超高真空用真空計|超高真空領域を精密に測定する技術

超高真空用真空計

超高真空用真空計とは、10⁻⁵Pa未満、なかでも10⁻⁸Pa以下に及ぶ超高真空領域の圧力を測定するために設計された計測機器の総称である。超高真空用真空計は半導体の表面分析装置や粒子加速器、走査型トンネル顕微鏡、宇宙環境模擬試験装置など、微量なガス分子の存在すら実験結果や製品品質に直接影響を及ぼす分野で不可欠な役割を担っている。日常生活で意識される大気圧と比べれば桁違いに低い圧力域であり、真空を段階的に細分化した中でも、粗真空低真空のように機械式の圧力計で対応できる領域とは根本的に異なる検出原理が求められる。超高真空用真空計の性能は、装置全体の真空特性を正しく評価し、清浄な実験環境を維持するうえでの基盤ともなっている。圧力が低下してガス分子密度が小さくなるほど、試料表面に気体分子が吸着して単分子層を形成するまでの時間は長くなるため、超高真空環境は原子レベルで清浄な表面を長時間保持したい研究において特に重視されている。

動作原理

超高真空用真空計の多くは電離真空計の原理を採用しており、電子源から放出された電子を気体分子に衝突させてイオン化し、生成されたイオン電流の大きさから圧力を算出する方式である。イオン電流は気体分子の密度にほぼ比例するため、あらかじめ求めた校正曲線を用いて電流値を圧力値へ換算する。数式で表すと、イオン電流Iᵢと電子電流Iₑ、圧力pの関係はおおむね次のように示される。
Iᵢ = S × Iₑ × p
ここでSは計器固有の感度係数であり、ガスの種類によって値が変化する点に注意が必要である。測定対象となる圧力は真空度を左右する真空引き工程の到達点にあたり、装置内部からのガス放出や配管抵抗、継手部のシール性など複数の要因が最終的な指示値に反映される。電離真空計は1950年代にベヤードとアルパートが考案した構造を原型としており、その後もX線効果対策や電極形状の改良を通じて、現在の超高真空領域まで測定範囲を拡張してきた歴史を持つ。

種類

超高真空用真空計は検出方式の違いによっていくつかの種類に分類され、必要な圧力範囲や設置環境、耐久性への要求に応じて使い分けられている。代表的な方式には、熱電子を利用する熱陰極電離真空計、磁場による放電を利用する冷陰極電離真空計、そしてイオンを電界で引き出す抽出型電離真空計があり、それぞれ測定下限や応答特性、寿命に差異が見られる。

熱陰極電離真空計

熱陰極電離真空計は、加熱したフィラメントから放出される熱電子を気体分子に衝突させてイオン化する方式である。なかでもベヤード・アルパート型は、電子を捕集するコレクタに細い線を採用することでX線効果によるノイズを

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