JIS|日本工業規格,Japanese Industrial Standard

JIS

JIS(ジス)とは、Japanese Industrial Standardの略で、日本工業規格と訳される。実務上は、JIS規格の名称が使われている。日本工業規格(JIS)とは、工業製品について、人為的に標準化を取り決めたもので、工業製品の品質の向上、生産効率の増強や合理化、公正な取引の励行など、公共社会の利益と福祉の増進に寄与することを目的としている。

JISの目的

JISは日本の工業の円滑な運営、統一ある発展、技術の進歩を目的としている。しかし、船や航空機のように、国々の間を運航するものでは、国際的な標準化は不可欠である。現在、工業製品の規格は世界各国、それぞれの事情に即していろいろな面において検討されているが、国と国との貿易が盛んになるにつれて、国際的な標準化はますます重要性を増してきている。そのためJISにおいても国際規格ISOなどに併せるようにしている。

JISの歴史

日本の規格は、1921年、日本標準規格(JES)が制定され、1939年に臨時日本標準規格(臨JES)へと改正され1945年まで続いた。1946年以後は、日本規格(新JES)が制定された。そして、1949(昭和24)年6月に工業標準化法(法律第185号)が制定され、これに基づき、日本工業標準調査会において調査審議され、日本工業規格(JIS)と呼ばれる国家規格へと発展してきた。
しかし、一度制定されたJISは、そのまま存続するものではなく、少なくとも5年を経過する日までに日本工業標準調査会において見直しが行われ、日進月歩の工業界に即応して確認・改正あるいは廃止の処置がとられる。したがって、JIS規格を参照するときは規格番号のあとにつけられた制定あるいは改正年号に注意することが必要である。JISでは表1-1のように分類番号と記号により19部門に分類し、それぞれアルファベットの部門記号がつけられ日用品、衛生用品から、なべ、かま、紙、鉛筆類にいたるまで制定されている。そしてこれらの製品には、規格に合格したことを証明するJISマークをつけて品質を保証している。JISマーク表示制度は、1949年に制定され、2005年10月に改められた。このマークのついた商品は日本工業規格に該当する製品であるとともに、日本工業の技術水準を示すものである。

  • JES:Japanese Engineering Standards
  • JIS:Japanese Industrial Standards

規格の体系と記号

JIS記号は「JIS + 分野記号 + 番号 + 年」の形で示される(例:JIS B 0000:2023)。分野記号はおおむね次のような領域を表す。

    JIS規格の分類

    • A 土木および建築
    • B 一般機械
    • C 電気・電子
    • D 自動車
    • E 鉄道
    • F 船舶
    • G 鉄鋼
    • H 非鉄金属
    • K 化学
    • L 繊維
    • M 鉱山
    • P パルプ及び紙
    • Q 管理システム
    • R 窯業
    • S 日用品
    • T 医療安全用具
    • W 航空
    • X 情報処理
    • Z その他

    表記と改正版

    年表記は最新版の識別に重要である。最新版への適合を求める契約では、旧版引用の際に「版指定」や「発行年指定」を明示し、解釈齟齬を避ける。

    規格化のメリット

    1. 品質の向上
    2. 大量生産ができる
    3. 生産能率が向上する
    4. 生産コストが低減される
    5. 互換性が大となる
    6. 工場設備を整備することができる
    7. 消費者の維持費の削減・合理化ができる

    JISマークと認証

    製品が該当規格の要求事項を満たすことを第三者が認証した場合、JISマークを表示できる制度がある。登録認証機関による審査・工場監査・市場監視が実施され、誤表示や不適合には是正要求がかかる。すべての規格がマーク制度の対象ではなく、性能規定中心の規格や試験方法規格は対象外となることがある。

    国際規格との整合

    JISはISO/IECなど国際規格との整合を重視し、「一致(IDT)」「修正(MOD)」「非一致(NEQ)」の関係を明示する。同等性が高い場合、国際規格の条文を翻案し、日本の法制・市場実態に合わせた注記や附属書を付す。これにより海外調達・輸出入の障壁を低減し、試験成績書や適合宣言の相互利用性が高まる。

    引用規格と優先順位

    規格票には規範引用規格(必須)と参考文献(任意)が区別される。適合判定では規範引用の版管理が重要で、ISO/IECが上位で改訂された場合の追従方針を原委員会で決める。

    具体例(機械・材料・電気)

    • 機械:ねじ・はめあい・幾何公差・表面性状・工具シャンク・ゲージ規格
    • 材料:鋼種記号・熱処理・硬さ試験・アルミ合金・プラスチックの物性試験
    • 電気:配線色・絶縁耐力試験・環境試験(温湿度・振動)・安全要求
    • 計測:長さ標準・トルク・質量校正・測定不確かさの表現

    ISO

    国際的な標準化機関は、スイスのジュネーブに本部がおかれ、1928年、万国規格協会(ISA:International Federation of the National Standardizing Associations)が創立された。第二次大戦と同時にその機能は中止したが、1947年、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)がISAの事業を引き継いで創立された。JISはISOに近づく方針で定期的に改訂されている。

    海外の規格

    アメリカ国家規格協会 ANSI(旧 ASA) (American National Standards Institute)
    イギリス規格協会   BS (British Standards Institution)
    ドイツ工業規格 DIN (Deutsche Industrie Normen)
    スイス機械工業会 VSM (Verein Schweizerischer Maschinenindustrieller)
    フランス国家規格 NF (Norme francaise)

    社内規格

    国家規格とは別に、一つの企業(あるいはグループ内、業界内)の中で行われる標準化が社内標準化といわれる。社内規定や社内規格と呼ばれ、一般にはその対象や内容によって技術的な事がらを規定する社内規格と業務の手続きなどを規定する社内規定との二つに大別される。実務上では、JISやISOに比べ、社内で使用される規格が優先されることが多い。