管用テーパねじ|シール性重視の配管用ねじ

管用テーパねじ

管用テーパねじは、配管系で圧力を保持するためにねじ部そのものを密封面とする管用ねじである。山形はウィット形(55°)で、ねじの外径が軸方向に向かって縮むテーパ(テーパー)をもつのが特徴である。JISでは JIS B 0203、国際規格では ISO 7-1(BSPT)が対応し、外ねじを「R」、内ねじのテーパを「Rc」、内ねじの平行を「Rp」として表す。歴史的な表記「PT」は現行の「R」に相当する。呼び表記は R1/4、Rc3/8 のように分数インチで示し、配管・油空圧機器・計装継手などで広く用いられる。テーパ角は直径勾配で 1:16(半角約1.79°)であり、雌雄ねじのくさび作用と面圧により密封性を得る。

規格と呼称の体系

JIS B 0203 は ISO 7-1 と整合し、圧力密封をねじ部で行う系である。外ねじは R、内ねじのテーパは Rc、内ねじの平行は Rp を用いる。平行管用ねじで機械的締結を目的とする場合は JIS B 0202(ISO 228-1)であり、こちらは記号 G(旧表記 PF)を用いる。BSP における BSPT が R/Rc、BSPP が G(Rp)に概ね対応する。呼び径は配管の公称サイズであり実測外径とは一致しないため、例えば R1/4 を「直径約6 mm のねじ」と誤解してはならない。現場では「Rねじ」「Rcねじ」と呼称して区別する習慣が定着している。

ねじ山形とテーパ幾何

管用テーパねじの山形は 55° ウィット形で、山頂・谷底は丸みを持つ。直径テーパは 1:16 で、半角 α はおよそ arctan(1/32) ≈ 1.7899° となる。軸方向距離 x に対して直径 d は d(x)=d₀−x/8 とみなせ、かみ合わせ長さに応じて干渉量(面圧)が増す。設計では有効ねじ長さ、加工余長、座面との干渉(段付き・座ぐり寸法)を見積もる。ねじのピッチや基準径は規格票で規定されており、互換性確保のため必ず規格寸法・公差とゲージによる検査を行う。

シール方法と耐圧の考え方

基本は金属同士のくさび効果で密封するが、一般には PTFE シールテープやねじ用シール剤を併用する。シールテープは雄ねじに対して締付方向(時計回り)へ適量(例:R1/4 で数巻)を均一に巻き、端部を切欠き部や流路へはみ出させない。液状シール剤は脱脂後に薄く塗布し、硬化時間と耐媒体性を守る。再組立ての反復は座屈・摩耗や面粗さ変化を招き、耐圧低下や微小漏れの原因となるため注意する。高温・低温、脈動圧、振動環境では緩み止めや支持の併用が有効である。

管用平行ねじ・NPT との違い

平行管用ねじ(G/Rp)はねじ部で圧力密封を行わず、ガスケットや O-ring、平面座・球面座などのシール面を併用する。一方、管用テーパねじ(R/Rc)はねじ部で密封する。米国系の NPT は 60° 山形で、山頂・谷底形状やピッチも異なるため混用不可である。NPTF(Dryseal)はさらに厳格な面接触を狙う設計だが、BSPT(R)とは互換性がない。現場での「なんとなく入る」は厳禁で、規格記号・呼び・ゲージでの確認を徹底する。

設計・加工・検査の要点

雌ねじ加工には Rc タップ(または Rp タップ)、雄ねじには R ダイスや旋盤ねじ切りを用いる。下穴径は規格の推奨値に合わせ、テーパねじ用の下穴仕上げ長さを確保する。ゲージ検査は GO/NO-GO のプラグゲージ(Rc・Rp 用)およびリングゲージ(R 用)で行い、ゲージ面からの突出量・沈み量の管理で適正なかみ合い位置を保証する。鋳物ボスの肉厚、タップ逃げ、座面の直角度、流路偏心なども漏れ要因となるため、設計段階で対策する。

適用分野と材料選定

管用テーパねじは水・空気・油・ガスなど広範な媒体に使われ、一般配管、油圧ユニット、空圧バルブ、計測機器、熱交換器、冷凍・冷媒配管などで定番である。材料は炭素鋼、ステンレス鋼、黄銅が中心で、耐食・電食・媒体適合を考慮して選ぶ。表面処理は亜鉛めっき、ニッケルなどがある。高圧・高温・可燃性ガスでは材料・シール剤の適合が安全に直結するため、仕様書・規格票・メーカー指示を必ず参照する。関連要素としてボルトの締結理論も理解しておくと良い。

