線数|配線本数で読む電気設計

線数(電気)

線数とは、電気回路や配電方式において使用される電線の本数を指す概念であり、単相か三相か、また中性線や接地線を含むかどうかによって呼び方が変わる。線数は「単相2線式」「単相3線式」「三相3線式」「三相4線式」のように、相の数と線の数を組み合わせた略称で表記されることが多く、電気工事や受変電設備の設計において回路構成を端的に伝える基本用語となっている。線数の違いは供給できる電圧の種類や電圧降下の程度、必要な電線本数やケーブルの心線数にも直結するため、住宅の屋内配線から工場の動力回路まで、幅広い場面で選定の起点となる指標である。

配電方式における線数の分類

配電方式は線数によって大きく四つに分類される。単相2線式は電圧線1本と中性線1本の計2本で構成され、一般住宅の100V回路に広く用いられる。単相3線式は中性線を挟んで2本の電圧線を配置する方式で、中性線と各電圧線の間で100V、両端の電圧線間で200Vを取り出せる点が特徴であり、日本の戸建住宅の主幹配線として標準的である。三相3線式は動力用として工場や大型設備に用いられ、200V級の電圧を3本の電線だけで供給できる。三相4線式は三相3線式に中性線を加えた方式で、400V級の動力と230V級程度の電灯負荷を一つの系統で賄える利点がある。

方式 線数構成 代表的な電圧 主な用途
単相2線式 電圧線1本+中性線1本 100V 一般住宅の照明・コンセント回路
単相3線式 電圧線2本+中性線1本 100V/200V 戸建住宅の幹線、エアコン等の200V機器
三相3線式 電圧線3本 200V 工場のモーターや動力設備
三相4線式 電圧線3本+中性線1本 400V/230V 大型施設の動力・電灯共用系統

ケーブルの心線数と表記

配電方式としての線数と混同されやすいものに、電線・ケーブル自体が内包する心線数がある。屋内配線で多用されるVVFケーブルは、芯数によって「1.6mm-2C」「2.0mm-3C」のように表記され、Cはコア(心線)の数を示す。2芯タイプは単相2線式の回路に、3芯タイプは単相3線式回路や3路スイッチ配線などに用いられることが多く、3路スイッチの結線では2箇所のスイッチを連絡する電線に3芯ケーブルを充てるのが一般的である。単線結線図ハーネス図のように電気的な接続関係を図示する資料でも、線数や心線数は回路番号とあわせて必ず記載すべき情報として扱われる。

電線本数と許容電流

同一の電線管や線ぴに収める電線の本数(集合条数)が増えると、電線相互の熱がこもりやすくなるため、内線規程では電線本数に応じて許容電流を低減する補正係数が定められている。例えば直径1.6mmのIV線を単独で空中に施設した場合の許容電流はおよそ27A程度とされるが、同じ電線を3本以上まとめて金属管に収める場合には、この値に0.7前後の低減率を乗じて評価するのが一般的な考え方である。オームの法則に基づく電圧降下計算でも、線数(往復の導体数)を正しく数えなければ配線長あたりの抵抗値を誤ることになる。

線数と電圧降下・接地の考え方

線数が多い方式ほど、負荷を複数の相や線間に分散できるため、単位電流あたりの電圧降下を抑えやすい傾向がある。三相4線式では中性線に流れる電流が各相の不平衡分に限られるため、単相3線式と同様に中性線の断線時には電圧が偏って上昇する現象(いわゆる中性線欠相)に注意が必要である。負荷電圧を安定させる観点からは、線数の選定だけでなく、点検できる隠ぺい場所における配線状態の点検や、接地線を含めた保護導体の適切な配置もあわせて検討しなければならない。大規模な受変電設備では、送電鉄塔から引き込む高圧回路の相構成と、需要家側の低圧線数との整合を、方向継電器を含む保護協調とあわせて確認することが実務上の要点となる。

実務における線数選定の留意点

線数の選定は、負荷設備の必要電圧や電流容量だけでなく、将来的な増設余地や停電作業のしやすさも踏まえて行われる。停電作業を伴う改修工事では、既設の線数構成を正確に把握しないまま作業計画を立てると、想定外の相を誤って遮断する危険がある。ケーブルの被覆や絶縁材料についても、線数が増えるほど断面が太くなり、施工スペースや曲げ半径の制約が厳しくなるため、絶縁クラス耐熱クラス(絶縁等級)との組み合わせを含めて総合的に検討する必要がある。設計段階で線数を正確に数えられるかどうかは、電気工事士としての基礎力を映す指標ともなる。現場では、配電盤の設計図書に記載された線数表記を起点に、電線管の許容占積率や電圧降下の計算値まで一貫して確認する姿勢が求められる。

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