四元徳|プラトン

四元徳

四元徳とは、古代ギリシアで重んじられた知恵・勇気・節制・正義の四つの基本的な徳(アレテー)プラトンが魂の三分割説に対応させて説いた四元徳が代表的である。プラトンによれば、知恵は善のイデアを認識する理性の徳、勇気は理性に従って行動する意志の徳、節制は欲望に節度を持たせ、適切なあり方に制御する徳、正義はこれら三つの部分に理性を中心にした支配と従属の関係が成り立ち、魂全体が秩序と調和のとれた状態になる徳である。プラトンは、魂の各部分が固有の徳に基づいて働き、各部分がその役割をはたしてたがいを侵さず、全体として調和するところに魂の正しいあり方としての正義が成り立つと説いた。ここには、宇宙や人間の理性的な序や調和を重んじる古代ギリシアの考え方があらわれている。

四元徳

四元徳

目次

魂の三分割説都の対応

知恵→(1)もったく概念的に思惟する、魂の指導的部分である理性(logistikon)
勇気→(2)それ自身は理性(ロゴス)を持たないが、ロゴスに従って肉体的な欲望を制御する意欲的に行動する意志(thymoeides)
節制→(3)本能的で感覚的・肉体的に盲目的な欲望を感じる情欲(epithymetkon)
正義→これら三つの支配と服従の関係のバランスが均衡しているとき、正義の徳が成立する。

四元徳に対する階級

知恵→政治家(=哲学者)
勇気→軍人、行政
節制→庶民、農、工、商。
正義→知恵、勇気、節制のバランスが調和をもつとき、理想的な階級が成立する。

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