ヤーコプ・ベーメ 1575-1642
近代ヨーロッパ・ルネサンス期のドイツの神学者。ドイツのゲルリッツに生まれる。貧しい農夫の子としてうまれ自らは靴職人であった。学識はないものの、自己の体験と瞑想からその思想をうちだてた。神秘的汎神論的立場にたち、神の力はあらゆるもの、自然や人間も支配していると考えた。それゆえ、自然における同様に我々の内部においても神の生命が働いている。神は自然に内在しているのである。我々神の中に生き、神は我々の中に生きている。決して超越しているものではない。一切のが神であるなら悪はどこから生まれたのか。神が自己を啓示するためには否定的原理を必要とする。光が自己を示すためにはその反対者である闇が必要である。神もまたその善なる本質を示すためには悪を必要とする。こうして善と悪との根源的対立は神において統一的に含まれている。ベーメの思想はシェリングやヘーゲルに強い影響を与えた。