六角レンチ|狭所作業に強いL字型の基本工具

六角レンチ

六角レンチは、六角と呼ばれ、断面が六角形の棒状工具であり、主に六角穴付きボルト六角穴付き止めねじを締結・取り外しするために使用される。英語では「Hex Key」「Allen Wrench」とも呼ばれ、簡素な構造ながらも高トルクを伝達可能な優れた工具である。L字型の形状が一般的で、狭い箇所や深い穴の奥にあるボルトにもアクセスしやすく、組立・メンテナンス現場で不可欠な存在である。

構造と形状

六角レンチは、一体成形された金属棒で、長辺と短辺からなるL字型をしている。両端に同じ六角断面の形状が設けられており、どちらでも使用可能である。短辺を持って長辺で操作することでトルクを増大させ、逆に長辺を持って短辺で操作することで狭所対応や素早い回転が可能になる。下記は参考寸法であるため、詳細はJISやメーカーカタログを確認すること。

六角レンチ

S e l1 l2 最小保証トルク
(N・m)
呼び 最大 最小 最大 最小 標準形 M形 L形
0.7 0.71 0.70 0.79 0.76 33 7 0.08
0.9 0.89 0.88 0.99 0.96 33 11 0.18
1.3 1.27 1.24 1.42 1.37 41 63.5 81 13 0.53
1.5 1.50 1.48 1.68 1.63 46.5 63.5 91.5 15.5 0.82
2 2.00 1.96 2.25 2.18 52 77 102 18 1.9
2.5 2.50 2.46 2.82 2.75 58.5 87.5 114.5 20.5 3.8
3 3.00 2.96 3.39 3.31 66 93 129 23 6.6
4 4.00 3.95 4.53 4.44 74 104 144 29 16
5 5.00 4.95 5.67 5.58 85 120 165 33 30
6 6.00 5.95 6.81 6.71 96 141 186 38 52
8 8.00 7.94 9.09 8.97 108 158 208 44 120
10 10.00 9.94 11.37 11.23 122 180 234 50 220
12 12.00 11.89 13.65 13.44 137 202 262 57 370
14 14.00 13.89 15.93 15.70 154 229 294 70 590
17 17.00 16.89 19.35 19.09 177 262 337 80 980
19 19.00 18.87 21.63 21.32 199 89 1360
22 22.00 21.87 25.05 24.71 222 102 2110
24 24.00 23.87 27.33 26.97 248 114 2750
27 27.00 26.87 30.75 30.36 277 127 3910
32 32.00 31.84 36.45 35.98 347 157 4000
36 36.00 35.84 41.01 40.50 391 176 4000
41 41.00 40.84 46.71 46.15 435 195 4000
46 46.00 45.84 52.41 51.80 480 215 4000
呼び 最大 最小 最大 最小 標準形 M形 L形
S e l1 l2 最小保証トルク
(N・m)

s≦17㎜の場合90°(+2°/-1°)
s>17㎜の場合90°(+3°/-1°)
rは1.5㎜以上またはr≧s

材質と処理

六角レンチは、通常クロムバナジウム鋼やS2鋼などの強靱な工具鋼で作られる。表面処理としては、黒染め処理、クロムメッキ、ニッケルメッキなどがあり、耐摩耗性や防錆性を高めている。産業用では、硬度HRC58~62程度に焼入れされた高強度品が多用されている。

使用方法

六角レンチは、ねじボルトの六角穴にしっかりと挿入し、回転させることで締結または緩めを行う。締結時には、短辺を差し込み長辺を回すことで高トルクを得られる。緩め作業や仮締めには長辺を差し込み、短辺で素早く操作できる。工具を斜めに挿入すると破損の原因となるため、常に垂直に差し込むことが重要である。

種類とバリエーション

六角レンチには、様々なバリエーションが存在する。代表的なものには、ボールポイント型、T型ハンドル付き、折りたたみ式、ラチェット機構付きなどがある。ボールポイント型は多少斜めの角度でも回せる利点があり、狭所作業に適している。T型は回しやすさに優れ、強い締結力が求められる現場で重宝される。

ボールポイント型の特徴

ボールポイント型は、先端が球状に加工された六角レンチであり、最大で約30度まで角度を傾けてもボルトやねじを回すことができる。この特性により、正面から工具を差し込めないような場所や、狭所での作業効率が格段に向上する。ただし、通常の平先端よりもトルク強度は劣るため、最終締めや高トルク締結には向かない。

T型ハンドル付きの特徴

T型ハンドル付き六角レンチは、グリップ部分がT字状になっており、両手でしっかりと握って回せる構造となっている。これにより、効率よく大きなトルクをかけることができ、繰り返しの組立作業や重機械の整備などで重宝される。グリップには樹脂製やゴム製の滑り止めが施されていることも多く、操作性が高い。

折りたたみ式

折りたたみ式六角レンチは、複数のサイズのスパナが1つの本体に収納されたタイプで、ナイフのように使いたいサイズを本体から引き出して使用する。携帯性に優れており、メンテナンス工具として自転車や小型装置の保守現場でよく使われる。工具を紛失しにくく、持ち運びにも便利である一方、狭い場所では可動域が制限されることもある。

ラチェット機構付き

ラチェット機構付きの六角レンチは、スパナの回転方向を切り替えられるラチェット構造を備えており、一方向に回すときだけ力が加わり、戻すときには空回りする。この機能により、作業効率が大きく向上し、特に連続作業や深い穴の奥にあるボルトの締結に適している。電動工具が使えない現場での省力化に寄与する高機能モデルである。

トルク管理

六角レンチで正確な締付けトルクが必要な場合には、トルクレンチと組み合わせて使用することがある。産業分野では、過不足ないトルク管理が部品の安全性・信頼性に直結するため、トルク値の確認は重要である。