BD(Blu-ray Disc)
BD(Blu-ray Disc)は、青紫色レーザーを用いて高密度にデータを記録する光ディスク規格である。従来のDVDが波長650nmの赤色レーザーを使用していたのに対し、BDでは波長405nmの青紫色レーザーを採用することで、より狭いピット(情報を刻むくぼみ)間隔を実現している。これにより、DVDよりも大容量のデータを記録できるメディアとして普及が進んできた。映像ソフトではフルHD(1920×1080)を収録可能であり、さらには3D映像や4K対応の規格も存在する。製品の一般向けリリース当初はDVDと比べて価格が高かったが、プレーヤーやメディアの低価格化が進み、映像作品やゲームコンテンツなど幅広い分野で採用され続けている状況である。
開発の背景
BDの開発は次世代DVDと呼ばれたHD DVDとの規格競争から始まっている。これまでのDVDでは高画質映像や大容量ソフトを格納するには不十分となり、さらなる高密度記録技術が求められた。BDを推進したBlu-ray Disc Association(BDA)は大手家電メーカーやコンテンツホルダーが参加しており、映画会社やゲーム企業も積極的にBD規格を取り入れることで、市場占有率を確立していった。著作権保護技術であるAACSやBD+などのセキュリティ機構も導入され、権利者側の要望を取り入れつつ高精細な映像コンテンツ配信を実現する役割を果たしている。こうした背景によりBDは高画質映像の提供と著作権保護の両立を目指す新規格として、世界的な支持を得るに至っている。
今日もBlu-rayってかっこいい!
いや
Blu-ray Discはかっこいいイメージであってこそ価値がある
高級なCOOLな存在であって欲しい!
BDZ-S77 BDZ-V9 が作った高貴な世界観をソニーは維持して欲しい#SONY pic.twitter.com/DnxBGgw3DP
— ニーザン AVC ???????????? (@niizan_AVC) April 23, 2024
記録方式と容量
BDでは記録層の配列やピット構造に工夫が凝らされており、1層あたり25GBの容量を確保できる。DVDの4.7GBと比較すると約5倍もの容量を実現しており、さらに2層構造のディスクでは50GB、さらにはBDXL規格において100GBや128GBの大容量メディアも登場している。こうした大容量化はレーザーの短波長化だけでなく、ディスク構造の最適化や保護層の薄型化などの設計改善によって支えられている。H.264やH.265といった高圧縮映像コーデックの採用により、動画ソースをより高精細かつ長時間収録することが可能となっている。容量不足に悩まされがちな大容量データ保存や高品質映像の長時間アーカイブ用途において、BDはきわめて実用性の高いメディアといえる。
???? Эра подошла к концу
Sony закрывает последний завод по производству Blu-ray Disc
Это знаменует собой завершение эпохи оптического хранения данных, так как Sony не планирует выпускать преемника Blu-ray
// R.I.P. 2006 — 2025 pic.twitter.com/ZetIFVBKMt
— All Kho (@acoldok) January 24, 2025
構造とレーザー技術
BDはディスク表面から情報層までの距離を約0.1mmと非常に近くしており、ピックアップレンズの開口数(NA)を大きくすることで高精度なフォーカスを実現している。これは従来のDVDやCDに比べて、ディスクの製造工程において高い精度が求められるが、その分だけ記録密度を飛躍的に向上させることが可能となっている。また、レーザー波長の青紫色化とレンズ性能の向上により、ピットやランドの幅をさらに狭くし、大容量化を成し遂げている。ディスク自体もスクラッチ防止のためのハードコートが施され、日常的な取り扱いでの傷や汚れにも強くなっている。こうした微細加工技術と高出力レーザーを組み合わせることで、BDはDVDを超える光学メディアとしての地位を確立したといえる。
In 2003, Sony released the world's first Blu-ray disc recorder, the BDZ-S77, along with the BF23G, a single-sided, single-layer, 23GB recordable Blu-ray disc. pic.twitter.com/8FWyzsJ0u9
— Obsolete Sony (@ObsoleteSony) July 5, 2024
利点と用途
BDの最大の利点は、大容量で高画質なコンテンツを格納できる点である。映画やドラマなどのコンテンツパッケージに留まらず、ゲームソフトやデータバックアップなど、さまざまなシーンで活用されている。特に家庭向けレコーダーではデジタル放送の録画や長時間アーカイブを手軽に行える利便性があり、映像品質を妥協せずに保存したいニーズに応えている。さらに、PC分野でも大容量のデータ移行やアーカイブのためにBDドライブを利用するケースが存在する。昨今ではストリーミング配信が普及しているが、インターネット環境によらないメディアの利便性は依然として根強く、バックアップメディアやパッケージソフトなどの領域で需要が残っている。
用途拡大と今後の見通し
BDは登場以来、映画や音楽などのエンターテインメント業界で幅広く採用されてきたが、さらなる活用分野として、医療画像の保存や監視カメラ映像の長期保管などが挙げられる。デジタルアーカイブの需要が増す現代において、長期保存性が高い光ディスク媒体は魅力を持ち続けている。ハードディスクドライブ(HDD)やSolid State Drive(SSD)の容量増加により、個人ユーザー向けの光ディスク需要は相対的に縮小傾向ともいえるが、コンテンツ配信ビジネスや特殊用途において物理メディアが担う役割はまだある。例えばBlu-ray Disc Archiveシステムのように複数のディスクをロボットで入れ替え、大規模なデータセンターのアーカイブとして活用する技術も確立されている。こうした事例はデータ保護と大容量化の両立を目指すソリューションとして今後も注目されると考えられる。