近代科学|ケプラー,コペルニクス,デカルトらの知の革命

近代科学 modern science

ヨーロッパで16〜17世紀に誕生した、経験に基づく実証的な自然科学を総じて近代科学という。近代科学は、物理学からはじままった。力学や運動理論によって、17世紀のケプラーガリレオデカルトニュートンと続き、科学としての演繹性や汎用性をもつニュートン力学の体系である。またティコによる望遠鏡が開発されると、天文学では、コペルニクス地動説に始まり、ケプラーの惑星の法則やガリレオの観測からキリスト教的世界観を覆した。その他、ハーヴェイの血液循環論、ボイルの化学的原子論などによって、近代科学が確立された。近代科学は、方法論に基礎づけられる。理論上の仮説を立て、その仮説に含まれているものを演繹し、それらを実験と観察によって検証して自然法則を明らかにする。理論仮説は、常に実験によってテストされねばならず、この検証可能性が科学の大きな特質である。科学に客観性が求められる限り、その理論は暫定的ぎを歪な仮説として繰り返し検証されねばならない。このような科学的な認識方法は、論理的に推論する合理性(演緯的方法)と、経験に裏づけられた実証性(帰納的方法)という方法論を持つ。16~17世紀の近代科学の誕生を、イギリスの歴史家バターフィールドは、科学革命と呼んだ。

近代科学の誕生を支えた人物と書籍

『天球の回転について』 コペルニクス 1543年
『天文対話』 ガリレオ 1623年
『新天文学』ケプラー 1609年
『プリンキピア(自然哲学の数学的諸原理)』 ニュートン 1687年

機械論的自然観

古代ギリシアから中世に至るまで、ヨーロッパにおける自然観を支配していたのはアリストテレスの自然観であった。アリストテレス目的論的自然観と呼ばれ、自然の運動や変化は「目的」があってなされていると考えていた。「咲く」という変化は「花」を目的としており、「歩く」はその人が行きたい「場所」を目的としている。これはキリスト教的自然観と結びつき、自然の変化は神の創造した秩序によりなされている。この考え方は、ガリレオ・ガリレイが実験と観測により、目的とは一切関係のない運動、つまり自然法則を見出すことによって覆されることになる。こうして自然を神や魂といったものから切り離し、物事の運動や変化を因果関係のみで洞察する自然観を機械論的自然観という。

近代科学の影響

近代科学の成立は、目的論的自然観から機械論的自然観を導き、経験論や合理論などの哲学を生み出した。その一方で近代科学は自然を無味乾燥な機械仕掛けのような自然理解にしてしまった。

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