コスモポリタニズム(世界市民主義)|世界に住んでいるのだ

コスモポリタニズム(世界市民主義)

コスモポリタニズムは、世界市民主義と訳され、これまで人類の垣根となっていた民族、国家、宗教を乗り越え、それを人類で共有し、すべての人間が世界というひとつの市民として共存共栄しよう、という考え方、思想である。今日では、世界国家的な政治意識という意味でコスモポリタニズム(世界市民主義)という言葉が使われる。

コスモポリタニズム

コスモポリタニズム

ヘレニズム

コスモポリタニズムは、ヘレニズム時代に広がった考え方である。ヘレニズム時代以前、古代ギリシアでは、ポリスと呼ばれる都市国家が発達していた。ポリスで培われた規範(ポリス中心主義)がアレクサンドロスの出現とマケドニアの大帝国の建設により、ポリス社会の崩壊で無意味となった。ここでポリスを超えて、普遍的な立場から価値判断が行われるようになった。同時に、個人の幸福を追求する個人主義的な傾向も生じることになる。

キリスト教の精神的基盤

コスモポリタニズムでは世界国家の概念に近づくため、一定の人種や宗教、民族が優秀であるという選民思想を否定する。ヘレニズムでのコスモポリタニズムの誕生は、普遍的な救いを説くキリスト教が受容される精神的基盤ともなった。

キュニコス派のディオゲネス

古代ギリシアでは紀元前4世紀、キュニコス派のディオゲネスとその一派がコスモポリタニズムの代表である。ディオゲネスは、自らコスモポリテス(世界を故国とする者)と名乗り、ポリス的な風土を否定し、個人・独立した態度で生活を送った。ディオゲネスはどこの国の者だとの問いに世界に住む者だ、と応えたという。この思想はストア派に受け継がれることとなる。

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