超人|ニーチェの超人思想

超人

超人とは、ニーチェの言葉で、ニヒリズムに陥った人間を通過点とし、その超越の極限にたつ存在である。超人は価値が喪失した中で、なおをも生を肯定し、キリスト教に代わり、道徳や倫理の彼岸に立ち、民衆に命令を下す存在である。ニーチェは、ヨーロッパの伝統的な形而上学やキリスト教を否定し超人思想を語ったが、その定義が曖昧で明確でなかったため、その後、さまざまな解釈を可能にすることとなる。文学や芸術、哲学、思想に影響を与え、政治的にはナチスドイツに利用されるなどした。

ニーチェ

ニーチェ

ニヒリズムの到来

ニーチェは、神が死んだ!と宣言し、キリスト教という、これまで人間存在に生きる意味を与えてきた神が死んだ。
これはニーチェの、あるいは当時の、あらゆる価値や無意味さあらゆる価値の無意味さや無根拠さがある。人々は生きる意欲を失い、ただ嘆き悲しむようになる。この状況をニヒリズムという。(ニーチェのニヒリズム

超人思想

超人は、絶望的なニヒリズムの状況において、なおも、生きんとする意欲を失わず、生を積極的に肯定し、喜びさえも見いだすことのできる強靭な存在である。「人間」とは「動物と超人とのあいだに張りわたされた一本の綱」であり、「いつの日か大地が超人のものとなるように、大地に身をささげる者」である。

『ツァラトゥストラ』第一部の冒頭

わたしはあなたがたに超人を教える。人間とは乗り超えられるべきあるものである。・・・超人とは大地の意義である。あなたがたは意志の言葉としてこう言うべきである。超人が大地の意義であれと

神の代わりとしての超人

超人思想において、人間はわれわれが目指すべき目標ではない。人間は、来るべき者のための没落を意味し、おのれを犠牲にする者で、偉大で愛されるべき存在である。一方、超人はこの大地に、すなわち現実の生そのものに忠実となり、卑小な存在を自らの力で乗り超えてゆく。既成の価値を破壊し、全くの無から新しい価値を創造しようとする彼らは、人々から悪魔と恐れられるが、過去や未来の人間の意義を認め、神に代わって人類を支配する高貴な存在である。

超人

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超人思想の影響

ニーチェの超人思想は、後世の人々に様々な解釈を与え、「遺伝」や「血統」、「新しい民族」、「弱肉強食」と結びつく。政治的には、ドイツ・ナチスの思想に利用された。思想や哲学では、実存主義に影響を与え、その他文学や芸術に結びついている。

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