『天体の回転について』コペルニクス

『天体の回転について』コペルニクス

コペルニクス地動説を説いた主著。1543年の死の直前に刊行された。当時は、プロテスタントからの反対はあったが、カトリック教会では、地動説は天体の運動を数学的に説明する一つの仮説にすぎないとされてあまり問題にされなかった。のちにガリレイの著作とのかかわりの中で異端視定をされ、1616年に禁書となる。このことからわかるように当時のアリストテレスの宇宙観を常識としていたキリスト教的宇宙観に相容れない側面がおおかった。敬虔なカトリックであったコペルニクスは観測の結果と信仰との間で大きく苦悩することになる。その結果、『天体の回転について』は死ぬ間際に神学者アンドレアス・アンダーの協力により発表することになる。なお、『天球の回転について』のタイトルはコペルニクスには許可を得ていない。またアンドレアス・アンダーの独断で「これはこういう見方もあり得るというひとつの学説であり、宇宙の真理を記したものではない。」という一文を追加し、ひとつの仮説として発表した。このことは当時の中世において地動説を発表することの困難さを示している。

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