『人性論』 ヒューム

『人性論』 ヒューム

1739年に二巻が、1740年にその三巻が匿名で出版され、当初は注目されることはなかった。「熱心な人々の間にざわめきを引き起こすほど有名にもならず、輪転機から死産した。」

人性論 ヒューム

人性論 ヒューム

知覚について

ヒュームは人間のいっさいの事実に関する知覚を「印象」(impression)と「観念」(idea)のふたつにわける。観念は印象の淡い映像のようなものであり、印象は観念の先にあるといえ、観念から生まれる。印象はどこから生まれるのか、この問いに答えることはできない。それは未知の原因から、としか言えず、我々にはわかりえないある物としか言えない、とし、議論を拒否する。また、この印象と観念のち外を突き進め、経験論の中で複合された観念を、「類似」、「時間および場所における接近」、「原因と結果」の3つに分けをあげて議論を行う。特に因果律の否定の議論は大きな注目をあげた。

知覚の束

多くの経験論と同じようにヒュームもまた物体的実体を否定し、それらは次々と継起する知覚から類推された物体実体の観念にすぎないとした。実体とは知覚の束にすぎなく、「個々の性質の集合の観念」であるとした。さらにヒュームは知覚の指示者である「自我」の存在すらも否定し、自我は推理されたものにすぎなく、同一性や単一性をそのような諸性質を帰属させ、主体と個々の知覚とのあいだの因果関係を推定した結果にすぎない。結局、精神的実体すら、種々の知覚が次々に現れる一種の劇場のようなものであり、「さまざまな知覚の束ないし集合」であるとした。