EDO|DRAMの連続アクセス性能を高めた先駆け

EDO

EDOとはExtended Data Outの略称であり、主にDRAM(Dynamic Random Access Memory)の一種として知られている。従来のFPM(Fast Page Mode)DRAMに比べて高速アクセスを実現し、パソコンをはじめとする各種機器でのメモリ性能向上に貢献した技術である。CPUクロックの高速化が進むなかでシステム全体のボトルネックとなりやすいメモリアクセスを効率化した点が大きな特長であり、後に登場するSDRAMの礎にもなったといえる。

背景と定義

DRAMは大容量データを低コストで格納できる半導体メモリであるが、アクセスのたびにリフレッシュを行う必要があるなど、速度面での課題を抱えていた。そこで提案されたのがEDO方式である。基本的な構造はFPM DRAMと類似しているが、行アドレスを保持したまま列アドレスの切り替えを効率的に行うことで、連続アクセス時のオーバーヘッドを削減している。これにより、CPUが次のデータを要求するときに速やかに応答できる仕組みが確立されたといえる。

動作原理と特徴

EDO DRAMは、前段のデータ出力がアクティブな状態でも次のアドレスを先行して取得できる点が大きな特徴である。FPM DRAMでは1度のアクセスが終わるまで次のアクセス準備ができず、その待機時間がシステム性能を低下させていた。EDOではデータを出力するラッチとアドレスを選択する制御を分割することで、前の転送が終了する前に次のデータ行を読み込み始められる仕組みを備えている。こうした改善が、当時のシステムで数十ナノ秒単位のアクセス短縮を可能にした要因である。

用途と導入の進展

1990年代から2000年代初期にかけて、パソコンやワークステーションのメインメモリにEDO DRAMが広く用いられた。特にPentium世代のCPUを搭載するシステムでは、FPM DRAMと比較して数パーセントから一割程度のパフォーマンス向上が期待された。マルチメディアやインターネットの普及が進む時代背景において、処理速度を向上させるためのコストパフォーマンスの高い選択肢だったといえる。その後、SDRAMが市場を席巻すると徐々に姿を消していったが、その技術的意義は大きいと評価されている。

派生技術と後継規格

EDOの後継としてはBEDO(Burst EDO)DRAMが提案されたが、SDRAMやDDR SDRAMといった新世代規格の台頭によって普及は限定的となった。SDRAMはクロック信号に同期して動作し、内部パイプラインを多段化することで大幅な速度向上を達成した。一方で、EDOのコンセプトである並行アクセスや出力ラッチの活用などは、現行のメモリにも通じる部分がある。命令パイプラインの効率化や、複数バンク同時動作といったアーキテクチャの発展にも貢献したとみられている。

現在の評価と役割

最新のシステムでは大容量かつ高帯域幅のメモリが必須であり、EDO DRAMは一般市場で見る機会が減っている。しかしながら、レトロPCの修復や産業機器など特定分野では、交換部品として利用されることがある。実装コストと速度のバランスを図った技術として、EDOは過去のDRAMアーキテクチャのなかでも際立つ存在といえる。現代の高速メモリ開発の過程を理解するうえでも、FPMからEDO、そしてSDRAMへと続く流れは重要な参照事例となっている。

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