コンビネーションスコヤ
コンビネーションスコヤは、直角・45°・角度測定・中心出し・段差や深さ測定など多用途に用いられる組立式の定規である。スライド式のブレード(定規)に、直角基準のスクエアヘッド、180°のプロトラクタヘッド、V字のセンターヘッドを付け替えて使用する。金属加工・木工・治具製作の基準出しに適し、ブレード長150mmや300mm、目盛0.5mm/1mm、角度最小読取1°程度が一般的である。材質は焼入れ鋼やステンレス鋼が多く、防錆性や剛性が求められる。
構成と各部名称
- ブレード:平直度と直線性が基準で、両端/両面にミリ目盛やインチ目盛をもつ。
- スクエアヘッド:90°と45°の基準面をもち、ロックボルトで固定する。
- プロトラクタヘッド:0–180°で角度設定でき、微調整ノブを備える機種もある。
- センターヘッド:V字(90°谷)で円柱の中心線を罫書く。
- ロック機構:ブレードを任意位置に保持する。ガタの少なさが精度に直結する。
- スクライバ:先端硬質の罫書き針をヘッド内に収納するタイプがある。
仕組みと読み取りの要点
ブレードは基準面として機能し、ヘッドの基準面を被測定物に密着させて位置決めする。直角確認ではスクエアヘッドの90°面を当て、透かしやシックネス紙で隙間を確認する。45°はヘッドの斜面を利用する。角度設定はプロトラクタヘッドの目盛と指標を一致させ、ロック後にブレード先端を罫書線に合わせる。直線基準が必要な場面では直定規や大型の曲尺と併用すると精度が安定する。
主な用途
- 直角・直線の墨付けと検査(治具・プレートの基準出し)。
- 45°の留め切り・面取り・チャンファのガイド。
- 円柱の中心出し(センターヘッドで二方向から罫書き交点を得る)。
- 段差・溝・穴の深さ測定(ブレード端面を基準にする簡易デプス測定)。
- 平行線の罫書き(一定オフセットでスライド固定)。
- 木口・板厚の見当出しや治具位置決め(ケガキと合わせて再現性を確保)。
精度・公差と校正
要求精度は用途で異なるが、直角度は100mm当たり数十μm級が望ましい。平面密着の可否、ブレードの反り、ヘッドの当たり傷が主要因である。簡易確認は光の透かし、色転写、またはブロックゲージで基準高さを作り、ブレード位置の再現性を見る。角度は信頼できる角度基準やサインバー、ダイヤル式の角度治具(走りの確認にはダイヤルゲージ)で点検する。温度安定(20℃付近)と清浄な当たり面が必須である。
選定の観点
- ブレード長と幅:150/300mmが汎用。幅は剛性と読みやすさに影響。
- 材質・表面:焼入れ鋼は剛性、ステンレスは耐食性。マット仕上げは反射が少なく読みやすい。
- 目盛方法:刻印/エッチング/レーザ。耐摩耗性と視認性を比較する。
- ロック機構:微調整の有無、クランプ面の平行度、ガタの少なさを重視。
- 付属ヘッド:実務で角度調整や中心出し頻度が高いなら3ヘッド一式が便利。
- 他工具との整合:寸法確認はノギスやマイクロメータの分解能と役割分担を考える。
正しい使い方の手順
- 当たり面とブレードを清掃し、切粉・油膜・バリを除去する。
- ロックを緩め、必要寸法にブレードをスライドして固定する。
- スクエアヘッドを基準面に密着させ、ブレードで罫書く。
- 45°は斜面を当て、留め切りのガイドとして用いる。
- センターヘッドで円柱に二方向から罫書き、交点を中心とする。
- 深さはブレード端を基準上面に置き、段差分を読み取る。
- 罫書き後はロックを緩め、衝撃を与えずに収納する。
保守・保管
使用後は防錆油を薄く塗布し、乾いた布で余分を拭き取る。ヘッドの当たり面に打痕があると直角度が損なわれるため、個別に保護してケースに収める。目盛部は硬質異物との擦過を避け、磁力で切粉を呼び寄せないよう保管場所も配慮する。長期保管ではブレードを軽くスライドさせ、固着を防ぐ。
よくある誤差要因と対策
基準面のバリや塗膜厚み、ヘッド座面の汚れ、ロック部の偏り、ブレード端の欠けが典型的である。視差は斜め読みで増大するため、真上から読む。45°面の欠けは留め継ぎ精度を直撃するので早期交換する。寸法検証では穴径にピンゲージを用い、罫書線との位置関係を整合させると再現性が高い。
関連・代替工具
コンビネーションスコヤは一体型の直角定規や曲尺に比べて機能が多く、現場の段取り替えを減らせる。単純な直角出しや墨付け中心ならさしがね、大板の直線・直角基準には曲尺、平直の一次基準には直定規が有効である。加工後の精密確認はノギスやマイクロメータで数値検証し、面出しや位置合わせはダイヤルゲージ、高さ・厚みの基準生成はブロックゲージが担う。
木工での留め継ぎ活用の注意
木材は含水率と繊維方向で寸法が変化するため、コンビネーションスコヤの45°面で留め角を出した直後に加工するのが望ましい。罫書きは鉛筆よりもナイフで繊維を切る方が欠けが少なく、面取りの起点が安定する。針圧が強すぎると繊維潰れで寸法が崩れるため、軽いストロークで複数回に分けるとよい。