系統連系|分散電源を電力系統へ安全接続

系統連系

系統連系とは、発電設備や蓄電池、需要家設備を電力会社の配電・送電ネットワークに電気的に接続し、双方向または一方向に電力・情報をやり取りする仕組みである。分散型電源の普及に伴い、電圧品質の維持、周波数安定化、故障時の保護協調、逆潮流の適正管理など多面的な要件が求められる。連系は設備の安全のみならず、広域系統全体の安定度や電力品質を左右するため、計画・設計・試験・運用の各段階で技術的合意とルール整備が不可欠である。

目的と意義

系統連系の第一の目的は、需要家側の発電(太陽光、風力、ガスコージェネ、燃料電池等)を系統へ安全に取り込み、余剰電力の有効利用と供給信頼度の向上を図ることである。さらに、非常時のバックアップや平常時のピークカット、需給調整力としての活用、脱炭素に向けた再生可能エネルギー導入拡大の基盤整備という意義を持つ。

連系点と系統条件

連系点は高圧・低圧・特別高圧のいずれかで定まり、連系可能容量、短絡容量、電圧階級、周波数許容偏差、配電線のインピーダンスなどの系統条件を満たす必要がある。計画段階で潮流計算や電圧降下・上昇の評価を行い、必要に応じて変圧器タップ、無効電力制御装置、保護設定を最適化する。

同期連系と非同期連系

交流で周波数・位相を同期させる同期連系が基本であるが、広域連系や系統間連系では直流(HVDC)を介した非同期連系を採用する場合がある。非同期は潮流制御性と系統切り離しの自由度が高く、周波数擾乱の波及を抑制しやすい。

保護協調と単独運転防止

系統連系では、地絡・短絡・過電流に対する保護リレーの整合が不可欠である。単独運転(アイランディング)防止のために、周波数偏差検出、位相跳躍検出、ROCOF(Rate Of Change Of Frequency)などの機能を用い、系統喪失時に迅速に解列する。過電圧・不足電圧(OV/UV)や過周波・不足周波(OFP/UFP)も連系解列の代表的なトリップ要因である。

インバータ(PCS)の要件

パワーコンディショナ(PCS)には、力率制御、無効電力供給、電圧・周波数追従、出力抑制、急峻な日射変動に対するスロープ制御、高調波抑制などが求められる。スマートインバータではVolt-VAR、Volt-Watt、周波数トリップ特性の緩和(FRT:故障貫通性能)など、系統支援機能の搭載が標準化しつつある。

電圧品質と高調波対策

分散電源の大量導入は配電末端の電圧上昇を招きやすい。無効電力制御、SVR(自動電圧調整器)、静止型無効電力補償装置などで電圧維持を図る。高調波は変換器由来の主課題であり、フィルタ設計、スイッチング手法の最適化、接続点での総合高調波歪み(THD)管理が重要である。

逆潮流と計量

需要家側から系統へ電力が流入する逆潮流は、保護方向性や配電線電圧プロファイルに影響を与える。双方向計量メータを用い、売電・買電を正しく区分する。需要家構内の保護は逆方向の故障電流も考慮して段間協調を設計する。

系統影響評価(連系検討)

連系容量が大きい場合、短絡容量比や電圧変動、出力変動による周波数影響、潮流再配分、過渡安定度、近隣高調波源との相互作用を解析する。必要に応じて系統増強(線路増強、変圧器増設、SVR追加)や出力制御条件の付与が行われる。

マイクログリッドとVPP

マイクログリッドは配電区画を単独運転可能な小規模系統として設計し、平常時は系統連系で効率運用、非常時は自立運転に移行する。VPP(仮想発電所)は多数の分散電源・蓄電池・需要応答を統合制御し、周波数調整力や容量市場への参加を可能にする。

蓄電池の役割

蓄電池は出力平滑化、ピークシフト、瞬時電圧低下対策、ブラックスタート補助に寄与する。制御目標(SOC維持、需要追従、価格信号追従)に応じて充放電計画を策定し、PCSの指令と協調させる。

系統運用と監視

SCADAや配電自動化システムにより、連系点の電圧・電流・電力品質を常時監視し、異常兆候を早期に検出する。遠方制御による解列・再連系、出力抑制指令、保護設定の更新管理が運用の要諦である。

手続きと技術文書

系統連系には、事前協議、系統側の受入可否判断、連系契約、詳細設計審査、受入試験(整定確認、保護機能試験、単独運転検出試験)といった手順がある。運転開始後も定期点検記録、トリップ履歴、保護設定票の維持管理が求められる。

需要家構内設計の要点

  • 主変換設備:PCS定格、短時間過負荷、冷却余裕の確認
  • 配線・母線:短絡耐力、温度上昇、EMC対策
  • 接地:系統接地方式と整合、漏れ電流管理
  • 保護:方向性OC、地絡方向、周波数・電圧リレーの協調
  • 計測:双方向メータ、系統・自家区分計量

再生可能エネルギー大量導入時の課題

高い出力変動性により、配電末端での電圧逸脱と短周期周波数偏差が生じやすい。解決策として、需要応答(DR)、配電用蓄電池、広域での予測連動出力制御、スマートインバータの分散配置が挙げられる。

将来像:柔軟な配電ネットワーク

電源・負荷・蓄電・EVが混在する時代には、配電線の潮流切替えやセクショナライザの自動化、位相可変機器、分散協調制御によって柔軟性を高めることが鍵となる。標準化された通信と連系要件の高度化により、系統連系は受動的接続から能動的な系統支援へと役割を拡張していく。