パーティクル|クリーンルームや装置で制御すべき微粒子

パーティクル

パーティクルは、半導体やディスプレイなどの製造工程で問題となる微粒子を指す言葉で、数ナノメートルから数ミクロンの大きさを持つ粒子全般を含む。微細加工が進むほど、わずかな粒子でも回路や膜を傷つけ、不良や歩留まり低下の原因になりやすい。クリーンルーム内では空気中の塵埃から装置内部の摩耗生成物、さらには化学薬品の飛沫など様々な由来のパーティクルが存在する。これを徹底的に抑制し、あるいは除去する技術が生産性向上やコスト削減の鍵を握っており、製造装置や材料、工程設計においてはパーティクル管理が最優先事項とされている。

パーティクル発生源

パーティクルは多岐にわたる発生源を持つ。代表的な例としては、クリーンルームへ流入する外部空気や人員の活動に伴う埃、装置のメカニカル部品の摩耗、ガスや薬液中に含まれる不純物などが挙げられる。特に半導体製造ではプラズマエッチングやスパッタなど高エネルギーを伴うプロセスが多く、内部で生成された微粒子が基板上に堆積して欠陥を引き起こすケースもある。徹底した気流設計やフィルタ、真空搬送など複数の手段を組み合わせることで、このパーティクル混入を可能な限り抑制する試みが行われている。

クリーンルームの役割

パーティクルを管理する上で欠かせないのがクリーンルームだ。クリーン度を規定するISOクラスやFED-STD規格に基づき、天井から下向きに制御された気流を流し、微粒子を装置外へ排出する形が一般的だ。部屋全体にHEPAやULPAといった高性能フィルタを設置し、クリーン度を一定に保つ。さらにクリーンルーム内では作業員の動きや装置間レイアウトも綿密に計画され、床下排気やロボット搬送などが組み合わされる。これら一連の対策が、パーティクルフリーに近い作業環境を構築する基盤となっている。

パーティクル測定手法

パーティクル測定には、例えば光散乱方式や凝縮粒子カウンター(CPC)などが用いられる。光散乱方式は空気中の粒子にレーザー光を照射し、その散乱光を検出することで粒子径や数密度を評価する。CPCは非常に小さな粒子を検出可能で、気体中の粒子を液滴で成長させて可視化し、計数する仕組みを利用している。また、基板表面でのパーティクル検査には表面検査装置(Surfscanなど)が用いられ、レーザー照射による散乱光で微小粒子を特定し、不良箇所の分布把握に役立てている。

装置内部のパーティクル対策

半導体製造装置やLCD製造装置では、高真空環境やプラズマ環境下で微粒子が生じやすい。スパッタやエッチング工程ではイオンや電子が基板やターゲット材料を削り、微細な金属粒子や酸化物を生成することがある。こうした内部パーティクルを抑制するため、チャンバー内壁には耐久性のあるコーティングを行い、定期的にクリーニング工程を挟むのが一般的だ。また、反応ガスやプラズマの条件を最適化し、堆積物が脱落しにくいプロセスレシピを工夫することで歩留まりへの影響を最小限に抑えている。

材料選定と表面処理

装置や搬送部品の材料としては、表面硬度や耐摩耗性に優れる素材を選ぶことがパーティクル削減の要点となる。ステンレスやアルミニウム、セラミックスなどが代表的だが、さらに表面に特殊なコーティングや陽極酸化処理を施すことで摩擦や衝突による微粒子の放出を低減する。ガス供給ラインでは樹脂製配管の脱落粒子や付着物を防ぐため、クリーニング後の高純度ガスパージが徹底される。工程全体での材料選定と処理条件が、パーティクル生成を抑える最適設計に直結する。

ウエーハ搬送と自動化

近年はウエーハ搬送の自動化が進み、真空ロボットアームやリニアトラック搬送などにより人員の介在を最小限に抑える傾向がある。人員が出入りするたびにパーティクルが持ち込まれる可能性があるため、最大限の自動化によって汚染源を排除するのが狙いだ。無人搬送車(AGV)を使用する大規模工場もあり、製造エリアへの人の立ち入りを極力制限することでクリーン度を高水準に維持している。これらの自動化技術は工場全体の稼働効率を上げるだけでなく、パーティクル対策としても有効な手段だ。

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