ヘーゲルの歴史哲学|進歩的歴史観

ヘーゲルの歴史哲学

近現代の進歩的歴史観の起源はキリスト教にあり、キリスト教の終末論、つまり神の世界創造から最後の審判へ向かうと考えられているが、ヘーゲルによってこの進歩的歴史観が世俗化された。ヘーゲルは、歴史は一定の方向を持っており、最終目的は自由の理念の実現とした。

歴史の記述

事実的歴史・・・現前した出来事をそのまま記述した歴史。ヘロドトス、トゥキディデス、カエサル『ガリア戦記』
反省的歴史・・・現在を超えて出て全体を概観する。しかし、記述者の時代的背景や当時の思想、環境に影響される。
哲学的歴史・・・歴史の普遍的全体を首尾一貫したかたちで構成する。歴史が理性的に進行していくことを証明する。

歴史哲学の基本思想

歴史は精神の活動の展開過程であり、精神の自己意識である。歴史は自由の理念の発展課程であるといえる。「世界史は自由の意識、自由の精神の発展と、この意識によって産み出される自由の実現の過程とを叙述する。」

歴史展開

中国・・・個(個人)と普遍(共同体)が未分離で共同体が個人を支配する。(家族制度)歴史的発展の可能性がなく、皇帝だけが自由で精神は埋没してしまう。
インド・・・共同体は特殊な権力へと解体される。しかし、この特殊を統一する国家が欠如しており、全体は一貫性がなく発展はしない。強いカースト制度のため身分は固定されてしまう。
ギリシア世界・・・個と普遍が別れている。個人と国家の結びつきが強く、精神は国家、ギリシア神話や芸術作品などに対象化される。ただし、最終的には内部分裂を克服できずに解体されてしまう。
ローマ世界・・・抽象的全体(ローマ法、人格)が個人を支配してしまう。個人はここから逃れるために内面へと引きこもる。王制と貴族制、貴族と平民、党派争いなどの二項対立をうちにひめている。しかし、分裂しているゆえに両者を統一するキリスト教が生まれた。
ゲルマン世界・・・民族大移動からカール大帝まではキリスト教を取り入れ個と普遍が情緒的に一体となっている。中世にうつると、国家と教会が分裂し対立。普遍は消え去り、教会は堕落、国家は分裂する。これが宗教改革以降、普遍が内面へと取り返される。自律的な主体が成立し、啓蒙思想を背景に個人を解放し、ナポレオンが各国に自由を伝える。すべての人げ自由となり、個と普遍は国家によって統一される。

ヘーゲル

ヘーゲル

「東洋はひとりだけが自由であることを知るだけであり、ギリシアローマは特定の人々が自由であることを知り、ゲルマン世界はすべての人間が自由であることを知っている。」

『歴史哲学』ヘーゲル

世界史は自由の意識、自由の精神の発展と、この意識によって産み出される自由の実現の過程とを叙述する。

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