ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)
ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は、鉄にニッケル、クロム、モリブデンを添加した合金鋼で、優れた強度、靭性、そして耐摩耗性を持つ材料である。ニッケルの靭性、クロムの耐摩耗性、さらにモリブデンの焼入性向上効果が組み合わさることで、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は機械的負荷の大きい用途で広く使用されている。JIS規格で定められた合金鋼であり、主に高強度を必要とする機械部品や構造材料に使用されている。
材料特性
ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は、ニッケルの添加によって優れた靭性と耐衝撃性を発揮する。また、クロムは鋼材の表面硬度と耐摩耗性を向上させ、特に高負荷がかかる箇所でその効果を発揮する。モリブデンの添加により、材料の焼入性が向上し、均一な硬度を得ることが可能である。このように、ニッケル、クロム、モリブデンの特性が互いに補完し合うことで、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は高強度と高靭性、優れた耐摩耗性を兼ね備えた材料となっている。
ついでの便があったのでVFC用エクステを黒染してもらいました。帰ってから組込みます。ニッケルクロムモリブデン鋼っていう重みのあるスチール製でめっちゃ萌えます。
ダニエルマンさんのところで予約出来ます。*製品版とコレは表面処理が違いますのでご注意ください。 pic.twitter.com/hqr0pUR5iV— iberuo (@iberuo) March 9, 2023
高負荷を受ける部品
ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)の「M」はモリブデンを示しており、これにより他のニッケルクロム鋼と区別される。モリブデンの添加は、特に焼入性と靭性の向上に寄与し、これによりニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)は高負荷を受ける部品にとって理想的な材料となっている。
もしくは、ニッケルクロムモリブデン鋼。この鋼材は構造用でありますが、強度が桁外れであり、ステンレスそのものに近い。さらに錆びにくく、熱処理すると激しく硬い。
— 日曜鍛冶職人モドキ (@2m59cm) June 21, 2019
モリブデンを添加
ニッケル(Ni)4.5%以下、クロム(Cr)4.8%以下を含有しており、ニッケルクロム鋼にモリブデンを添加することで焼入れ性がよりよくなり、問題であった焼戻しもろさの対策を施している。
用途
ニッケルクロムモリブデン鋼は、機械部品や自動車、航空機の重要な部品として広く使用されている。例えば、エンジンのクランクシャフトやカムシャフト、ギア、ドライブシャフトなど、耐摩耗性と高い靭性が要求される部品に適している。また、建設機械や産業用ロボットの部品としても利用され、高い荷重や反復的な衝撃を受ける箇所でも優れた性能を発揮する。
メリットとデメリット
ニッケルクロムモリブデン鋼のメリットは、高い強度、靭性、そして耐摩耗性を兼ね備えている点である。特に、モリブデンの添加により焼入性が向上しているため、複雑な形状や厚みのある部品でも均一な硬度を得ることが可能である。一方、デメリットとしては、耐食性がステンレス鋼に比べて劣るため、腐食環境では防食処理が必要であること、また、ニッケルやモリブデンの添加により材料コストが高くなることが挙げられる。
熱処理と焼入性
ニッケルクロムモリブデン鋼は、熱処理を行うことで、その特性をさらに引き出すことが可能である。特に、モリブデンの効果によって焼入性が向上し、厚みのある部品でも内部まで均一に硬化させることができる。焼入れと焼戻しを適切に行うことで、靭性を損なわずに硬度を高めることができる。また、浸炭処理を行うことで、表面の硬度を向上させつつ、内部を柔らかく保持することが可能であり、耐衝撃性と耐摩耗性の両立を実現している。
耐食性
ニッケルクロムモリブデン鋼は、クロムの効果により一定の耐食性を有しているが、ステンレス鋼ほどの防錆性能は持っていない。腐食環境下での使用には、適切な表面処理や防錆処理が求められる。特に、塩分や湿度の高い環境では腐食のリスクがあるため、必要に応じて防食対策を施すことが重要である。
いきなりサビが出た〜👀
って当たり前な話しね😅「ニッケルクロムモリブデン鋼製」
なんて言われても…
鋼材ど素人なトラック運転手には
「鉄に他の炭素素材を混ぜ合わせたんでしょ?」
で善戦してると思います。とりあえずサビ止めスプレー吹いておきます🤣🤣🤣 pic.twitter.com/yjGU1sUivz
— キャプテン バウアー (@QaMB1Q5WNhqV63q) December 31, 2022
機械的特性
ニッケルクロムモリブデン鋼は、非常に高い引張強度と耐衝撃性を持ち、過酷な条件下での使用に適している。また、モリブデンの添加により、靭性を保ちながら硬度を高めることが可能であり、これにより高負荷環境でも安定した性能を発揮する。
加工性
加工性については、熱処理前は比較的良好であり、機械加工やプレス加工が可能であるが、熱処理後は硬度が高くなるため、加工には注意が必要である。