HTOP|対話的プロセスモニタの拡張版

HTOP

LinuxなどのUnix系OSで動作する対話型のプロセスモニタとして開発されたHTOPは、システム資源の状態や各プロセスの消費リソースをリアルタイムで可視化し、直感的な操作を可能にするツールである。従来から用いられてきたtopコマンドを拡張し、カラフルな表示とキーボード操作による柔軟な機能選択を実現している点が特徴的であり、サーバや開発現場だけでなく一般ユーザの学習用途にも有用とされている。本稿ではHTOPの概要や特徴、主要機能の使い方、設定のカスタマイズ方法、利点と注意点などを順次解説することで、ターミナルを活用したプロセス管理の基本を整理するものである。

概要

従来のtopコマンドはシステム負荷やプロセス一覧を表示する上で有用であるが、画面操作や設定面で限界があったとされている。これに対してHTOPは、単なるリソース使用量の表示にとどまらず、キーボード操作だけで簡易メニューを呼び出し、視覚的にプロセスを並び替えたり、殺したいプロセスを即座に選択したりすることができる。カラフルに表示されるCPUコア別の使用率やメモリ使用状況なども一目で把握でき、システムの状態を総合的にモニタリングしやすくなる特性を備えている。

特徴

HTOPの最大の特徴は、対話的かつリアルタイムに更新されるプロセス情報を視覚的に管理できる点である。プロセス一覧はスクロールが可能な上、ショートカットキーを利用して並び替え基準や表示内容を瞬時に変更できる。加えて、複数のプロセッサコアやメモリ、スワップ領域などの状況を色分けしたバーグラフで示すため、システムの負荷状態を直感的に理解できるよう設計されている。

主な機能

基本画面にはCPU負荷のグラフやメモリ使用量に加えて、各プロセスのPID、ユーザ名、優先度、メモリ使用率などがリスト表示される。さらにHTOPなら、Fキーや矢印キーを用いてプロセスを一時停止(SIGSTOP)したり、強制終了(SIGKILL)したりするアクションが素早く実行できる。検索機能も備わっており、指定した名前やコマンドラインを含むプロセスを即座に特定することが可能になっている。

設定とカスタマイズ

HTOPの画面構成や配色、表示内容は柔軟に変更できる。起動後にメニューから「Setup」を選択すると、メーターの配置を変更したり、CPU使用率の表現形式を細かく調整したりするオプションが揃っている。設定内容はユーザのホームディレクトリに保存されるため、一度カスタマイズすれば次回以降も同じ表示形式で使い続けることが可能であり、用途に合わせて独自の設定を作り込むユーザも多い。

使用上の利点

HTOPの導入により、システムのボトルネックを迅速に見極めたり、負荷が高いプロセスを即座に終了したりといった管理業務が効率的に行えるようになる。複数のコアがフル活用されているかどうかを視覚的にチェックすることで、アプリケーションのスレッド動作を検証する手間も削減できる。また、メモリリークが疑われるプロセスを特定する際にも、リアルタイムで増減するメモリ使用状況をウォッチしやすい点が役立つ。

注意点

システム管理の強力なツールであるHTOPだが、逆に誤った操作で重要なプロセスを停止させてしまうリスクもある。特にrootユーザ権限を持つアカウントで作業している際には注意が必要である。また、あくまでも対話的に情報を得るためのコマンドであることから、ログを自動収集したい場合には別の監視ツールやスクリプトとの併用が望ましい。表示内容が増えすぎるとリソースを消費する場合もあるので、大規模サーバ環境では導入前に必要なメモリやCPUリソースを見極めることが重要とされている。

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