ゴールデン・W・オルポート|心理学,パーソナリティ

オルポート Gordon.W.Allport

オルポート(1897 〜1967)は、アメリカ合衆国の心理学者。主著『個人と宗教』『パーソナリティ ーの形態と成長(人格心理学)』。ハーバード大学で心理学の教授をつとめた。第二次世界大戦中はデマ(流言)の心理を研究し、その後は人間のパーソナリティー(人格)の成長について研究した。彼の特性論に関する議論は、人間性心理学の先駆けとなる。神経症などを研究するフロイトの精神分析学の偏りを批判し、正常な人間の人格の構造と活動を日常生活の中で理解しようとした。 また、人間の心理を統計や実験によって分析する自然科学的方法に対しても批判的で人間の中心を人格の活動に見る人間学的方法をとなえた。

ゴールデン・W・オルポート

ゴールデン・W・オルポート

オルポートの生涯

1897年、インディアナ州に生まれる。父親は実業家でありながら医者でもあった。ハーバード大学出身で、学生時代にウィーンでフロイトと出会うが、訪問の動機を誤って解釈されてしまった。この経験を元に、深層心理学に疑問を持つようになる。深層を分析する心理学とは距離を置き、目に見えている明白な動機を十分に認識する心理学を志した。その後シェルドン海外留学奨学金によってヨーロッパに2年の留学を実現した。このヨーロッパの留学に置いて、アメリカにはない、「全体」、「構造」、「生の形式」といった概念を知る。中でもW・シュテルンから学んだ、差異心理学はオルポートの心理学を特徴づけた。
その後、特性の理論を発展させながら、学会に貢献し、1935年、アメリカ心理学連合の会長に選ばれた。このころ『パーソナリティ・心理学的解釈』を出版した。

オルポートの成熟した人格の特徴

  1. 社会的領域への自己意識の拡大
  2. 他者との暖かい人間関係
  3. 情緒的安定と自己受容
  4. 現実世界と接触する知覚と技能
  5. 自己の客観視(自己洞察)とユーモア
  6. 人生を統一する人生哲学

パーソナリティ

パーソナルティとは、「その環境に対する、その人独特の適応を決定する心理・生理的体系の個体内における力動的体制」である。

特性論

特性論とは、人の性格を単純な要素(特性)でわけていき、その要素の集合から性格を形成するという立場をいう。オルポートは、人の性格を、多くのひとが共通してもっている共通特性とその個人固有の個人特性のふたつにわけた。

特性とは、多くの刺激を機能的に等価にし、等価の(意味的に一貫した)順応的、表出的行動を触発し、導く力をもった神経精神的構造である。

異文化接触

オルポートは、多種多様な人種が共生するアメリカ社会において、職場や住居など日常の環境下でそれぞれが接触することで生まれる偏見について実証実験を行った。異文化接触するためには、下記の3点の条件が必要であるとした。

  • 対等な関係
  • 共通の目的
  • 組織的な支援

このような3点を有機的に噛み合わなければ、かって異文化接触は正常に成り立たず、状況は悪化することもある。共通の目標と台頭の地位での接触、さらには制度的な支援によって単なる「接触」から「関わり」となり、アメリカ社会、その他の多民族の社会や小さなコミュニティにおいても、異文化同士の関係性を保つことができる。

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