憲法修正第14条|市民権と法の下の平等を定める

憲法修正第14条

憲法修正第14条は、アメリカ合衆国南北戦争後の「再建期」に制定された憲法修正であり、市民権・適正手続・法の下の平等という近代国家の基本原則を明文化した条項である。奴隷制廃止を定めた憲法修正第13条に続いて、解放された黒人を含むすべての人々に対して、連邦レベルでの権利保障を与えることを目的とした。とりわけ平等保護条項は、その後の人種差別撤廃や公民権運動の理論的支柱となり、現代に至るまでアメリカ合衆国の憲法解釈の中心であり続けている。

制定の歴史的背景

南北戦争の勝利によって南北戦争は終結し、黒人奴隷制の法的廃止が実現した。しかし旧南部諸州では、解放奴隷に対する「ブラック・コード」とよばれる差別的な州法が制定され、事実上の隷属状態が温存された。こうした動きに危機感を抱いた連邦議会の急進派共和党は、単に奴隷身分を否定するだけでなく、黒人を含むすべての人々の市民権と平等な権利保障を連邦憲法に書き込む必要があると考えた。この結果、1866年に市民権法が制定され、さらにその内容を恒久的な憲法条項として確立するため、1868年に各州の批准を得て憲法修正第14条が発効したのである。

条文構成の概要

条文は全体として5つの節から構成される。第1節は、市民権条項・特権免除条項・適正手続条項・平等保護条項といった中核的な人権保障規定を含む。第2節は連邦議会下院の議席配分を定め、第3節は反乱に関与した公職者の資格制限、第4節は合衆国債務と旧アメリカ連合国の債務処理、第5節は本条を実施するための連邦議会の立法権限を規定する。とりわけ第1節は、その後の判例において最も頻繁に引用され、アメリカ合衆国の人権保障の中核に位置づけられている。

市民権条項と国籍の原則

第1節は「合衆国において出生し、または帰化したすべての者は、合衆国およびその居住する州の市民である」と規定し、出生地主義に基づく国籍取得の原則を明示した。これは、黒人は市民ではないとしたドレッド=スコット判決を明確に否定し、肌の色や生まれた身分によって市民権を奪うことを禁じた点で画期的である。また、この市民権条項は、移民の子どもを含む広範な人々に市民権を保障し、アメリカ合衆国を移民国家として成立させるうえで重要な前提となった。

適正手続条項と権利保障の拡大

第1節には、いかなる州も「適正な法の手続によらないで、何人からも生命・自由・財産を奪ってはならない」と定める適正手続条項が含まれる。この条項は、当初は刑事裁判や行政手続において、公正な裁判手続・弁護権・通知と聴聞などを保障する手続的な意味で理解された。しかし20世紀以降、最高裁判所は適正手続条項を通じて権利章典(Bill of Rights)の多くの保障を州にも適用する「権利の適用」論を展開し、表現の自由・宗教の自由・陪審裁判を受ける権利などを州政府の行為にも制限として及ぼした。さらに私生活の自由や家族関係に関する権利など、実体的な自由権を導く根拠としても解釈されている。

平等保護条項と人種差別の問題

平等保護条項は、州がその管轄内の「何人に対しても、法の平等な保護を否定してはならない」と定める規定であり、法の下の平等原則を明示した。制定当初は、黒人と白人を分離しても「施設が同等ならば平等に反しない」とする判例が支配的で、人種隔離を容認する根拠ともなった。しかし20世紀半ば、公民権運動の高まりの中で、最高裁判所はブラウン判決により、公立学校における人種隔離は本質的に不平等であり、平等保護条項に違反すると判断した。これにより、アメリカ社会に根を張っていた人種隔離政策が違憲とされ、のちの公民権法や選挙権保障立法の基盤が形成された。

再建期政治と南部社会への影響

憲法修正第14条は、単に法技術的な条項ではなく、再建期の政治対立とも密接に結びついていた。連邦議会の急進派は、旧南部諸州に対してこの修正条項の批准を事実上の復帰条件とし、黒人男性の参政権保障や黒人奴隷制の廃止の定着を図った。他方、南部の白人エリートはこれに強く反発し、暴力的な人種差別団体の台頭や「ジム・クロウ法」とよばれる差別立法を通じて黒人の政治参加を抑圧した。その後、20世紀の公民権運動が再び条文の趣旨を前面に押し出し、人種差別撤廃を求める法的な武器として活用していったのである。

他の制度・条項との関連

再建期におけるアメリカ合衆国の制度改革は、リンカン政権期の奴隷解放宣言ホームステッド法などと連続した流れの中で理解される。また、アメリカ連合国側の政治指導者や将軍たちが条文第3節の下で公職資格を制限されたことは、ゲティスバーグの戦いなどで象徴される戦争の結末を法的に確定する意味をもった。さらに、のちに大統領となるグラント政権期には、南部における黒人の選挙権行使を守るため、連邦政府が平等保護条項を根拠に介入する立法が進められた。

現代における意義

現代においても、憲法修正第14条は人種差別だけでなく、性差別・外国人差別・婚姻や家族の在り方といった多様な問題に適用されている。平等保護条項は、分類が合理的かどうか、特定の集団を不当に差別していないかを判断する基準として用いられ、適正手続条項は国家権力が個人の自由を制約する際の限界を画する役割を果たしている。このように本条は、南北戦争後の再建という歴史的文脈から生まれながらも、その後の社会の変化に応じて意味を拡大させ、アメリカ合衆国を人権と法の支配に立脚させる憲法原理として、今なお中心的な位置を占めている。