パイプ|流体配管・構造用途に使う中空材

パイプ

パイプは、流体・気体・粉体・ケーブルなどを安全かつ効率的に輸送・保護する中空部材である。配管系の主構成要素として、配管設計、製造、据付、保全の各工程で重要な役割を担う。寸法は呼び径(内径基準)とスケジュール番号(肉厚指標)で表すのが通例で、用途や圧力条件に応じて材料、接続方式、表面処理を選定する。チューブと比較すると、パイプは配管規格・耐圧・流量計算との親和性が高く、プラント・建築設備・自動車・半導体設備など幅広い分野で用いられる。

基本構造と種類

パイプは円筒形断面が一般的で、直管と継手・弁・機器で配管網を構成する。製造方法はシームレスパイプと溶接パイプに大別される。前者は圧力・疲労信頼性に優れ、後者は長尺・大径・コスト面で有利である。表面は黒皮、メッキ、塗装、被覆(PE、FBE)などで耐食・耐候性を付与する。

材料と特性

炭素鋼パイプは強度・コストバランスに優れ、圧力配管や建築で多用される。ステンレス鋼は耐食性が高く食品・化学・医薬用途に適する。銅合金は熱伝導・加工性に優れ熱交換器に好適である。樹脂パイプ(PVC、PE、PP、PVDF)は軽量・耐薬品性に優れ、腐食環境や純水配管で用いられる。合金鋼やニッケル基合金は高温高圧や強腐食に対応する。

規格と寸法体系

寸法体系は呼び径(NPS、DN)とスケジュール番号(SCH10/20/40/80など)で表し、許容圧力は設計温度・材料の許容応力・肉厚で決まる。継手やフランジは対応規格で互換性を確保する。ねじ込み配管は小口径・低圧向け、溶接配管は中大口径・中高圧向けに適する。

呼び径とスケジュール番号

呼び径は実寸内径と一致しない場合があるため、計画時はカタログの実効内径を参照する。スケジュール番号が大きいほど肉厚が厚く、同一呼び径でも流量と圧力損失が変化する点に留意する。

接続方式とシーリング

接続はねじ、溶接、フランジ、ソケット、機械式継手などを使い分ける。ねじ込みでは管用テーパねじとシール材、溶接では開先・溶加材・後熱処理管理が重要である。フランジ接続では面間寸法、締付力、ガスケット種別が性能を左右する。柔軟継手やクイックコネクタは着脱頻度の高い系に有効である。静的シールにはOリングガスケットキットを用い、ボルト締結は適正トルクと面圧管理が必須である。

締結付属品

フランジの締結にはボルト、ナット、ワッシャを用いる。緩み止めや軸方向の保持にはスナップリング等の補助部品が役立つ。

流体工学上の要点

パイプ内の圧力損失は、管摩擦と局所損失(継手・バルブ・曲がり)で構成される。レイノルズ数により層流・乱流を判定し、摩擦係数はムーディ線図等で見積もる。粘性、密度、温度、粗さが支配因子であり、腐食やスケールで粗さが増すと損失も増大する。騒音・振動抑制には支持間隔、防振、流速上限の設定が有効である。

圧力損失の見積り

選定段階では目標流速(例:水で1–2 m/s、空気で10–20 m/s)を目安にし、配管長と局所損失係数から全圧損を積算する。必要圧力とポンプ・ブロワの全揚程を整合させることでエネルギー効率を高められる。

設計と選定の手順

設計では(1)流体条件(種類、温度、圧力、流量、清浄度)、(2)環境条件(屋外、腐食、大気汚染、紫外線)、(3)機械条件(荷重、振動、熱膨張)、(4)保全方針(分解洗浄、検査周期)を整理し、最適なパイプと継手を選ぶ。呼び径は圧損と設備費のバランスで決め、腐食代・製造公差・減肉を見込んだ肉厚を確保する。

熱膨張と応力

パイプは温度変化で伸縮するため、伸縮継手、ループ、スライド支持で拘束を緩和する。固定点とガイド配置、ハンガー剛性、機器ノズル荷重の許容範囲を満たすことが重要である。

製造・加工・施工

曲げ加工はR最小値と肉厚減少率の管理、切断はバリ・面粗さ管理、端面仕上げは継手の気密性に直結する。溶接パイプは開先形状や入熱管理、非破壊検査(PT、MT、UT、RT)で品質を保証する。施工では支持間隔、アンカー、スリーブ、防食被覆、断熱保温を設計通りに実装する。

保全と検査

稼働後は目視点検、肉厚測定、漏えい試験、腐食モニタリングで状態を把握する。腐食形態(全面、孔食、隙間、応力腐食割れ)やエロージョンを想定し、流速上限や材質切替で対策する。給脂点がある機構部にはグリースニップルを設け、保守性を高める。

関連部材と柔軟要素

ホースは柔軟性に優れ、振動吸収や可動部の接続に適するが、耐圧・耐熱・透過性を規格で確認する。静的シールはOリング、動的はメカニカルシールやパッキンを使い分ける。頻繁な着脱にはクイックコネクタが有効で、手戻りを減らせる。

安全・法規・ドキュメンテーション

高圧・高温・可燃・毒性流体を扱うパイプは、適用法規・指針・規格に適合させる。設計計算書、材料ミルシート、溶接記録、試験記録、系統図(P&ID)、アイソメ図、試運転手順を整備し、変更管理(MOC)を徹底する。リスクアセスメントとロックアウト・タグアウトで施工・保守時の安全を担保する。

トラブル事例と予防

代表的な故障は、腐食減肉による破孔、フランジ面圧不足によるシール漏れ、熱膨張拘束による割れ、支持不足による振動・共振、異物混入による閉塞である。予防には材質最適化、表面処理、適正締結、柔軟エレメントの配置、ろ過強化、清掃性設計が有効である。交換時は部材互換性とトレーサビリティを確保する。

適用分野

パイプは発電・化学・製薬・食品・建築設備・空調・自動車・半導体・上下水道などで不可欠である。移送、熱交換、保護、排気・排水、計装の各系統で機能し、適材適所の組合せにより、信頼性とライフサイクルコストを最適化できる。