SRAM
SRAM(Static Random Access Memory)は、半導体メモリの一種であり、トランジスタのみでビット情報を保持する構造を持つ揮発性メモリである。コンデンサに電荷を蓄えるDRAMとは異なり、SRAMはフリップフロップ回路によって安定したビット状態を維持するため、リフレッシュ動作が不要で極めて高速な読み書きが可能となる。一方、回路が複雑かつ大きくなる傾向にあるため、大容量化が難しく価格も高くなりがちである。現代のコンピュータアーキテクチャでは、SRAMはキャッシュメモリとしてプロセッサ内部に集積され、DRAMよりも小容量ながら桁違いのアクセス速度で、CPUの高性能化を下支えしている。
SRAMの基本構造
SRAMビットセルは一般に6つのMOSトランジスタ(6Tセル)から構成され、安定した2つのビット状態を保持するフリップフロップ回路を形成する。この構造は外部から電源が供給されている間、状態を一定に保つため、リフレッシュ不要で即時アクセスが可能となる。トランジスタ数が多く、同一面積あたりの記憶容量はDRAMより低いため、大規模な主記憶用途ではなく、超高速キャッシュ層として利用されるのが一般的である。
約2年前、ソウルの知人の店で購入したSRAMたちです。
GoldStarもHyundaiも現在はSK Hynixに変わりましたが🥲 pic.twitter.com/M8kTbDMpdy
— Amateur Technician (@gu22700) December 5, 2024
アクセス速度と遅延低減
SRAMは命令・データフェッチの際のレイテンシ低減に大きく寄与する。CPUコア内部に配置されたL1、L2、L3といったキャッシュはすべてSRAM技術に基づき、これによりDRAMへアクセスするよりも遥かに短い時間で必要な情報を取得できる。その結果、パイプライン化やアウトオブオーダー実行などの先進的アーキテクチャ技術を活かしやすくなり、CPUは高いIPC(命令あたりの実行サイクル数)を維持できる。
微細化と消費電力
微細化が進むにつれ、SRAMビットセル内のトランジスタ寸法は極限まで縮小され、高密度化と低コスト化が図られる。しかし、微細化はリーク電流増加やビットセルの安定性低下をもたらし、動作マージン確保が課題となる。また、高速アクセスに比例して消費電力も増大するため、低電圧動作や電源ゲーティング、パワーダウンモードなどの省電力技術が実装され、モバイル機器でも十分なバッテリ駆動時間を維持できるよう配慮されている。
キャッシュ階層での利用
SRAMはL1キャッシュとしてCPUコアに極めて近い場所に配置され、最短のアクセスパスで高頻度に利用される。また、L2、L3キャッシュとしても利用され、システム全体のメモリアクセス性能を底上げする。これらキャッシュ階層を最適化することで、DRAMへのアクセス頻度を下げ、メモリアクセスボトルネックを軽減する戦略が取られている。結果的に、高い処理性能と低いレイテンシ、優れた電力効率を同時に実現できる。
特殊用途向けSRAM
一部のアプリケーションでは、SRAMは特定用途向けにカスタム設計される。たとえば、組み込みシステム用のオンチップメモリとして、GPUやDSP、FPGAなど特定分野の演算を補佐する局所高速メモリとして機能する。また、一時的なデータ保持や高速バッファとしての活用を意図したカスタムSRAMブロックは、低待機電力モードや部分的電源オフなど、アプリケーション要件に合わせて設計が最適化されている。
計測・評価技術の一例
SRAM性能評価には、アクセス時間、消費電力、ビットエラー率、温度特性などが指標となる。試作段階ではシミュレーションツールやプローブステーションを用いた実測が行われ、微細な動作マージンやリーク電流特性の分析を通じて回路設計やプロセス条件が調整される。こうした評価・フィードバックの積み重ねが、高品質なSRAM製品実現につながる。
SRAM
Static Random Access Memory
メモリセルがフリップフロップで構成されたメモリ。DRAMに比べ構造が複雑で高価だが、アクセスの高速性からキャッシュメモリに使われる。— 基本情報技術者試験略語bot (@botKihonjohoAbb) March 2, 2020