座屈
座屈(buckling)とは、構造物の柱(column)に対して、軸方向に圧縮荷重が加わることによる、柱が湾曲する現象である。柱に想定以上の荷重を受けると、まず座屈し、いずれ破壊にいたる。ただし、長柱では座屈荷重による屈折は起きやすく、短柱の場合は圧縮による降伏が起きやすいが、それぞれ短い柱、やや細長い柱、細長い柱とパターン別で考える必要がある。座屈の計算方法として、オイラーの式やランキンの式などがあるが、どれを採用するかは細長比(短い柱、やや細長い柱、細長い柱)で決まる。
座屈
座屈とは、柱に軸方向に力が加わると、その大きさで曲がる現象である。
座屈荷重
座屈荷重とは、座屈を起こす最小の荷重である。長柱の荷重は圧縮荷重により発生する。そのため残留応力が引張残留応力であれば(圧縮荷重に対して)座屈強度は増加するが、(圧縮荷重に対して)圧縮残留応力があるときは座屈強度は減少する。
端
指示端よりも固定端のほうが座屈荷重は大きい。
座屈応力
座屈応力は、座屈荷重と断面積の積をとり、断面積で割った値である。座屈応力が座屈荷重以下に設定する必要がある。
断面二次半径
断面二次モーメントIをAで割った値である。単位はmもしくは㎜である。座屈は断面二次モーメントに影響するため、座屈の起きやすい形状、小穴があけば座屈を起こしやすくなり、座屈荷重も変化していく。また、座屈荷重をかけると断面二次半径が小さい方向に曲がる。
細長比
柱の長さLと断面二次半径kとの比λを細長比という。細長比によって、短い柱、やや細長い柱、細長い柱の3種類に分類できる。
短い柱の場合(圧縮応力)
短い柱は圧縮応力を分析するだけで座屈を解析できる。
やや細長い柱の場合(ランキンの式、テトマイヤ―の式、ジョンソンの式)
やや細長い柱には、ランキンの式、テトマイヤ―の式、ジョンソンの式などで座屈を解析することができる。
ランキンの式
ランキンの式は次式の通りになる。
テトマイヤ―の式
テトマイヤーの式はaの単位はMPaで、b,cは実験により下記の通りに決まっている。
ジョンソンの式
ジョンソンの式は下記の通りになる。
細長い柱の場合(オイラーの式)
細長い柱には、オイラーの式で座屈を解析することができる。
拘束係数
細長い柱は、柱の拘束の条件によって座屈の起こりやすさやが異なる。この条件を拘束係数Cとし、それぞれ下記の通りで決まっている。ここから座屈は端部の指示方法で影響されることがわかる。
オイラーの座屈理論
オイラーの座屈理論により、細長い柱の座屈荷重Pcrは下記で求められる。EIは曲げ剛性であるが、座屈は曲げ剛性に比例して起こりやすい。
オイラーの座屈理論に基づく座屈応力