ハイトゲージ|基準面からの高さ測定・ケガキ

ハイトゲージ

ハイトゲージは、定盤上で高さ・段差・位置を高精度に測定し、必要に応じてケガキ(罫書き)も行う測定器である。垂直な支柱にスライダを走らせ、測定子やスクライバ先端の高さを読み取る。ダイヤル式は機械式の読み取り、デジタル式は電気式スケールで表示する。製造現場の寸法検査、治具の位置決め、試作品の基準出しなど幅広く用いられ、定盤(花崗岩など)を基準面として真直度と直角度を確保することで、ミクロンオーダの再現性を得る装置である。

構造と各部名称

ハイトゲージは、ベース(定盤に密着する底面)、垂直コラム、スライダ(キャリッジ)、微動送り機構、表示部(ダイヤルまたはデジタル表示)、測定子・スクライバから成る。ベースは質量を持たせ、微小な振動や押付け力の変動に影響されにくい形状とする。固定にはクランプやボルトが用いられ、測定子の交換で目的に応じた先端形状に切り替える。

測定原理と基準

ハイトゲージは、定盤面を高さゼロの基準とし、スライダ位置の縦方向変位を拡大・表示する。ダイヤル式はラック&ピニオンやレバー機構を介して針で読み取る。デジタル式はリニアエンコーダ(静電容量式・磁気式など)でカウントし、絶対方式や相対方式を切替える。基準はゼロセットまたはゲージブロックによる原点合わせで確立する。

種類(ダイヤル式・デジタル式・CNC)

ダイヤル式は堅牢で電源不要、直感的に微小変化を読み取りやすい。デジタル式は分解能や機能が豊富で、プリセット、ABS/INC切替、上下限判定、統計機能、出力端子(USB/RS-232C)によるデータ転送に対応する。上位機ではモータ駆動の自動送りや自動探索を備え、簡易的なCNC測定が可能である。

ダイヤル式の特徴

機械的伝達によりレスポンスが素直で、微小段差のトレース感に優れる。表示は連続で視認性が高いが、人の読み取り誤差やパララックスに注意する。

デジタル式の特徴

数値が直読でき、ゼロセット・ホールド・差分表示などの機能で現場作業を効率化する。電池管理と表示更新遅れの確認、環境ノイズの影響評価が必要である。

代表的な仕様(測定範囲・分解能・精度)

ハイトゲージの測定範囲は一般に150〜600mm、現場では300mm級が汎用である。分解能はダイヤル式で0.01mm、デジタル式で0.01/0.005/0.001mmが目安。許容誤差は機種と範囲に依存し、定盤の平面度・温度条件・測定子形状で実効精度が左右される。

使い方(ゼロ設定から測定手順)

手順はシンプルであるが、基準作りが結果を左右する。以下に標準的フローを示す。

  1. 定盤を清拭し、ワーク下面の切粉・油膜を除去する。
  2. ベースの滑りを確認し、ガタがないか点検する。
  3. ゲージブロックでスクライバ先端をゼロ設定する(または既知高さでプリセット)。
  4. スライダを粗動で近づけ、微動で接触点を探る。
  5. 必要ならピークサーチやホールドで最大/最小を取得する。
  6. 読み値を記録し、相対測定なら差分を算出する。

ケガキ用と測定用の違い

ケガキ重視の先端は硬質針で痕跡を付ける設計で、測定子は球面やフラットで再現性を優先する。用途に応じて先端を交換し、面粗さや硬度に見合う接触形状を選定する。

応用(段差・位置決め・比較測定)

ハイトゲージは、段差・溝深さ・穴中心高の算出、基準線のケガキ、治具のストッパ位置決めなどに使う。センター高は対向エッジを測って平均化し、真円度や位置度の簡易評価に応用することもできる。

  • 段差測定:上面と下面を順に測り差分をとる。
  • 穴中心:上端と下端の高さの平均を求める。
  • 比較測定:マスター高さに対する偏差のみを監視する。

校正とトレーサビリティ

ゲージブロックを用いた多点校正で、表示直線性と指示誤差を確認する。温度は20℃基準とし、定盤の膨張やワークの熱履歴を考慮する。デジタル式はスケールのオフセット・スパンを点検し、外部出力で記録を残すと監査対応が容易になる。

誤差要因と対策

主な誤差は、定盤の平面度/清浄度、垂直コラムの直角度、測定圧のばらつき、測定子形状による接触幾何、パララックス、熱膨張、オペレータの読取りである。対策として、定盤の定期点検、微動機構の適正化、同一直径の球面子の使用、接触方向の統一、作業前の温度馴染ませ、複数回測定の平均化が有効である。

測定圧の管理

ばね荷重や自重で過大な押付けになると、軟質材で食い込み誤差が生じる。測定圧一定化のためにラチェットやリミッタ機構を活用し、粗面では接触点の安定性を確認する。

安全・保守(取り扱いと保管)

ハイトゲージは、ベース底面と定盤の微粒子で傷が入りやすい。移動は持ち上げて行い、滑らせない。使用後は防錆油を薄く塗布し、スクライバ先端を保護キャップで覆う。輸送時はコラム固定と衝撃吸収材で保持する。

関連工具・比較機器

同じ高さ測定・基準出しに関わる機器として、ゲージブロック、Vブロック、角度定盤、ダイヤルゲージ、ノギス、マイクロメータ、ピンゲージ、高さ基準マスタなどがある。用途と必要精度に応じて、三次元測定機や光学式測高さ計へ切替える判断も行う。

選定のポイント

対象ワークの最大高さと必要公差から測定範囲・分解能を逆算し、微動の使い勝手、表示の視認性、データ出力の要否、スクライバ/測定子の互換性、ベース形状(段差逃げ・溝越えの有無)を総合評価する。現場温度と清掃性、作業者の熟練度も選定に影響する。

導入後の運用

点検周期を定め、日常点検(外観・ガタ・ゼロ点)と定期校正(ゲージブロック多点)を分けて実施する。測定手順は標準作業書に落とし込み、教育でばらつきを抑える。データは電子保存し、工程能力解析やトレーサビリティに活用することで、ハイトゲージの価値を最大化できる。