画像測定
画像測定とは、カメラやレンズ、照明と画像処理アルゴリズムを用いて対象物の寸法・形状・位置・外観を非接触で定量化する計測技術である。製造現場ではインライン検査から試作評価、実験計測まで適用範囲が広く、2Dのエッジ位置決定から3D点群の復元、内部欠陥の可視化までを包含する。接触式に比べ高速で面の同時観測が可能で、微小部品や柔らかい材料、移動体にも適する。一方でレンズ歪みや被写体反射、環境光の影響を強く受けるため、光学設計・キャリブレーション・不確かさ評価が品質を左右する。
定義と特徴
画像測定は画像座標系で抽出した特徴(エッジ、コーナ、マーカー、パターン位相など)を実空間単位へ変換し、幾何学的量へ落とし込むプロセスである。非接触・高速・多点同時・トレーサビリティ確保が主要特徴で、サブピクセル補間により画素より細かい位置精度を狙える。量産検査では繰返し性、研究用途では空間解像度と系統誤差低減が重視される。
主な方式
2D画像計測
バックライトやコーシャル照明でコントラストを稼ぎ、Cannyなどのエッジ検出後にサブピクセル近似(放物線/ガウス/センタオブグラビティ)を行う。円・直線・角度・ピッチ・GD&T関連量は最小二乗当てはめで推定し、テレセントリックレンズで倍率誤差・視差を抑える。画素サイズと実倍率、MTF、S/Nが最終精度を決める。
ステレオ/三角測量
2台カメラ(またはカメラ+レーザライン)と既知ベースラインで三角測量し、エピポーラ幾何に基づく対応付けから3D座標を復元する。内部・外部パラメータを同時に校正し、レンズ歪み(Brown–Conrady)を補正することで体積・平面度・うねりなどの量を導出できる。
パターン投影/位相シフト
縞パターンを投影し位相を高精度に求める方式で、微小起伏や自由曲面の高密度計測に適する。位相アンラップ・ガンマ補正・露光最適化が鍵となり、校正ターゲットによりスケールと線形性を担保する。
フォトグラメトリ/SfM
多数視点画像から特徴点を抽出・束調整(Bundle Adjustment)でカメラ姿勢と3Dを同時推定する。大型構造物や屋外対象で有効で、スケールバー導入や基準長の併用で絶対寸法に落とす。
CT画像測定
X線透過像を回転取得してボリューム再構成し、内部欠陥・肉厚・アンダーカット形状を非破壊で測る。ビームハードニングや散乱、金属アーチファクトへの補正、しきい値の一貫化が信頼性を左右する。
光学系と照明設計
レンズは焦点距離、開口数、歪み、被写界深度を総合最適化する。テレセントリック化は寸法計測の第一選択である。照明はバックライト、リング、同軸、ドーム、偏光の組合せで反射・ハレーションを制御する。露光・ゲイン・シャッタとモーションブラーのバランスも重要で、フリッカフリー化とシャッタ同期でタクト安定を図る。
キャリブレーションとトレーサビリティ
チェッカーボードやドットグリッドで内部・外部パラメータを推定し、スケールは長さ標準(ゲージブロック、スケールバー)へトレースする。再投影誤差だけでなく、実長との偏差(スケールファクタ、非直線性)を監視する。3DスキャナではVDI/VDE 2634、座標測定ではISO 10360に準拠した受入試験が実務的である。
精度・不確かさの考え方
- 分解能:画素サイズと倍率、サブピクセル法の安定性で決まる。
- 系統誤差:歪み補正残差、熱ドリフト、レンズ焦点ズレ、照明むら。
- ランダム誤差:フォトンノイズ、テクスチャ不足、エッジ粗さ。
- 合成:誤差伝播で不確かさを合成し、R&R(GRR)で工程適合性を判定する。
画像処理アルゴリズム
閾値処理、モルフォロジ、テンプレートマッチング、Hough変換、位相解析が基本群である。円弧・楕円のロバスト当てはめ、外れ値抑制(RANSAC)、サブピクセル補正が寸法安定度を高める。外観検査では機械学習・深層学習によるセマンティックセグメンテーションや異常検知を併用し、偽陽性/偽陰性の指標で保全する。
品質管理と運用
ライン適用ではタクト、被写体ばらつき、治具剛性、温湿度、ダスト管理を設計に織り込む。基準治具・ゴールデンサンプル・周期校正・照明点検の保全計画が必須で、測定プログラムは変更管理・履歴管理を実施する。統計的工程管理(Xbar-R)や合否判定のしきい値最適化で過検出/見逃しを抑える。
メリットと留意点
- 長所:非接触・高速・面計測・自動化親和性・遠隔検査。
- 短所:反射体や透明体で不安定、環境光影響、キャリブレーション依存。
- 対策:偏光/拡散照明、位相方式、スプレーコート、温調、周期校正。
適用例と関連項目
微細部品の外形測定、3D形状の全数検査、鋳造や樹脂成形品の収縮・反り評価、実機構の変形・振動観測など、用途は多岐にわたる。比較対象として接触式や体積計測、工程内検査の概念も理解しておくと運用が安定する。
- 三次元測定機:接触式との使い分け。
- 非接触測定:光学計測全般の概念。
- 接触プローブ:基準とのクロスチェック。
- X線CT測定:内部形状・欠陥の評価。
- 表面粗さ評価:輪郭・テクスチャ解析。
- 寸法測定:GD&Tと連携した評価。
- 精度評価:R&Rや不確かさの整理。
- プロファイラ:線状プロファイルの取得。