WiMedia|UWBによる短距離高速通信を目指した規格

WiMedia

超広帯域(UWB)技術をベースとした高速無線通信規格として登場したのがWiMediaである。近距離で大容量データを扱う用途を想定し、パソコンや家電、モバイル機器などの間で高速かつ低消費電力のデータ転送を可能にする狙いがあった。ワイヤレスUSBやWireless 1394などの上位プロトコルとの連携が想定され、かつては次世代の短距離通信技術として注目を浴びていた。実際、複数の国際標準化団体との協業により規格統一を目指した時期もあり、一時的には企業間のコンソーシアムが活発に活動していた。現在ではさらなる高速無線規格やBluetooth、Wi-Fiといった既存技術の進化に押され、主流とは言えなくなったものの、UWBを活用した高精度測位や近接通信の分野で再び関心が寄せられつつある。

誕生の背景

近距離の大容量通信という課題は、PC周辺機器やAV機器、携帯端末同士のデータ連携を効率化する上で大きなテーマであった。従来のケーブル接続は高速だが取り回しが不便であり、またBluetoothや初期のWi-Fiでは高ビットレートのデータ送受信には十分な帯域を確保しにくかった。そこで注目されたのがUWBによる広帯域・低電力の特性であり、この技術を普及させるための標準化団体がWiMediaアライアンスであった。多種多様なメーカーや研究機関が参加することで、相互接続性の向上と早期市場投入を実現しようとしたのである。

技術概要

UWB(Ultra Wideband)とは、非常に広い帯域幅を低電力で利用し、高速データ通信を行う方式である。WiMedia規格では3.1~10.6GHz帯を中心に複数のチャネルを確保し、チャネルを切り替えながら干渉を抑制する仕組みが導入された。PHY(物理層)とMAC(媒体アクセス制御層)の規定においては、ディスクリートマルチトーン(DMT)やOFDM技術などが採用され、干渉耐性や通信効率を高めている。これにより短距離ながら実効的に数百Mbpsクラスの転送速度が期待され、動画ストリーミングや大容量ファイル転送などで利点が見込まれていた。

ワイヤレスUSBとの関係

かつてPC周辺機器の無線化を推進する目的で、USB規格を拡張した「Certified Wireless USB」が提唱された。この際、物理層の候補として選ばれたのがWiMediaのUWB技術である。マウスやキーボードなどの一般的な周辺機器はもちろん、外付けハードディスクやカメラとの高速転送をケーブルレスで実現できる期待があった。ただし当時の市場ではBluetoothやWi-Fiの普及がすでに進んでおり、さらに規格同士の競合やコスト面の課題も相まって大きな波及には至らなかった。

標準化とアライアンス活動

WiMediaアライアンスには各種半導体メーカーや機器ベンダーが参加し、国際標準機関との連携を通じてUWB技術の整備を進めた。しかし、複数の団体がそれぞれ異なる実装仕様や特許ポリシーを主張したため、業界全体としての合意形成は難航しやすかった。やがて次世代BluetoothやWi-Fiの高速化が急速に進んだことで、WiMediaが主導的な地位を得ることはできなかった。一部の企業はUWB技術を別の用途(レーダー、測距など)へ転用する道を模索し、アライアンスとしての活動は徐々に縮小していった。

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