組立・保全での実務ポイント

  • シールテープは山を埋め過ぎず、先端2山程度は外すと切片流出を抑制できる。
  • 過大トルクは雌座割れ・雄ねじ座屈・応力腐食割れの誘因となる。締付は規程トルクまたは規定ねじ込み深さに従う。
  • 再使用時は旧シール剤を完全に除去し、傷・打痕・座面荒れを点検する。
  • 酸素サービスや食品・薬液ラインは専用の無油処理・適合シール剤を選定する。
  • 振動・熱サイクル環境では支持金具やフレキ継手で外力を低減する。

代表サイズと選定の勘所

代表的な呼びに R1/8、R1/4、R3/8、R1/2、R3/4、R1、R1 1/4、R1 1/2、R2 などがある。呼びは実径に直結しないため、相手側継手・流量要求・肉厚・工具アクセスを総合して決める。狭所では六角対辺やスパナ角度、ねじ込み有効長の確保が重要である。ねじ込み過多は座面干渉や流路狭窄、過少は耐圧不足を招くため、ゲージ基準に沿った位置で止める。

用語と現場での誤解

「PT=R」「PF=G(平行)」という対応を把握せずに混用する事例が多い。分数インチ表記は管規格起源であり、メートルねじの M6、M8 とは全く別系統である。また NPT と R は入る場合があっても密封性能や強度は保証されない。ねじテープの過多・方向違い、液状シール剤の厚塗り、脱脂不足は典型的な微漏れ要因である。規格記号・ゲージ・適合シールの三点を揃えることが、確実な密封と保全性につながる。

R 1/16 – R 1 1/12

管用テーパねじ(JIS B 0203)

ねじの
呼び
ねじ山 基準径 基準径の位置 平行めねじの
D,D2
および
D1の許差
±
有効ねじ部の長さ(最小) 配管用
炭素鋼
鋼管の
寸法
(参考)
ねじ山数
(25.4mmにつき)
n
ピッチ
P
(参考)
山の高さ
h
丸み

または
r’
おねじ おねじ めねじ おねじ めねじ
基準径の位置から
大径側に向かって
f
不完全ねじ部
がある場合
不完全ねじ部
がない場合
外径
有効径
d2
谷の径
d1
管端から 管端部
テーパめねじ 平行めねじ テーパめねじ
平行めねじ
基準の長さ 軸線方向の許容差
±b
軸線方向の許容差
±c
めねじ
基準径の位置から
小径側に向かつて
管または
管継手端から
l'(参考)
基準径または
管・管継手端から
t
外径 厚さ
谷の径
D
有効径
D2
内径
D1
R 116 28 0.9071 0.581 0.12 7.723 7.142 6.561 3.97 0.91 1.13 0.071 2.5 6.2 7.4 4.4
R 18 28 0.9071 0.581 0.12 9.728 9.147 8.566 3.97 0.91 1.13 0.071 2.5 6.2 7.4 4.4 10.5 2.0
R 14 19 1.3368 0.856 0.18 13.157 12.301 11.445 6.01 1.34 1.67 0.104 3.7 9.4 11.0 6.7 13.8 2.3
R 38 19 1.3368 0.856 0.18 16.662 15.806 14.950 6.35 1.34 1.67 0.104 3.7 9.7 11.4 7.0 17.3 2.3
R 12 14 1.8143 1.162 0.25 20.955 19.793 18.631 8.16 1.81 2.27 0.142 5.0 12.7 15.0 9.1 21.7 2.8
R 34 14 1.8143 1.162 0.25 26.441 25.279 24.117 9.53 1.81 2.27 0.142 5.0 14.1 16.3 10.2 27.2 2.8
R 1 11 2.3091 1.479 0.32 33.249 31.770 30.291 10.39 2.31 2.89 0.181 6.4 16.2 19.1 11.6 34 3.2
R 1 14 11 2.3091 1.479 0.32 41.910 40.431 38.952 12.70 2.31 2.89 0.181 6.4 18.5 21.4 13.4 42.7 3.5
R 1 12 11 2.3091 1.479 0.32 47.803 46.324 44.845 12.70 2.31 2.89 0.181 6.4 18.5 21.4 13.4 48.6 3.5

R 2 – R 6

管用テーパねじ(JIS B 0203)

