テストインジケータ
テストインジケータは、てこ式の微小変位比較測定器であり、工作物や治具の振れ、平面度、直角度、平行度などの幾何公差を素早く評価するために用いる。プランジャを軸方向に押すダイヤルゲージに対し、テコ機構のスタイラス(触針)を斜め方向に軽く接触させるため、接触力が小さく薄物や精密部品の測定に適する。一般に測定範囲は±0.2〜±0.8 mm程度、目量は0.01 mmから0.002 mm級が多い。表示は目盛環と指針でアナログ表示するが、読み取りは相対比較(基準からのズレ量)を基本とする。
構造と作動原理
スタイラス先端の球が被測定面に触れ、微小回転が支点(ピボット)を介して歯車・てこ比機構に伝わり、指針が角度として拡大表示する。軸受は宝石軸受を用いることが多く、摺動抵抗とヒステリシスを低減する。復帰ばねは軽く設計され、測定子の追従性を高める。構造上、接触方向とスタイラス角度により指示値が真値から外れる「コサイン誤差」が生じうるため、設置角度の管理が重要である。
テストインジケータを主軸につけて、ワーク側面にあてた後、横方向に動かすと左側と右側でどれだけずれが生じているかを知ることができます。 pic.twitter.com/SYhDgibLut
— 小川製作所 | 製造業x経済統計 (@OgawaSeisakusho) May 19, 2023
種類と主要仕様
- 測定範囲:±0.2/±0.4/±0.8 mmなど。広範囲型はてこ比を下げ、感度と直線性の折衷を図る。
- 目量(最小目盛):0.01/0.005/0.002 mmなど。高分解能ほど許容姿勢と環境管理が厳しくなる。
- 取付け:φ8 mmステム、3/8″ステム、三方ダブテール溝でマグネットベースやアームに固定する。
- スタイラス:超硬球やルビー球を用い、先端径は1〜3 mm程度が標準。延長子・曲げ子の交換が可能な機種もある。
- 目盛仕様:左右±目盛、もしくは片側累進。外輪(ベゼル)回転でゼロ合わせを行う。
モノクロ系一色のなか
黄色で目立っているのは
テストインジケータ不思議な文字盤ですよね#企業公式つぶやき部 #製造業 pic.twitter.com/EGs22y2uFS
— 日新産業 株式会社 (@nissin_sangyo) August 28, 2025
代表的な用途
- 回転部品の振れ(TIR)測定や芯出し:チャック把持後、外周や端面を走査し最大値−最小値を読む。
- 治具・ワークの平行出し・直角出し:定盤上でブロックを基準に走査して偏差を読む。
- 段差・高さ差の比較測定:基準面に対し目標寸法との差を直読する。
- 機械のセッティング:工作機械のテーブル・バイスの据え付け状態確認。
テコ式ダイヤルゲージ
ミツトヨでの商品名はテストインジケータ
私は前職で呼ばれていたスモールテスターと言います
機械設計した研削盤・加工機の機械組立調整時は必要だけど、自動組立機・検査機等のFA装置設計製作会社では普通のダイヤルゲージしかない会社があるので所有しています pic.twitter.com/AB09bq0fOw— 機械設計事務所エナジーセッケイ|3DCAD-SOLIDWORKSで外注設計業務を請負うフリーランス (@energysekkei) November 16, 2023
設置と取付けの要点
支持には高剛性のマグネットベースやアームを用い、ベース脚は清浄な定盤面に置く。ステムやダブテールクランプで締結し、測定中に姿勢が変化しないよう各関節を十分に締める。スタイラスは被測定面に対し所定の角度(メーカー校正角度の例:12°付近)に設定し、接触は「軽く一定」に保つ。アプローチ方向は測定中にレバーが逆転しないようにする。
スタイラス角度とコサイン誤差
真の変位をΔ、スタイラス角度をθとすると、指示値は概ね s=Δ×cosθ となる。例えばθ=20°ではcos20°≒0.9397で、約6.0%小さく指示される。Δ=0.10 mmなのに s≒0.094 mm と読み、−0.006 mmの過小評価となる。θを小さくし、メーカー推奨角に合わせることで誤差を低減できる。小角度では 1−cosθ≒θ²/2(rad)で近似され、許容角度の見積りに有用である。
測定の基本手順
- 基準面(定盤)と治具(例:Vブロック)を清掃・設置する。
- テストインジケータを取り付け、スタイラス角度を合わせる。
- 被測定箇所に軽く当て、1〜2目盛分プリトラベル(予圧)を与える。
- ベゼルを回してゼロ合わせする。
- 走査して最大値・最小値を読み、TIRや偏差を記録する。
自分でクランクシャフトとかフロントフォークの振れ見れたらかっこいいじゃん?って事で買った
テストインジケータは高かったのでダイヤルゲージ pic.twitter.com/8q5pN2PdED— k5 (@keigo5154) March 1, 2024
精度管理と校正
精度維持には、定期的にゲージブロックやマスターリング、直定規で直線性・繰返し精度・ゼロ戻りを点検する。温湿度や振動の管理、スタイラス球の摩耗点検、軸受のガタ・固着の有無確認が必要である。JIS/ISOの関連規格に準拠した検査記録を残し、指示誤差とヒステリシスを把握しておくと良い。
よくある誤りと対策
- 薄物・柔らかい部品を押し込み過ぎる:接触力を下げ、支点を近づけるか、球径を大きくする。
- 逆転(バックラッシ)で指示が乱れる:常に同一方向から接触・走査し、予圧を一定にする。
- ベースのたわみ・滑り:剛性の高いマグネットベースと短いアームで支持する。
- 角度ずれによるコサイン誤差:治具で角度を管理し、走査前に試し読みで補正する。
表記・読み取りのポイント
指示の読みは相対値が基本で、平面度・平行度では領域の最大変化量、振れではTIRを採用する。目盛は0-0型(左右対称)や0-100型(片側累進)があり、図面公差に合わせた読み替えを行う。数値の記録は mm 単位で統一し、ゼロ基準と測定姿勢(角度・方向)を併記する。
スタイラス先端材と先端径
超硬球は耐摩耗・普及性に優れ、ルビー球は付着物が少なくアルミや銅材での傷付きを抑えやすい。先端径は面粗さやエッジ形状に応じて選択する。微細溝や角部の読みでは小径が有利だが、局所荷重が上がるため表面損傷に注意する。粗い鋳肌やスケール面は、軽い研磨や面取りで安定した追従性を得やすい。
関連する測定・段取り工具
段取りにはマグネットベースとVブロック、基準出しには定盤やケガキ定盤が有効である。用途によりスクライバーによる基準線引きと併用し、工作物の基準化→比較測定の順に進めると効率がよい。機械加工・組立の現場では、テストインジケータとダイヤルゲージを使い分け、対象や許容誤差に応じて最適なセットアップを選定する。