『キリスト者の自由』(Von der Freiheit eines Christenmenschen) ルター
『キリスト者の自由』とは、宗教改革で活躍したマルティン・ルターの代表的な著作。(1520年)ルターの思想である、福音主義、信仰義認説、万人祭司主義について簡易に書かれた20ページほどの小冊子である。「キリスト者は全ての者の上に立つ自由な主人であって誰にも服しない」(第一命題)、「キリスト者は全ての者に仕える僕であって誰にでも服する」(第二命題)の相反する矛盾した命題についてルターが主張を展開する。ルターによれば、人間は善いと思ったことをなすことができず、悪いと思ったことをなしてしまう非自由な存在である。その人間は、イエス・キリストの福音への信仰(福音主義)によってのみ罪から解放され、神の前に義とされて、霊的・内的な自由を持つ。キリスト者は、神の恵みによって自由な主人であり、同時に隣人への愛と奉仕に身を捧げる神の僕である。(信仰義認説)
ライプチヒ論争
1519年に開かれたライプツィヒ公開討論会でヨハン・エックとの論争を行う。ルターはこの論争で自分の立場の再考を行い、自らがもはやカトリック教会の神学的見解とは離れたことを自覚した。そこで『キリスト者の自由』を発表するに至った。
1520年8月 『キリスト教界の改善についてドイツ国民のキリスト教貴族に与う』、『教会のバビロン捕囚』
1520年11月『キリスト者の自由』
ライプチヒ論争
『キリスト者の自由』の原書は、ドイツ語版とラテン語版で出版された。神学について、伝統的にラテン語で表されてきたが、今回は、ドイツ語でも表されたことによって庶民にも伝わり、宗教改革の一端が垣間見れる。