プレストレストベッド
プレストレストベッドは、プレテンション方式によるプレストレストコンクリート(PC)製品を量産するための長尺鋳造設備である。両端のアンカーブロックにストランドを定着・緊張し、ベッド上に型枠やスリップフォーム/エクストルーダを走らせてコンクリートを成形する。蒸気養生などで所要強度に到達後、ストランドを解放してプレストレスを部材へ伝達する。床版、ホロースラブ、杭・矢板など直線状のPC部材に適し、生産性と寸法精度の両立を図る要となるのがプレストレストベッドである。
構造と主要部
プレストレストベッドは、剛性の高い基礎上に設けた長尺の打設面、両端の緊張端・固定端アンカーブロック、ストランド案内、型枠ガイド、走行レール、排水溝、養生フード用支点などで構成する。打設面の平坦性・直線性は製品のそり・たわみに直結するため、定期的なレベル測量と研削補修で基準値を維持する。アンカー部はジャッキ荷重と反力を確実に伝える構造とし、割裂・滑りを防ぐディテールと余寿命評価が不可欠である。
適用分野と製品
プレストレストベッドは、PC床版、ホロースラブ、梁・桁、軌道用まくらぎ、擁壁部材などの直線部材に多用される。断面を連続成形できるため、ホロースラブではコア成形を同時に行い、軽量化と曲げ性能を両立する。ベッド長を活かして同断面の製品を一括で成形・切断することで、型替え回数を抑え、歩留まりとスループットを高められる。
作業フロー(プレテンション方式)
- ベッド清掃・打設面点検、離型剤塗布
- ストランド敷設・仮固定・配列確認
- 緊張:油圧ジャッキで所定力まで導入、伸び量管理
- 型枠設置またはスリップフォーム/エクストルーダ準備
- コンクリート打設・振動締固め・表面仕上げ
- 養生(蒸気等)・リリース強度到達の確認
- 切断・定着解除によりプレストレス伝達
- 製品長さ切断・面取り・マーキング・搬出
設計・施工上の留意点
プレストレストベッドの基礎は長期の温度・収縮・クリープや地盤沈下の影響を受けにくい連続支持を確保する。緊張力は緩和・摩擦損失・端部スリップを見込んで導入値を設定し、弧状たわみやキャンバーの管理値を事前に定義する。ベッド長・断面切替・製品自重に応じてジャッキ容量とアンカー耐力を整合させ、温度差による長手方向変形には伸縮継手や養生プロファイルで対応する。
品質管理と検査
緊張時はジャッキ圧と伸び量を二重管理し、理論値との差を許容範囲内に収める。コンクリートはリリース強度と材齢28日の基準強度を区別して管理し、必要に応じて非破壊試験で補完する。ベッド直線性・平坦性は定期サーベイで監視し、アンカーブロック周りのひび割れ・座屈・緩みを点検する。トレーサビリティのため、ロット、配合、緊張記録、養生履歴、切断位置を製品IDに紐づけ一括保存する。
安全とリスク管理
プレストレストベッドではストランドのスナップバック、ジャッキ・ホース破断、切断時の飛散が主要リスクである。緊張・解除時の立入禁止区域設定、防護スクリーン、フェイルセーフ弁、チョーク機構、工具点検を徹底する。作業手順はロックアウト/タグアウトを含む標準を整備し、教育・訓練とヒヤリハット共有でリスク低減を継続する。
維持管理と更新
打設面は摩耗や目違いが生じやすく、研削・再敷設やモルタルオーバーレイで回復する。レールは直進性とレベル差を管理し、ガイドの偏摩耗を抑制する。アンカー・定着具は座金の食い込みやチャック摩耗を点検し、規定回数で更新する。油圧機器は定期校正と漏洩検査を行い、計測器はトレーサブルな校正記録を保持する。
自動化・生産性の向上
プレストレストベッドのラインは、スリップフォーム/押出成形の速度制御、バッチャープラントとの同期、養生プロファイルの自動最適化、MESやIoTによる実績収集でタクトを短縮できる。断面切替はモジュール化した型ユニットで段取り時間を削減し、端部処理・切断・刻印の自動化で人依存を低減する。
規格・関連用語
- JISおよびJSCEのPC規準:材料・緊張・検査の基本要求
- pre-tensioning/post-tensioning:ベッドは主に前者に適用
- strand/wire:低緩和タイプの選定と保管管理
- release strength:プレストレス伝達前に要確認
- camber/end slip:施工時・出荷時の管理指標
設備仕様の例示
プレストレストベッドの長さは製品と生産量により数十m〜百数十m級まで設計される。アンカーブロックはベッド反力を安全率込みで負担できる構造とし、基礎剛性・地盤反力係数に見合う配筋・根入れを採る。養生は蒸気温度・昇温勾配・等温保持・降温勾配を定め、ひび割れや遅延膨張のリスクを抑制する。
関連設備との関係
プレストレストベッドは、強制練りミキサを備えたバッチャープラント、コンクリートポンプまたはバケット搬送、バイブレーティングスクリーンによる骨材選別、ウォッシャプラントによる砂利洗浄といった上流設備と連携する。下流では切断・面取り・検査・保管ヤードまでを含むライン統合が重要であり、物流と段取りの最適化が製品コストと品質安定化に直結する。