PDPC(Process Decision Program Chart,過程決定計画図)
PDPC(Process Decision Program Chart,過程決定計画図)とは、プロセスの問題を特定し、解決策を検討するための計画手法である。ある対策を実行に移したとき、実行過程でさまざまな障害が発生し、当初の計画通りに進まないということがよく起こる。PDPCでは、実施過程(プロセス)で起こりうる事態を事前に予測しながら、一連の解決策を計画するための管理ツールである。近藤次郎博士が東大紛争を解決するために発案したとされる。
PDPCの概要
PDPC手法は、プロジェクト管理・リスク管理ツールである。問題が発生する可能性のあるすべての要因を視覚的に整理することができる。PDPCは、実施工程の各段階における潜在的な問題点をあらかじめ予測して、解決策・対応策を計画することで、プロジェクトをスムーズに行うことが大切である。
PDPCの目的
PDPCの実践は、問題の洗い出しとその対策にある。計画の早期の段階で問題を洗い出すことによって、やってみなければ先が見えない、相手のあることなので自分の計画通りにいくかはわからない、という問題を防ぎ、スムーズに実践することを目的とする。
PDPCの実施工程
PDPCを作成する際には、実施工程の主要な段階を洗い出し、それぞれの段階に対して潜在的な問題を特定する。この問題は、リスクや障害として記述され、次にその問題に対する対応策が考えられる。各問題には、発生する可能性や影響度、対応策の実施可能性などが考慮される。PDPCを作成することで、プロジェクトチームは問題発生時の対策を明確にし、事前に準備を整えることができる。ただし、PDPCには、特別な作成ルールや正式な形はないため、企業やプロジェクトに対し、自由に作成できる。
PDPCの4つの要素
- プロセスの定義:対象となるプロセスやプロジェクトの全体像を把握し、各段階を明確にする。
- リスクの特定:各段階で考えられるリスクや問題を挙げ、それがどのような影響を及ぼすかを評価する。
- 対策の策定:リスクごとに適切な対応策を考え、実行可能な形で計画する。
- 図表の作成:PDPCの一覧やグラフ、フローチャートを作成し関係者と共有する。
PDPCのメリット
PDPCの主なメリットは、問題発生のリスクを低減し、プロジェクトの成功率を向上させることである。
PDPCのメリットのリスト
- リスクの事前把握:プロジェクトやプロセスの各ステップで発生しうるリスクを事前に把握することで、問題発生時の対応が迅速に行える。
- 対策の計画:問題に対する具体的な対策を事前に計画できるため、リスクの影響を最小限に抑えることができる。
- 責任の明確化:問題発生時の対応責任者をあらかじめ指定することで、対応の遅れを防ぐことができる。
PDPCのデメリット
PDPCはすべての潜在的な問題を予測することが難しく、予測漏れがある可能性がある。網羅できても実施することは難しいため、デメリットを理解して行う必要がある。
PDPCのデメリットのリスト
- 予測の限界:全てのリスクや問題を完全に予測することは難しく、新たな問題が発生する可能性もある。
- 時間と労力:PDPCの作成には時間と労力がかかる。特にプロジェクトの初期段階で相応コストを見積もる必要がある。
- 対応策の実行:計画した対策が実行されるかどうかは、関係者の協力やリソースに依存する。
- 複雑性の増加複雑なプロジェクトやプロセスでは、PDPCが大規模になりすぎ管理が難しい。
PDPCの実践例
PDPCの実践例としては、製造業での品質管理や、新製品開発プロジェクトなどがある。例えば、製造業では、製品の品質に関するリスクを特定し、そのリスクに対する対応策をPDPCで整理することで、品質管理の向上を図ることができる。また、新製品開発プロジェクトでは、製品の設計段階での問題発生リスクを予測し、対応策を準備することで、開発のスムーズな進行が可能となる。