めっき|金属皮膜を表面に析出させる表面処理

めっき

めっきとは、金属の表面に他の金属を薄くコーティングする表面処理技術でである。主に金属など素材の表面に金などの金属膜を析出させ、耐食性や耐摩耗性など機械的性質や装飾性を高める目的で使用される。電気めっき、無電解めっき、溶融めっきなど多様な方法が存在し、それぞれの用途に応じて使い分けられている。

めっきの種類

めっきには大きく分けて「電気めっき」「無電解めっき」「溶融めっき」の3種類がある。電気めっきは、電流を使って金属を析出させる技術であり、均一なめっき膜を形成するのに適している。無電解めっきは化学反応により金属を析出させる方法で、複雑な形状の部品にも均等にめっきが可能である。一方、溶融めっきは金属を溶かした状態でコーティングする技術で、耐久性や防食性を求められる場合に使用される。

電気めっき

電気めっきとは、電気化学的な方法で行われ、加工物を金属イオンを含むめっき液の中で陰極として電解し、その表面に金属膜を析出させる表面処理である。電気めっきでは、水素が金属中に侵入することで水素ぜい化による破壊要因となるので、必要に応じて水素ぜい化除去のための熱処理が行われる。装飾、防食、表面硬化など、その目的におうじていろいろな金属皮膜が使われる。

クロムメッキ

クロムメッキには、クロムのめっきを施す電気メッキである。通常、Hv900程度だが、耐磨耗が必要な場合はHv1100で使用される。ただし、母材が軟らかいと剥離しやすいため下地も硬いほうがよい。なお、工業用途ではなく装飾用めっきとしても使われる。

記号 膜厚(単位㎜) 特長
クロム・銀色 0.01 装飾、 防錆、耐食性、反射性に優れている。
硬質クロム・銀色 0.03 滑らかな表面と均一なコーティングを持つ。

無電解めっき

無電解めっきは、耐摩耗、防錆を目的として行われる表面処理で、素材を溶液の中に入れ、還元剤の酸化作用によって皮膜が形成される。このため、電気めっきのように浴中通電の必要がないため、プラスチックやセラミックスへのめっきが可能となる。

溶融めっき

溶融めっきは、主として鉄鋼材料の防食・耐酸化の目的で行われ、アルミニウム亜鉛、すずなどの低融点金属の溶融液中に材料を浸して引き上げることで、表面に溶融金属を凝固・合金化する表面処理である。俗的にはドブ漬けといわれる。

亜鉛めっき

亜鉛めっきは、防錆を目的としためっきで、素地に対する表面の損傷があっても周囲の亜鉛が素地よりも先に溶け出すため、素地の腐食を抑制する働きがある。亜鉛の溶融浴に部品を浸漬して引き上げ、 被覆を形成する。亜鉛は鉄鋼よりイオン化傾向が大きく電気的に犠牲陽極となるため、亜鉛めっき層が存在する限り、鉄鋼は錆から守られる。(電気めっきもある。)

記号 膜厚(単位㎜) 特長
ユニクロ(光沢) 0.008 装飾、防錆
黒クローメート 0.008 装飾、防錆
アルマイト

アルマイトは、陽極酸化処理法によって成膜されたものをいい、アルミニウムやアルミニウム合金に施される表面処理である。

記号 膜厚(単位㎜) 特長
アルマイト白 0.01 装飾、防錆
アルマイト黒 0.01 装飾、防錆
アルマイト硬質 0.03 耐摩耗 Hv350-400

めっきの用途

めっきはさまざまな分野で利用されている。例えば、装飾目的として金や銀をめっきしたアクセサリーが挙げられる。また、電子部品の接点に金めっきを施すことで、接触抵抗を低減し、信頼性を向上させることができる。さらに、耐食性を高める目的で亜鉛めっきが建築資材に施され、自動車のボディやインフラ構造物を腐食から守る役割を果たしている。

メリットとデメリット

めっきのメリットには、基材の耐食性や外観を向上させること、摩擦を低減することが含まれる。しかし、めっきにはコストがかかることや、環境負荷が高い場合がある点もデメリットとして挙げられる。特に電気めっきや無電解めっきでは、有害な化学物質を使用することが多いため、廃液処理が課題となっている。

めっきの環境への影響と対策

めっきプロセスでは、多くの化学薬品を使用するため、環境への負荷が問題となることがある。例えば、六価クロムなどの有害物質が廃液に含まれることがあり、適切な処理を行わなければ環境汚染の原因となる。そのため、現在では環境に配慮した技術開発が進められており、無害な化学薬品を用いためっき技術や、廃液を効率的に処理するためのシステムが導入されている。

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