不要部分を除去してパターンを形成する。エッチング、アッシング、洗浄などの工程と組み合わせることで、複雑かつ微細な配線やトランジスタ構造をウェハ上に作り込んでいく。高い解像度を実現するためには、露光だけでなく前後工程の精密度も重要だが、スキャナーの性能は全体の歩留まりを大きく左右する要因となっている。

露光条件と制御

露光条件には照度、焦点深度、波長、レチクルの品質など多くの要素が関わっている。これらのパラメータはウェハごと、あるいは工程ごとに最適化が行われ、アライメント装置がウェハ位置を正確に補正することで高い重ね合わせ精度を達成する。制御システムにはリアルタイムの誤差補正や熱膨張対策も組み込まれており、ミリ秒単位で補正情報をフィードバックしながら高速にスキャンを行う点が特徴である。

ステッパーとの比較

ステッパーが基板全体を区画に分割して順次露光するのに対し、スキャニング方式ではレチクルとウェハを同時に動かしながら露光範囲を広げていく。ステッパーは小規模生産や比較的緩やかな精度要求には適しているが、微細化が加速する現在では高精度かつ大量生産対応が求められるため、スキャナー(半導体製造装置)への依存度がますます高まっている。特にEUVでの実用化が進むにつれ、スキャナーの技術的複雑さは飛躍的に増している。

近年のトレンド

近年では、投影レンズの数を増やすことで高い解像度を保ちつつ、大口径ウェハへの高速露光を目指す試みが進められている。また、高い露光精度を維持するために、ウェハステージの高速かつ高精度な制御技術やアライメント計測方式も日々進歩している。これらの要素は装置コストを大幅に引き上げる一方で、半導体の性能や省エネルギー特性に直結しており、製造メーカー間の競争が激化している。

  1. ASMLやNikon、Canonなどが代表的なスキャナー製造企業である。
  2. 特定波長のレーザー技術進化が高NA化を可能にしている。

生産効率への影響

装置のセットアップやキャリブレーションに時間や手間がかかる一方で、スキャン方式による高速処理はトータルの生産効率を大きく引き上げる。また、マルチパターン露光などの工程を必要とする先端ノードほど、高精度かつ高スループットを両立するスキャナー(半導体製造装置)が製造ラインでのボトルネックを緩和してくれる。装置導入には莫大なコストを要するが、歩留まり向上とラインのスループット増大によって、その投資を十分回収できることが多い。

メンテナンスと保守

スキャナーは極めて高精度な光学系と機械的機構を内包しているため、定期的なメンテナンスが必須である。クリーンルーム内でも僅かなパーティクルの侵入が大きな障害を引き起こす可能性があるため、光学系やステージのクリーニングには細心の注意を払う。さらに、交換部品や光源の寿命管理、各種センサーの校正なども定期的に実施される。これらの作業によって安定した露光性能を長期間維持できる点が、先端デバイス量産における信頼性確保の要となる。

  • 高価なレンズ交換部品の在庫管理が必須。
  • 特殊なガス環境の管理システムが要求される。