デザインレビュー(DR)|各部門の専門家や責任者が集まり評価を行う

デザインレビュー Design Review

デザインレビュー(Design Review、DR)とは設計審査ともいい、Design Reviewの頭文字をとってDRと呼ばれる。製品やシステムの開発過程における成果物を、第三者の視点から評価・審査する活動である。一般的には「問題の未然防止」、「進捗確認」、「情報の共有」を目的としている。開発の各段階において、仕様書、設計書、計画と照らし合わせて進捗を確認し、問題点の抽出や情報の共有を行い、品質向上、開発期間の短縮、コスト削減などの効果が期待される。

デザインレビューの定義

デザインレビュー(DR)とは、製品やサービスの設計初期段階において、設計書や図面などの成果物を複数部門の担当者が参加して見直し、「設計上の問題点がないか」を評価し、対策や改善案を講じる活動である。開発プロセスの節目ごとに評価を行い、次のステップへ進むべきか判断する。設計の妥当性や整合性を多角的に検証し審査するもので、単なる図面のチェックではなく、設計全体の検証を行う。

デザインレビューの目的

デザインレビューとは、一般的には企画・開発からの製造プロセスにおけるタイミングで、品質の担保を目的とした開発に携わる者だけで進行すると、製品やサービスの評価に偏りが生じ、多角的な観点が失われるリスクがある。そのため、多方面からの精査を行い、品質をより確かなものにしていく。関係者は開発部門だけでなく、プロダクトライフサイクルの流れ全体に関わる複数の者で進めていく。そのため、検図で指摘する可能性のある図面の詳細部分や設計内容とは関係のない各部門の利害対立の内容は適切ではない。

デザインレビューの必要性

製品開発において決定される事項(品質やコスト)は、設計段階で全体の80%以上を占めると言われている。設計段階でのミスは、後の工程になってから修正するほど無駄なコストや後戻りによるリソースの浪費が大きくなる。デザインレビューは、設計者が見落としがちな問題点を初期段階で発見し、品質を高く作り込み、後工程での無駄をなくす仕組みである。

QCDの向上

デザインレビューの目的は「QCD」(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)を確保し、製品やサービスを高品質に安定して企画・開発することである。事前に製品やサービスの問題点や不備を早期に発見し修正し、不備を早期に発見、修正することで、商品化までにタイムラグを小さくする。

フォーマルデザインレビューとインフォーマルデザインレビュー

デザインビューはその規模で、部内の柔軟なアプローチで行われるデザインビューをインフォーマルデザインレビュー(IDR)といい、事前に定められたプロセスに基づいて行われる規模の大きなデザインレビューをフォーマルデザインレビュー(FDR)という。

デザインレビューの各段階

デザインレビューは、商品企画から量産に至るまで、随時行われる。主に商品企画→構想設計→詳細設計→試作評価に分類されるが、商品企画や構想設計は事前に正しい情報に基づき、適切な戦略がされているかをレビューし、詳細設計ではすべてが満たされているか、試作・評価段階では、組み立て工程や量産化、適切なコストになっているかも含めてレビューする。

商品企画DR

商品企画DRでは、市場ニーズや技術動向を踏まえ、製品コンセプトの妥当性を検証する。市場調査結果によるニーズの把握、製品コンセプトの具体化、競合製品との比較分析(差別化)、技術的な実現可能性などが検討される。主に企画部門や営業部門を中心に開発部門とのすり合わせを目的としたレビューであることが多い。

見積DR

量産系の製品であれば商品企画書、受注製品であれば概略構想や見積仕様書において、見積書についてDRを実施する。DRには技術部門、購買部門、製造部門、品質保証部門が参加し、見積が適切に行われるかのレビューを行う。大きく価格、品質、納期に問題がないかを各部門の視点から意見を出し合い、戦略的に販売価格の提示を行わなければならない。大規模なプロジェクトになるほど、マネージメント層の判断が重要となる。

構想設計DR

構想設計DRでは、製品やサービスの基本的な仕様や構造、機能が検討され、設計方針の妥当性について検証を行う。機能性や使いやすさ、デザインの妥当性も評価される。開発部門を中心に企画部門、営業部門、製造部門などの参加でレビュー行う。この構想設計に基づいて下位の工程へ正式にインプットする。

詳細設計DR

詳細設計では、製品やサービスの詳細な仕様や設計が決定される。技術的な実現性や製造性、コスト効率などが検討される。基本的には開発部門内でレビューを行うが、量産化を意識した段階では製造部門の参加も必要である。

試作・評価段階DR

試作・評価では、製品やサービスの試作が行われ、実際に試作品の動作や性能が評価される。試作品の品質に問題点があれば検討され、改善が行われる。量産品では、量産に向けた問題点を洗い出し、スムーズに量産に移行させる。組み立て時に問題がないように量産部門が中心となり、開発部門がそのリクエストに応える形になることが多い。

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