負荷電圧|電気回路において負荷に印加される電圧

負荷電圧

負荷電圧とは、電気回路において負荷(抵抗やモータなど実際にエネルギーを消費する要素)に印加される電圧のことである。電源から供給される電圧があっても、配線抵抗や内部抵抗によって実際に負荷にかかる電圧は変化するため、負荷電圧を正確に把握することは電子回路設計や電力管理において極めて重要である。

定義

一般的に電源電圧と負荷を結ぶ配線や素子には何らかの抵抗成分が含まれるため、負荷が大きな電流を要求すると配線抵抗に電圧降下が生じる。このとき、負荷の両端に現れる電圧こそが負荷電圧であり、これは理想的な回路設計でも考慮すべき不可欠な要素である。電源電圧が一定であっても、回路全体のインピーダンスの変化によって負荷に届く実際の電圧は異なるため、この差分を無視するのは危険である。

計測方法

負荷電圧を計測するときは、電圧計を負荷の両端に直接接続するのが基本である。負荷の端子に近いポイントで測定できるよう、四端子法やリモートセンシング機能を備えた電源装置が用いられる場合もある。四端子法では、電流を供給する端子と電圧を測る端子を分離することで配線抵抗の影響を最小限に抑え、精密な負荷電圧の監視が可能となる。

回路例

以下のような単純な直流回路を考えるとわかりやすい。電源Vから負荷Rを介して電流が流れるとき、配線抵抗rが存在すると、電源と負荷の間に電圧降下が生じる。このため負荷Rの両端にかかる負荷電圧はV – I×rとなる。負荷Rの値が変わればIも変化し、結果として負荷電圧も変動する。

負荷変動と対策

  • 負荷が大きく変化する回路では、電源回路にレギュレータを組み込むことで負荷電圧を安定させる。
  • オペアンプを用いたフィードバック制御により、配線抵抗などの影響を相殺して実質的な強制電圧源を構築できる。
  • 半導体製造装置など高精度が要求される場面では、ノイズ対策や低ドロップアウトレギュレータ(LDO)を活用し、高品質な負荷電圧を維持する。

実用上の注意点

実際の装置では電源装置や各種ケーブルの特性、温度による抵抗値の変化、コネクタ接触不良など様々な要素が負荷電圧に影響を及ぼす。特に大電流が流れる回路では、わずかな配線抵抗でも無視できない電圧降下をもたらすため、負荷に極力近い位置で測定・制御を行う工夫が求められる。電源のリモートセンシング機能や適切なケーブル径の選定も欠かせない対策である。

代表的な応用例

負荷電圧の概念は、電力工学や電子回路設計など様々な分野で重要である。たとえば、変電所では送電線による電圧降下を考慮し、適切な変圧器を配置する必要がある。また、電源装置の設計においても、複数の負荷が接続される際の負荷変動を考慮し、適正な容量と制御回路が求められる。

バッテリーと負荷電圧

バッテリーの電圧は、使用中に負荷によって変動することがある。特にリチウムイオン電池などは、負荷電流が増加すると内部抵抗の影響で端子電圧が低下する。このような変化を適切に管理するため、バッテリーマネジメントシステム(BMS)が搭載される。BMSは負荷電圧を監視し、安全かつ効率的な電力供給を維持する。

関連する概念

  1. 電源電圧:電源端子で規定される公称電圧だが、必ずしも負荷端子に到達するわけではない。
  2. 内部抵抗:電源装置やバッテリなどの出力部分に存在する抵抗成分で、電流が増えるほど負荷電圧を下げる原因となる。
  3. ラインレギュレーション:負荷の変動に対して電源電圧を一定に保つ能力を指し、高性能なレギュレータで改善できる。