ねじの
呼び
ねじ山 基準径 基準径の位置 平行めねじの
D,D2
および
D1の許差
±
有効ねじ部の長さ(最小) 配管用
炭素鋼
鋼管の
寸法
(参考)
ねじ山数
(25.4mmにつき)
n
ピッチ
P
(参考)
山の高さ
h
丸み

または
r’
おねじ おねじ めねじ おねじ めねじ
基準径の位置から
大径側に向かって
f
不完全ねじ部
がある場合
不完全ねじ部
がない場合
外径
有効径
d2
谷の径
d1
管端から 管端部
テーパめねじ 平行めねじ テーパめねじ
平行めねじ
基準の長さ 軸線方向の許容差
±b
軸線方向の許容差
±c
めねじ
基準径の位置から
小径側に向かつて
管または
管継手端から
l'(参考)
基準径または
管・管継手端から
t
外径 厚さ
谷の径
D
有効径
D2
内径
D1
R2 11 2.3091 1.479 0.32 59.614 58.135 56.656 15.88 2.31 2.89 0.181 7.5 22.8 25.7 16.9 60.5 3.8
R2 12 11 2.3091 1.479 0.32 75.184 73.705 72.226 17.46 3.46 3.46 0.216 9.2 26.7 30.1 18.6 76.3 4.2
R3 11 2.3091 1.479 0.32 87.884 86.405 84.926 20.64 3.46 3.46 0.216 9.2 29.8 33.3 21.1 89.1 4.2
R4 11 2.3091 1.479 0.32 113.030 111.551 110.072 25.40 3.46 3.46 0.216 10.4 35.8 39.3 25.9 114.3 4.5
R5 11 2.3091 1.479 0.32 138.430 136.951 135.472 28.58 3.46 3.46 0.216 11.5 40.1 43.5 29.3 139.8 4.5
R6 11 2.3091 1.479 0.32 163.830 162.351 160.872 28.58 3.46 3.46 0.216 11.5 40.1 43.5 29.3 165.2 5.0

PT 7 – PT 12

管用テーパねじ(JIS B 0203)

ねじの
呼び
ねじ山 基準径 基準径の位置 平行めねじの
D,D2
および
D1の許差
±
有効ねじ部の長さ(最小) 配管用
炭素鋼
鋼管の
寸法
(参考)
ねじ山数
(25.4mmにつき)
n
ピッチ
P
(参考)
山の高さ
h
丸み

または
r’
おねじ おねじ めねじ おねじ めねじ
基準径の位置から
大径側に向かって
f
不完全ねじ部
がある場合
不完全ねじ部
がない場合
外径
有効径
d2
谷の径
d1
管端から 管端部
テーパめねじ 平行めねじ テーパめねじ
平行めねじ
基準の長さ 軸線方向の許容差
±b
軸線方向の許容差
±c
めねじ
基準径の位置から
小径側に向かつて
管または
管継手端から
l'(参考)
基準径または
管・管継手端から
t
外径 厚さ
谷の径
D
有効径
D2
内径
D1
PT7 11 2.3091 1.479 0.32 189.230 187.751 186.272 34.93 5.08 5.08 0.318 14.0 48.9 54.0 35.1 190.7 5.3
PT8 11 2.3091 1.479 0.32 214.630 213.151 211.672 38.10 5.08 5.08 0.318 14.0 52.1 57.2 37.6 216.3 5.8
PT9 11 2.3091 1.479 0.32 240.030 238.551 237.072 38.10 5.08 5.08 0.318 14.0 52.1 57.2 37.6 241.8 6.2
PT10 11 2.3091 1.479 0.32 265.430 263.951 262.472 41.28 5.08 5.08 0.318 14.0 55.2 60.3 40.1 267.4 6.6
PT12 11 2.3091 1.479 0.32 316.230 314.751 313.272 41.28 6.35 6.35 0.397 17.5 58.7 65.1 41.9 318.5 6.9

Note

管用テーパねじ

管用テーパねじに対して


平行めねじに対して

平行めねじに対して

1.R、PTは省略可
2.ねじ山は、中心軸戦に直角とし、ピッチは中心軸戦にそって測定する。
3.有効ネジ部の長さとは、完全なねじ山の切られたねじ部の長さで最後の数山だけは、その頂に管(管継手)の面が残っていても管(管継手)の末端に面取りがしてあっても、ここは有効ねじ部の長さに含める。