紫式部|『源氏物語』の作者,清少納言

紫式部

紫式部は、平安時代に活躍した文学者である。主著は『源氏物語』『紫式部日記』。生没年はわかっていない。一条天皇の中宮・彰子に仕えながら書いた『源氏物語』は世界最古の長編小説である。紫式部の日記『紫式部日記』とともに当時の宮廷儀礼や風俗を知る貴重な史料なっている。

紫式部
紫式部

目次

紫式部の略年

998年   藤原宣孝と結婚
1000年頃 夫の宣孝が病死する。翌年頃から『源氏物語』の執筆を開始しる
1005年  菅原道長より、中宮彰子の女房として宮中に出仕する
1013年頃 宮中を辞す。

※生没は不明

紫式部の生誕

紫式部の生年はわかっていない。父は藤原為時で、庶流とはいえ藤原氏系列で名門の家系であった。藤原為時もまた漢詩や文章の才能に優れていた。紫式部の本名は不明だが、父の官職(式部大丞)にちなんで、『源氏物語』の藤式部という女房名で呼ばれた。一説によると、死後、『源氏物語』に出てくる「紫の上」にちなんで「紫式部」といわれるようになったと言われている。

藤原宣孝と結婚

998年(長徳4)、紫式部は、20歳ほど年上だった藤原宣孝と結婚した。翌年には賢子(かたいこ)という娘が生まれた。賢子(かたいこ)の出産を境に藤原宣孝とは不仲になっていったといわれている。1000年頃、結婚から2,3年で藤原宣孝が病死した。

『源氏物語』の執筆を開始する

『源氏物語』は、1000年頃、藤原宣孝の死後に書き始めたとされている。紫式部の『源氏物語』は評判を呼び、京の人々の間で知られるようになった。

菅原道長

1005年(寛弘2)、紫式部が源氏物語を書着始めて4-5年後、自分の娘を天皇の後宮に入れることで、天皇家と外戚関係をつくろうとしていた、左大臣の菅原道真は、紫式部の文才を高く評価し、一条天皇の中宮である娘の彰子の女房として取り立てた。その後は彰子の女房を務めながら、『源氏物語』を執筆した。

彰子

『栄華物語』によれば、彰子に仕えた女房は40人ほどおり、その中のひとりが紫式部であった。誰もが容貌・教養ともに優れ、立ち居振る舞いは優雅であったと言われている。
宮廷に入った式部は、彰子に仕えながら、宮廷生活のさまざまな体験をもとに、『源氏物語』を書き続け、評判はよく一条天皇にもその名が届いた。1013年(長和2)頃に、紫式部は宮廷を去ったと考えられているが、このころには完成させたと考えられている。なお、紫式部が女房として仕えている間、彰子は一条天皇の皇子を産み、皇太后になる。

清少納言

清少納言は中宮となった藤原定子(藤原道隆の娘)に仕えた。文人として二人は牽制しあう仲であったが、直接交流をもった記録は残っていない。紫式部が出仕したときにはすでに清少納言が宮仕えを退いたあとだったことがわかっている。また、『紫式部日記』には、したり顔をして高慢な態度と評しており、互いによい評価を下していない。

後宮

藤原彰子は12歳のときに、一条天皇のもとに入内し、一条天皇には、皇后定子と中宮彰子の2人が立ち、それぞれが後宮をつくったが、彰子が入内して6年ほどして、紫式部が彰子の後宮に加わっている。後宮には教養や機知が求められ、和泉式部や赤染衛門なども仕えていた。なお、定子の後宮には、清少納言が仕えていたが、『紫式部日記』の中で清少納言や同僚の女房を批判している。

晩年

紫式部は『源氏物語』という大作を世に出したが、女房であったため、晩年の記録は残っていない。一説では、父の藤原為時が、越後守として任地におもむき、娘の賢子とともに父親のもとで晩年を過ごしたのではないか、と考えられている。

賢子

紫式部の娘の賢子は、後に歌人として大成し、後冷泉天皇(ごれいぜい)の乳母となった。関白・藤原道兼の子である藤原兼隆と結婚している。

石山寺

石山寺は現在の滋賀県大津市に位置し、紫式部は石山寺を参詣した折、『源氏物語』の着想を得たと伝えられている。『枕草子』にも登場し、清水寺や長谷寺とともに霊験あらたかな寺として、多くの参拝者を集めた。

幼少期の逸話

『紫式部日記』により書きのようなエピソードが伝わっている。父の藤原為時は、為時が、紫式部の兄の惟規に『史記』を教えていた。それを傍らで聞いていた紫式部は、兄よりも先に覚える、藤原為時は紫式部が女であったことを嘆き、この子が男であったなら、将来は学者だっただろうという言葉を発した。

『源氏物語』

『源氏物語』は、世界最古といわれる長編小説で日本文学のなかでも高い評価を受けており、現代にも伝わっている。紫式部は夫である藤原宣孝の死後書き始め、全試帖の完成には、2年余りの歳月が費やされたと言われている。光源氏を中心とした人々の恋愛模様を通じ、純粋に生きることの哀しみと美しさを、雅やかな文体と豊かな想像力で描き上げた。


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