ガイウス・ユリウス・カエサル|共和政から帝政ローマへの英雄的将軍

ガイウス・ユリウス・カエサル

カエサルは平民派の政治家で大衆の支持を背景にローマの独裁者として権力を握った。ポンペウイス、クラッススとともに第1回三頭政治を行う。当初は二人に対して劣勢であったが、前58年からガリアへの遠征を成功させて権力基盤を固めた。ポンペイウスと対立して、これを打倒し、前46年にディクタトルとなり、さらに前44年終身ディクタトルとなって独裁権を握る。属州の徴税請負人の廃止、ユリウス暦の採用などの諸改革を実施したが、ブルータスらの共和主義者によって暗殺された。『ガリア戦記』の著作でも知られる。

カエサル

カエサル

三頭政治

三頭政治は、前59年から53年まで続いた、カエサル、クラッスス、ポンペイウスとの協約関係のことをいう。皇帝として君臨しようとしていたカエサルに対して、共和政を守ろうとする元老院とは敵対関係にあった。元老院に対抗し、権力を手中におさめるため、元軍司令官のポンペイウスと経済力に優れ騎士階級クラッススと協約関係を結び、ローマ帝国三頭政治と呼ばれる支配体制をし敷いた。

カエサル

カエサル

巨額な負債

カエサルは多額の負債をもつことによって債権者に対して立場が強くなるという関係を逆手にとり、戦争や私用に資金をつぎ込んだ。

ガリア戦記

ポンペイウスやクラッススと比べて力が弱かったカエサルであったが、ガリアを管轄する総督として任命され、反ローマ勢力との最前線を担うことになった。管轄のローマ兵はカエサル個人への忠誠心を誓うようになる。功績をあげるにつれ、民衆の支持は高まり、ポンペイウスやクラッススを抜く勢力となり、三頭政治のバランス関係が崩れ行く。記録は『ガリア戦記』に綴られている。

「賽は投げられた」

ポンペイウスは自らが劣勢であることを自覚すると、元老院に近づくようになる。ポンペイウスと組んだ元老院はカエサルとの敵対関係であると公言すると、カエサルは元老院を明確に政敵と決断する。ガリアから当時イタリアの北の国境であったルビコン川まできたカエサルは、「賽は投げられた」との言葉を発して川を渡り、大軍を連れてローマへ進軍することとなり、ポンペイウス・元老院とカエサル軍の内乱状態に陥る。

内乱

ポンペイウスは多くの元老院を率いてローマを脱し、ギリシア方面で兵を整えようとする。カエサルは容易にローマを制圧したが、ギリシア方面で兵力を拡大していったポンペイウス・元老院はカエサル軍の三倍を超える軍勢を集めた。しかし、ガリア遠征を乗り越えたカエサル軍は優位を保ったまま進軍し、ポンペイウスをエジプトまで追い詰める。

クレオパトラ

ポンペイウスはクレオパトラの弟であるエジプト王に近づくが、カエサルを支持したエジプト王に殺害される。カエサルはポンペイウスの死を引き換えに自らのエジプトの紛争の協力を願い出るがカエサルはそれを拒否、軟禁状態に追い込まれる。女王クレオパトラカエサルを救うことでローマの援助を勝ち取った。結果、カエサルは内乱で窮地にあったクレオパトラを助け、王位につけた。

独裁体制

10年ほどエジプトに滞在するが、その間ローマは困窮したため、ローマに戻り沈静化を図る。カエサルは任期10年の独裁官となり、最高軍司令官・最高神官の地位を占め、護民官の神聖権も握り、元老院を無視して自ら法律を作ることもできるようになった。

元老院改革

元老院はポンペイウスとともにカエサルを裏切ったが、元老院の降伏者に対しては、寛大な処置をとったが、元老院を弱体化させるため、属州や騎士階級からも議員を登用し、600人だった議員団を900人まで増やした。

植民市

退役兵を多数の植民市を建設して入植させた。

パンとサーカス

競技場

競技場

一般民には安価な穀物を供給し、豪華な剣闘士や野獣のショーを数多く催した。自分の名をつけたフォルムを建てるなど、公共建築もおこなった。

ブルータス

カエサルは、愛人の子であるブルータスを側近においた。息子のいなかったカエサルにおいて、息子の代わりのような存在として育て、多くの重要な法案をカエサルとともに共に通し、後継者として扱った。

クレオパトラ

カエサルを追いかけるため、クレオパトラローマまで来訪する。クレオパトラカエサルの息子としてカイサリオンを紹介する。ローマの王であるカエサルエジプトの女王の間に子どもができたことは大きな衝撃となった。

ブルータスの裏切り

カイサリオンの登場で、権力をもったブルータスはその立場を危うくすることを意味する。カエサルがパルティア遠征を計画して、そのために「王」の称号をえようとしていると噂が流れると、、カッシウス(?~前42)・ブルータス(前85~前42)らがカエサルを暗殺した。

神格化

カエサルは暗殺されたが、兵士や民衆は悲しみ、盛大な火葬にした。カエサルの魂が昇天して星になったと証言され、カエサルは神ユリウスとされた。

第2回三頭政治

カエサル派のアントニウス(前83頃~前30)がそれを利用してカエサルを神格化し、ブルータスらは追放された。アントニウスとレピドゥス(?~前12)、カエサルの遺言でその養子とされたオクタヴィアヌス(前63~後14)の3人が国家再建の任を負い、第2回三頭政治が成立したが、内乱は続くことになる。

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