FCD600(球状黒鉛鋳鉄)
FCD600とは、球状黒鉛鋳鉄(ダクタイル鋳鉄)の一種で、鋳鉄の中でも高い強度と延性を有する材料である。球状黒鉛鋳鉄は、鋳鉄中の黒鉛を球状にすることで機械的特性を向上させており、FCD600はその中でも引張強度が600MPa以上の性能を持つことから、構造材料として多くの用途で利用されている。FCD600は、一般的な鋳鉄と比較して耐衝撃性や疲労強度に優れており、自動車部品や機械部品、建設機械などで広く用いられている。
FCD600の特性
FCD600の最大の特徴は、その高い引張強度と優れた延性である。引張強度は600MPa以上であり、通常の灰色鋳鉄と比較しても非常に強力である。また、延性が高いため、破壊に至るまでの変形量が多く、衝撃に対する耐性が高い。この特性は、球状黒鉛が内部に分布することで、応力集中を抑え、靭性を向上させていることに起因する。また、FCD600は加工性にも優れており、必要に応じて機械加工を行うことができるため、複雑な形状の部品にも適している。
おはようございます!鳩山鉄工です。
今日は気を取り直して再び製品紹介です♪コンベアスプロケット
外径550φ
材質FCD600材質でピクリとする方は鋭いです。今回は鋳鉄から歯切り、研磨で仕上ました。
2枚歯合わせをしてキー加工してあります。
うーん、製造部いい仕事してますね♪ pic.twitter.com/3IexTgu5G8— 鳩山鉄工株式会社 【公式】 (@hatoyama_iron) March 17, 2021
引張強さ (N/mm2)・0.2%耐力 (N/mm2)・伸び (%)・硬さ (HB)
正確な数字についてはJISやメーカーの資料を確認ください。
| FCD600の種類 | 引張強さ (N/mm2) | 0.2%耐力 (N/mm2) | 伸び (%) | 硬さ (HB) |
|---|---|---|---|---|
| FCD600-3 | 600 | 370 | 3 | 170 – 230 |
| FCD600-5 | 600 | 370 | 5 | 170 – 230 |
| FCD600-7 | 600 | 370 | 7 | 170 – 230 |
| FCD600-9 | 600 | 370 | 9 | 170 – 230 |
| FCD600-10 | 600 | 370 | 10 | 170 – 230 |
| FCD600-12 | 600 | 370 | 12 | 170 – 230 |
| FCD600-15 | 600 | 370 | 15 | 170 – 230 |
製造工程と黒鉛の球状化
FCD600の製造には、主に溶融した鉄にマグネシウムを添加する工程が含まれている。この工程により、鋳鉄中の黒鉛が球状化される。通常の灰色鋳鉄では黒鉛はフレーク状に存在しており、これが応力集中の原因となって脆さを引き起こす。しかし、黒鉛が球状になることで、応力の集中が緩和され、鋳鉄の強度と延性が大幅に向上する。このような球状黒鉛の形成は、FCD600の持つ強靭性と機械的な安定性を実現するために極めて重要である。
用途と利点
FCD600は、その優れた機械的特性から、多くの産業分野で利用されている。自動車産業では、エンジン部品やサスペンション部品、ギアハウジングなど、耐久性と強度が要求される部品に使用される。また、建設機械や農業機械などの重機においても、耐衝撃性が重要な部品に利用されている。さらに、FCD600はコスト面でも優れており、鋼材と比較して安価でありながら、高い性能を発揮することから、コストパフォーマンスの高い材料として評価されている。
日本の鋳造技術の高さを象徴するダクタイル鋳鉄のマンホール。球状黒鉛鋳鉄は日本が開発した技術。 pic.twitter.com/vviNjroe5M
— ノギタ教授 (@Prof_Nogita) April 19, 2024
機械加工性
FCD600は、鋳造後の機械加工が比較的容易である点も大きな利点である。鋳鉄の中でも比較的硬度が高いが、適切な工具と条件を用いることで、精度の高い加工が可能である。このため、最終製品としての精度が求められる部品にも使用されることが多い。また、球状黒鉛の存在により、工具摩耗が少なく、加工効率が向上するという利点もある。このように、FCD600は鋳造から最終加工までの工程全体での生産性が高い材料といえる。
Dia. 8 mm ADO-30D in FCD600.
The ADO is a high performance coolant-fed carbide drill series designed to excel in a variety of steels up to 50 x diameter without pecking.Product Details:https://t.co/CZXeLHotJ8#drilling #osgcorporation #osgtools pic.twitter.com/WSDlgv9HL0
— OSG Corporation (@OSGCorporation) September 20, 2020
他の球状黒鉛鋳鉄との比較
FCD600は、他の球状黒鉛鋳鉄(例えばFCD400やFCD500)と比較して、より高い強度を持つ。FCD400やFCD500は、引張強度がそれぞれ400MPaおよび500MPaであり、FCD600はそれらと比較して優れた機械的特性を提供する。しかし、その分硬度が高く、加工にはより高い技術が必要となる場合がある。用途に応じて、FCD600と他の球状黒鉛鋳鉄を適切に選択することが求められる。
FCD600の将来展望
FCD600は、今後も多くの分野で需要が増加すると予想される。特に、自動車業界では電動化に伴う軽量化や高強度化のニーズに応える材料として注目されている。また、再生可能エネルギー分野においても、高い強度と耐久性を持つ材料として風力発電設備などでの利用が期待されている。FCD600の特性を活かした新たな応用が今後も増えていくことが予測され、技術革新によってさらに性能が向上する可能性がある。