金属材料の種類
金属材料の種類は、鉄鋼(炭素鋼)、鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金、合金鋼がある。機械設計においては、価格や加工しやすさ、耐熱性、錆びの有無など様々なファクターを取り入れながら材料が選択される。金属記号には、それぞれの特徴や性質が示されることが多い。
鉄鋼
鉄鋼は、S45CやSS400に代表される鉄鋼で加工性が良く安価な金属材料である。溶接や熱処理が適しているため一般的に使用される素材である。炭素鋼(S45Cなど)や一般構造用圧延材(SS400等)が使用される。
- SS400:強度を基準とした炭素鋼
- SS400 D:ミガキ棒鋼
- S45C:数値(45)は炭素の含有量を表しており、数値が多くなるほど炭素が多い。
- FC400:ねずみ鋳鉄。鋳造品(鉄を溶かしてから型に合わせて固める)に使用する炭素鋼
- SS:一般構造用圧延鋼材。
- S-C:機械構造用炭素鋼鋼材
- SGP:配管用炭素鋼鋼管
- SM:溶接構造用圧延鋼材
- SPHC、SPHD、SPHE:熱間圧延軟鋼板および鋼帯
- SPCC、SPCD、SPCE:冷間圧延軟鋼板および鋼帯
- STK:一般構造用炭素鋼鋼管
- STKM:機械構造用炭素鋼鋼管
- SK:炭素工具鋼鋼材
- SUP:ばね鋼鋼材
鋳鉄
- FC:ねずみ鋳鉄品
- FCMB:球状黒鉛鋳鉄品:FCD黒心可鍛鋳鉄品
- FCMW:白心可鍛鋳鉄品
- FCMP:パーライト可鍛鋳鉄品
鋳鋼
鋳鋼は機械的性質に優れている一方で融点が高いため鋳造が困難である。しかし、設計された機械部品の形状が複雑で、高強度、高靭性、耐摩耗性、耐食性などが要求される場合、鋳鋼品(steel cast)が用いられる。
- SC:炭素鋼鋳鋼品
- SCS:ステンレス鋼鋳鋼品
- SCW:溶接構造用遠心力鋳鋼管
ステンレス鋼
ステンレス鋼は強度に高く、熱に強い、錆びない、といった性質があるため、広く使われている。直火が当たる部品や水中での使用など汎用性は高い。しかし、粘っこい性質を持つため、他の材料と比べると加工が難しい。材料記号はSUS・・・で続くもの多い。「SUS304」はもっとも代表的なステンレス鋼である。
アルミニウム合金
アルミニウム合金は一般に、軽量(約2700kg/m³)、柔らかく、加工性の良さが特徴としてあげられる。代表的なアルミニウム合金である純アルミニウム系(工業用アルミニウム、1000系)は、展延性 (のばしたり、曲げたりしてもちぎれにくい性質)がよく、溶接性にも優れている。しかし、強度が低いことや、粘り気が強く切削性が悪い。
- A1100:純アルミニウム(軽いが、切削加工には不向きである。)
- A2011:快削合金(切削性に優れている。)
- A2017:ジュラルミン(強度が高い。)
- A2024:超ジュラルミン(強度が高く、ジュラルミンよりせん断強さや疲れ強さが優れている。)
- A7075:超々ジュラルミン(超ジュラルミンより強度が高い。)
代表的なアルミ材料記号の分類
- A1□□□:工業用純アルミニウム。(99.0%以上)。
- A2□□□:銅系アルミ合金。ジュラルミン。
- A3□□□:マンガン系アルミ合金。
- A4□□□:硅素系アルミ合金。
- A5□□□:マグネシウム系アルミ合金。
- A6□□□:マグネシウム・硅素系アルミ合金。
- A7□□□:亜鉛・マグネシウム系アルミ合金で超超ジュラルミンなど。
銅合金
銅合金は、導電性に優れているため、導電性を必要とする電気機械に使われる。鉄鋼材料と比べて、高価な素材なため強度部材には適していない。機械材料として使われる銅合金としては黄銅(真鍮・しんちゅう)がある。黄銅は、銅と亜鉛を主成分とした合金であり、鉄鋼やステンレス鋼と比べて切削性がよく、ハンダや銀ロウとの相性がよい。
- C1100:銅(99.90以上)
- C2801:60/40黄銅。銅が約60%、亜鉛が約40%の銅合金
- C3604:快削黄銅
合金鋼
- SNC:ニッケルクロム鋼鋼材
- SNCM:ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材
- SCr:クロム鋼鋼材
- SCM:クロムモリブデン鋼鋼材
- SKH:高速度工具鋼鋼材
- SKS、SKD、SKT:合金工具鋼鋼材
- SUS:オーステナイト・マルテンサイト系ステンレス鋼板