軸受ハウジング|ベアリングを支える保持部品

軸受ハウジング

軸受ハウジングとは、転がり軸受やすべり軸受の外輪を保持し、軸から伝わる荷重を機械のフレームや基礎へ伝達するための筐体部品である。ベアリングハウジング、軸受箱とも呼ばれる。軸受単体では荷重を受け止める相手が存在しないため、外輪を包み込む剛性の高い構造体が不可欠であり、その役割を担うのがハウジングである。JIS B 1551ではピロー形をはじめとする鋼板製・鋳造製の軸受ユニット用ハウジングが規定されており、内径寸法や取付高さが標準化されている。ポンプ、送風機、コンベヤ、減速機など回転軸を持つほぼすべての産業機械に組み込まれ、位置決め精度、放熱、潤滑剤の保持、異物の遮断という複数の機能を同時に果たす。

軸受ハウジングが担う機能

第一の機能は荷重伝達である。軸に作用するラジアル荷重・アキシアル荷重は玉軸受やローラーベアリングの外輪を経由してハウジング内径面に伝わり、取付ボルトを通じて架台へ流れる。この荷重経路のどこかに剛性不足があれば、外輪が変形して転走面の面圧分布が乱れ、軸受寿命は計算値を大きく下回る。第二の機能は位置決めである。軸心の高さと平行度はハウジングの加工精度で決まるため、2個のハウジングで1本の軸を支持する場合、両者の同軸度が0.02mmから0.05mm程度に収まるよう据付時に調整する。第三に、潤滑剤の保持と密封がある。グリース溜まりの容積、オイルシールやラビリンスシールの装着スペースを内部に確保し、粉塵や水分の侵入を防ぐ。機械要素としては地味な存在だが、回転機械の信頼性はハウジングの設計品質に大きく依存する。

形式による分類

軸受ハウジングは取付形態によっていくつかの系統に分かれる。設備側の構造や保守のしやすさに応じて選定される。

  • ピロー形(ピローブロック):底面をボルト2本または4本で架台に固定する最も一般的な形式で、軸径10mmから140mm程度まで標準品が揃う
  • フランジ形:壁面に垂直に取り付ける形式で、角フランジ(4穴)、菱フランジ(2穴)、丸フランジがある
  • テークアップ形:スライドレール上を移動でき、ベルトコンベヤのテンション調整部に用いられる
  • プランマブロック:上下二つ割り構造の大形ハウジングで、軸を持ち上げずに軸受交換ができるため製鉄設備や大型ファンで採用される

プランマブロックは呼び番号SN505からSN532などがISO 113に対応した寸法系列で流通しており、自動調心ころ軸受とアダプタスリーブを組み合わせて使う構成が定番である。二つ割り構造は保守性に優れる反面、合わせ面の締結管理を誤ると真円度が崩れるので、締付トルクの指定値を守る必要がある。

材質と製法

標準品の多くはねずみ鋳鉄FC200相当の鋳造品である。鋳鉄は振動減衰能が高く、切削性も良好で、量産ハウジングに適する。衝撃荷重が加わるコンベヤ駆動部などには球状黒鉛鋳鉄FCD450や鋳鋼SC450を用いた高強度タイプが選ばれる。食品機械や薬品環境ではステンレス鋳鋼SCS13製、あるいは熱可塑性樹脂(PBTなど)製のハウジングが使われ、腐食への耐性を確保する。軽量化が優先される搬送装置では鋳物用アルミニウム合金のADC12によるダイカスト品も選択肢となる。アルミニウム合金は鋳鉄の約3分の1の密度で扱いやすい反面、線膨張係数が鋼の約2倍あるため、温度変化の大きい環境では軸受外輪とのすきま変動に注意しなければならない。なお、内部に組み込む軸受の転動体や軌道輪には軸受鋼SUJ2が用いられるのが一般的である。

はめあい設計の考え方

ハウジング内径と軸受外輪のはめあいは、軸受性能を左右する重要な設計項目である。外輪が静止荷重を受ける一般的な使い方では、H7やJS7といったはめあい公差によるすきまばめまたは中間ばめが選ばれる。外輪回転や方向不定荷重ではN7などのしまりばめ側へ移行させる。すきまが過大だと外輪がハウジング内でクリープ(滑り回転)を起こし、内径面が摩耗して発熱や異音の原因となる。逆にしめしろが過大だと外輪が締め付けられて軸受内部すきまが消失し、早期焼付きを招く。実務では、鋳鉄ハウジングにH7を適用する場合でも、運転温度が80℃を超える用途では熱膨張差を見込んで公差域を一段締まり側へ振る判断がしばしば行われる。

内径加工の実際

ハウジング内径はボーリング加工または内面研削で仕上げ、真円度と円筒度を数μmオーダに管理する。二つ割りハウジングでは合わせ面を仕上げてから両者をボルト締結した状態で内径を一体加工するのが原則であり、上下を別々に加工すると合わせ面で段差が生じる。表面粗さはRa1.6μm程度が目安である。加工コストの観点では、標準ユニット品を購入すれば1個数百円から数千円で済むのに対し、機械フレームへの直彫り加工は段取りを含めて割高になるため、量産機では標準ユニットの採用が主流となっている。

据付と保全のポイント

据付では取付面の平面度確保が先決である。架台にうねりがあるとハウジング底面が変形し、内径の真円度まで崩れる。ライナーを挟んで水平を出し、2軸支持ではレーザー芯出し器やダイヤルゲージで軸心の一致を確認する。運転開始後はグリース補給周期の管理が中心となり、ピロー形ユニットでは3か月から6か月ごとの補給が一つの目安とされる。過剰給脂は撹拌発熱を招くため、ハウジング容積の3分の1から2分の1程度の充填量に抑える。潤滑方式そのものの詳細は油潤滑式軸受の項も参照されたい。軸受交換の際、ハウジングから外輪を抜く作業ではベアリングセパレータやプーラーを用い、打撃による内径面の圧痕を避ける。内径摩耗が進んだハウジングは肉盛補修も可能だが、標準品であれば新品交換のほうが安価で確実な場合が多い。

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