プラトンの魂論
プラトンは精神的なものと物質的なものを区別し、精神的なものを上位においた。これはミュトス的宇宙論で示された魂論、すなわち、魂の不死、肉体にたいする魂の優位などの思想にはっきり現われている。デミウルゴスは、動物を作るにあたって、先に世界霊を作ったのと同じ材料から、 まず動物の中に不死と呼ばれるに相応しい、常に正義にしたがう神的指導者を作った。それが魂である。この魂に万物の本性を見せてやり、また運命の法則を継げた。次にデミウルゴスから生まれた他の神によって、肉体は火、土、水、空気から作られ、肉体の中に魂を閉じ込めた。肉体は死すべきもので、肉体の死後、魂はまたもとに返される。魂は、人間が生まれる前から存在し、土、水、火、風から作られる肉体とは区別され、非物質的で不死である。
魂の不死論
- 不死なる魂を神聖視
- 運動の原理。(魂は物体界を動かす原理)
- イデア界と物体界を結ぶ原理
魂の輪廻
魂は不死なので、輪廻を行う。
デミウルゴスによって作成・地上の動物の中に入る。
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死ぬと魂は審判を受け、天上界へ行くか、刑罰をうけるため、地上へ行くか決められる
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千年後、生を受けるか、自分で決める(くじ引き) (×9)
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一万年目にもとの自分の星に戻り、さらに新しい輪廻が始まる。
魂の三分説
プラトンは、人間の魂を、(1)もったく概念的に思惟する、魂の指導的部分である理性(logistikon)、(2)それ自身は理性(ロゴス)を持たないが、ロゴスに従って肉体的な欲望を制御する意欲的に行動する意志(thymoeides)、(3)本能的で感覚的・肉体的に盲目的な欲望を感じる情欲(epithymetkon)の三つの機能に分ける。
これを魂の三分説または魂の三分割説と呼ぶ。善美のイデアを認識する理性が命令をくだし、意志がこれを助け、欲望がそれに従うことによって人間の魂は全体として秩序ある正しい状態になる。プラトンは『パイドロス』で、魂を二頭立ての 馬車にたとえ、理性が御者になり、意志の白い馬を励まし、欲望の黒い馬を叱って馬車をあやつると述べている。