エアブローガン|切粉・粉塵を安全迅速に吹き飛ばす

エアブローガン

エアブローガンは圧縮空気をノズルから噴出させ、切粉や粉じんの除去、乾燥、付着物の剥離などを行う手持ち工具である。供給源は多くが工場内のエアラインで、レギュレータやフィルタを介して安定した圧力と清浄度を確保する。トリガ操作により瞬時に噴流を得られ、電気を用いずに高い比出力を得られる点が長所である一方、騒音、飛散、静電気、消費エネルギーの管理が要点となる。

原理と構造

エアブローガンはハンドル、トリガバルブ、ノズルで構成され、入口圧力をトリガで開閉し、ノズルで流速と噴流形状を決定する。一般的な内部機構はニードルまたはポペット式で、シール材はNBRやFKMが用いられる。ノズルは真直噴流用の円孔、面掃引に適したフラット、吸引効果を持つベンチュリなどがあり、先端に樹脂カバーを付してワーク損傷を抑える設計も多い。

ノズル形状と流量

噴流の到達距離や面圧はノズル径と上流圧で決まる。小径は指向性に優れ、広範囲はスリット形状が適す。圧縮空気は臨界条件でチョークし、質量流量はノズル面積と供給圧にほぼ比例する。実機では流量係数C_dや配管損失が効くため、カタログのΔP–Q曲線で選定する。ベンチュリノズルは周囲空気を巻き込み同等の吹付力を低流量で得られ、省エネと騒音低減に寄与する。

用途

エアブローガンは工作機械の切粉除去、鋳造砂の払い落とし、洗浄後の水滴除去、印刷・塗装前の除塵、フィルタの逆洗、搬送路の詰まり解消などに用いられる。液体を用いないため乾式での即時作業に強いが、微細粉じんの二次飛散や油膜の剥離による腐食リスクを伴うため、対象材質と後工程を考慮した吹付条件の最適化が必要である。

設計・選定ポイント

選定では必要吹付力、到達距離、騒音、空気消費、先端材質、操作性を比較する。例えば0.5 MPa供給での空気消費(L/min)、音圧レベルdB(A)、重量、接続ねじ(Rc 1/4など)、対応流体清浄度(フィルタ5 µm等)が指標である。静電対策が要る場合は導電性先端や接地具を、傷防止にはエラストマー被覆を選ぶ。長時間作業では軽量ボディと低トリガ荷重が疲労低減に有効である。

安全と規制

エアブローガンは騒音、飛散物、逆流圧力の危険がある。保護メガネと防音保護具は基本で、チップガード付きノズルやデッドエンド時の減圧機構を備えた安全型を用いる。配管の誤接続や過圧は破損やホース外れによる鞭打ち現象を招くため、レギュレータと安全弁を併用する。国際規格では空気圧システムの設計・保護・ラベリングが定められており、工場の安全方針に沿った管理が必要である。

省エネ運用

圧縮空気は製造コストが高いため、エアブローガンの省エネは効果が大きい。過剰圧を避け、必要時のみトリガする運用に加え、パルスブローや自動停止弁、近接センサ連動で無駄吹きを減らす。ベンチュリノズルの採用、配管のリーク修繕、フィルタの目詰まり管理、ホース内径の適正化は同じ吹付力での空気消費を抑え、コンプレッサ負荷と騒音の双方を低減する。

メンテナンス

エアブローガンの不調は多くが空気質と弁シール劣化に起因する。水分・油分・微粒子は流量低下やシート傷を招くため、上流にフィルタ・ドライヤ・レギュレータを配置し、定期ドレン排出を行う。ノズルの詰まりは針状異物やテープ片が原因となることが多く、分解清掃時はシール再使用可否とトルク管理を守る。潤滑は基本不要だが、指定がある機種では適合油を微量適用する。

周辺機器との接続

接続はクイックカプラとホースで行い、屈曲性と圧力損失のバランスを取る。長い細径ホースは圧損と応答遅れを増やすため、必要長を見極める。工場規格に合わせてねじ種類(Rc/NPT等)を統一し、誤組付けを防止する。吊り下げバランサやスイベル継手を併用すると取り回しが改善し、トリガの誤操作や落下を減らせる。静電気が問題となる工程では導電ホースの採用が有効である。

トラブルと対策

エアブローガンで吹付力が不足する場合は、供給圧、ホース内径、ノズル詰まり、漏れを点検する。水滴飛散は上流ドライヤ能力不足が原因で、低温現場では膨張冷却により結露・凍結が起こる。騒音苦情には低騒音ノズルと圧力最適化で対応する。帯電粉じんの再付着にはイオナイザ併用が有効で、ワーク損傷は先端材質の変更やスタンドオフ距離の管理で抑制できる。

計算例: 吹付力の概算

噴流が平板に当たるときの力は運動量流量で近似でき、F≒ρQvで表される。例としてノズル径2 mm、0.5 MPa供給で空気消費Q≈120 L/min(=0.002 m^3/s)、噴流速度v≈100 m/s、空気密度ρ≈1.2 kg/m^3とすると、F≈1.2×0.002×100=0.24 N程度となる。この値はノズル–ワーク距離や乱流拡散で減衰するため、実機では距離を一定にして比較評価し、必要に応じてベンチュリ型やフラット型を選択する。