防衛機制|精神分析学,心理学,すっぱい葡萄

防衛機制 defence mechanis

防衛機制とは、欲求不満から生まれる不安や緊張から自我を守るための心の自動的な働きのことである。フロイトによって提起された精神分析学の概念。自我は、苦しい現実に直面すると、さまざまな防衛機制を働かせて苦しみから逃避し、自我の安定を守ろうとする、その働きを防衛機制という。
具体的には、合理的解決、抑圧、合理化、同一視、投影(投射)、反動形成、逃避、退行、代償、昇華、近道反応がある。
ただし、防衛機制は、欲求不満の原因そのものをとりのぞくことしない。ただ心の中の苦しみだけを解消しようとするのみである。精神分析は自我を守ろうとする防衛機制の奥深くを探り出し、仰圧された苦しみを意識化し、苦悩を体験しながら苦しみの原因を合理的に解決しようとする。

防衛機制
防衛機制

目次

合理的解決

合理的解決とは、欲求を合理的な手段によって満たし、欲求不満を解決すること。

抑圧

抑圧とは、不安や苦しみを引きおこす観念や欲求を、無意識の中に押しこめること。自分はそのような観念や欲求を持たないと思いこむことによって、もしくは、嫌な記憶を思い出せないということによって、自我の安定を守ろうとする。抑圧は、苦しみを回避するための自我のさまざまな防衛機制の基礎になるものである。しかし、抑圧が強すぎると心にひずみが生まれ、自我の不安や精神的な病理、身体的な症状を引き起こすことも少なくない。

合理化

合理化とは、自分の行動にもっともらしい理由や説明をつけて、自分の立場を正当化すること。人間は分が悪い経験をすると、負け惜しみによる自己満足や、やせ我慢をすることによって自らを納得させる。合理化の例としては、イソップの物語の、キツネが木の枝のブドウを取れず、「あのブドウは、すっぱいに違いない」と理屈をつけて納得する逸話が上げられる。

同一視

同一視とは、他人が持つ能力や価値や功績をあたかも自分が持っているように想像し、自分をその他人と同一であるように思いこんで自己満足を図ろうとすること。あこがれている人物や、映画や小説の主人公に自分を重ね合わせ、自分の価値が高いと思いこんで満足する。具体的には任侠映画を見て自らが強くなったと思い込むことや、アニメやマンガの主人公にあこがれ、自分がヒーローのように強くなったと空想して満足すること。

投影(投射)

投影(投射)は、自分の中の認めがたい考えや感情を相手に重ね合わせ(他人の責任とし)、相手がそのような感情を持っていると思いこむこと。自分の持っている敵意を相手に投影して、相手が自分を敵視していると思って攻撃を正当化したり、相手に責任をなすりつけて、相手を非難する責任転嫁などが上げられる。

反動形成

反動形成は、自らの好ましくない特徴や感情に対して、反対の行動を誇張することによって、それらを抑えることである。憎しみを持っている相手に過度に親切にして、自分が持っている敵対心や攻撃性を抑えること、臆病な人が他人にいばったり強がったりすること、強い性的嗜好をもつ人が性を否定的に扱ったり無関心を装うこと、などである。

逃避

逃避とは、自らの欲求が満たされないとき、その問題を解決しようとしないで、他のところに逃げこむこと。自分の中に逃避して孤立したり、空想や白昼夢にふけったり、遊び・スポーツ・芸術などの現実と関係のない世界に夢中になったり、また神経症をおこして病気の中に逃げこんでしまうことなどである。

退行

退行とは、欲求が満たされず、小さな子どもの段階に逆もどりしてしまうこと。発達以前の段階にもどって幼児のような行動をとることで、より安全で負担のかからない状態に自分を置こうとすることである。弟や妹が生まれて親にかまってもらえない幼児が、赤ん坊の状態にもどって甘えようとしたり、大人が緊張すると子どものようにつめをかんだりすることなどである。

代償

代償とは、ある欲求が満たされないとき、よく似たかわりのもので欲求を満たすこと。ペットを飼ってもらえない子どもかわりに、ぬいぐるみをかわいがって欲求を満たすこと、自分の持つある欠点や弱点について劣等感を持つ人が、ほかの方面で能力や才能をのばしてその苦しみを克服することなどである。

昇華

昇華とは特に性の衝動や自らの攻撃性などの本能に基づく欲求を、社会的に認められた目標に向けてそれを満たすことである。低俗とされる本能的な欲求を、文化的に価値のある 学問・研究・芸術・スポーツ・ボランティア活動などに向け、創造的な活動のエネルギーに転化して発散させることである。心理学者のフロイトは、芸術や宗教などの文化は本能的な性の欲求が昇華されて生まれたものであるとした。

近道反応

近道反応とは、欲求を満たすための適切な行動をとらないで、衝動的・短絡的行動に走ること。

失敗反応

失敗反応とは、欲求を環境にあわせて満たすことができず、まわりの環境への適応に失敗し、欲求不満におちいること。


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