DRAMビットセル|トランジスタとキャパシタによる動的記憶単位

DRAMビットセル

DRAM(動的ランダムアクセスメモリ)のビットセルは、大容量メモリを低コストかつ高速に実現するための基本構成要素であり、1ビットあたり極めて単純な構造で知られている。1ビットを格納する基本的なセルは、トランジスタとキャパシタから成り、外部からの書き込み・読み出し動作は、電荷の蓄積状態を介して行われる。DRAMSRAMに比べて構成素子数が少なく、大容量化が容易である一方、記憶保持が電荷に依存するため定期的なリフレッシュ動作が必要となる。これにより、DRAMはシステムメモリとして広く普及し、コンピュータやスマートフォンをはじめ、あらゆるデジタルデバイスの記憶領域を支える技術基盤となっている。

構造と動作原理

DRAMビットセルは、半導体基板上に形成されたMOSトランジスタと微小なキャパシタから構成される。トランジスタはスイッチとして機能し、ビットラインを介してキャパシタへ電荷を出し入れする。読み出し時にはキャパシタ内の電荷状態に応じてビットライン電位が変化し、これをセンスアンプが増幅する。書き込み時は、所定のビット値を反映した電圧をトランジスタ経由でキャパシタへ与えることで記憶が成立する。

ワンキャパシタ・ワントランジスタ構造

DRAMセルの特徴は、1ビットあたりトランジスタ1個とキャパシタ1個で構成されるシンプルなアーキテクチャにある。これにより、高集積度が可能になり、同一面積あたりの記憶容量を飛躍的に増大できる。キャパシタは誘電体膜を用いて微小空間に電荷を蓄えるため、膜の品質や構造設計が性能を左右する。一方、トランジスタはキャパシタへ電荷を出し入れするためのゲート役を担い、ゲート制御特性やリーク抑制が重要な要素となる。

リフレッシュと保持特性

DRAMビットセル内の電荷は、時間経過とともに微小リーク電流で失われていく。そのため、保持時間内に定期的なリフレッシュ動作が欠かせない。リフレッシュは、キャパシタ内の電荷を再書き込みして記憶情報を維持する工程であり、これがDRAM消費電力やスループットに影響する。リフレッシュ間隔やリーク電流低減技術は、メモリ全体の電力効率と応答性能を左右する大きな要素である。

微細化とプロセス難易度

微細化が進むほど、キャパシタ容量確保とゲート漏れ電流対策が困難となる。3D構造キャパシタや新材料誘電体、フィンFET構造などの革新技術が投入され、限界領域に迫る微細プロセスで安定した記憶特性を確保している。また、製造歩留まり改善やトンネル酸化膜開発など、工程面での高度な制御が要求される。こうした技術蓄積が、次世代DRAMセルの発展を下支えする。

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